合成麻薬「MDMA」を所持していたとして、女優の沢尻エリカさんが、麻薬取締法の疑いで逮捕された事件。警視庁が、沢尻さんの尿を鑑定したところ、MDMAを含む違法薬物の成分がでない「陰性」だったと報じられている。

報道によると、沢尻さんは11月16日、東京・目黒区の自宅マンションで、カプセルに入った合成麻薬「MDMA」を所持していた疑いが持たれている。取り調べに対して、沢尻さんは「わたしのもので間違いありません」と供述しているという。

沢尻さんは使用も認めていると報じられているが、尿の鑑定は「陰性」だった。MDMAの成分は、使用から2、3日で体外に排出されるといわれている。警視庁は毛髪の鑑定もおこなって、沢尻さんの供述を裏付けるようだ。

はたして、沢尻さんは使用罪で起訴される可能性はあるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

●刑事訴訟の原則「自白だけでは罪に問えない」

「薬物の使用日時や使用場所が異なれば、それぞれについて、使用罪が成立します。

そうすると、使用罪で起訴する場合、日時や場所で特定された1つの使用行為で起訴するほかなく、一般的には、最後に使用した行為を起訴の対象とします。

特定の使用行為に関する自白のほかに、尿鑑定で『クロ』と出れば、ある程度の日時の特定は可能となってきて、自白の裏付けも可能となります。

しかし、沢尻さんのように、尿鑑定で『シロ』の場合、毛髪鑑定で『クロ』と出たとしても、使用日時を特定することが難しくなるため、特定の使用行為に関する自白の裏付けとはなりにくいです。

したがって、『自白だけでは罪に問えない』とする刑事訴訟の原則に照らして、証拠不十分ということになるわけです。最終的には、『所持罪だけ』で起訴されるのではないかと思います」

【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp

沢尻エリカさんの尿鑑定は「陰性」…違法薬物の「使用罪」では起訴されない?