内憂外患に苦しむ韓国の文在寅大統領が19日、韓国MBCテレビの「国民との対話」に生出演し、300人の市民とタウンミーティング形式のひざ詰め対話に臨んだが、評判はイマイチだったようだ。

失地回復を企図したイベントだったが・・・


 「国民対話」は文在寅大統領が10日に任期5年の折返しを迎えたタイミングで行われ、文在寅政権で実施されたのは初めて。1990年盧武鉉大統領、96年に金大中大統領、2003年に盧武鉉大統領、2009年に李明博大統領が行っている。大統領府は「国民の誰もが参加でき、聞きたいどんな質問でも聞ける」と趣旨を宣伝。「率直で格式張らない国民との対話を期待し、心を込めて準備する」という文在寅大統領のコメントを発表するなど、失地回復を企図したイベントでもあった。

 テーマは経済・最低賃金、検察改革、南北関係、子どもの安全、女性差別、多文化共生、募兵制、そして日韓関係など。安倍政権が発動した対韓輸出規制に対する報復措置として破棄通告したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)をめぐり、疑問を抱く市民からの質問に文在寅大統領は「GSOMIA終了を避けることができるのであれば、最後の瞬間まで日本とともにそのための努力をしていきたい」としつつ、こう切り返した。

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時間の経過とともに、スタジオには散漫としていった・・・

 「GSOMIA終了問題は日本が原因を作ったものだ。韓国は日本の安全保障において防波堤という大きな役割を果たしている。日本は米国の安保の傘と韓国の防波堤によって防衛費を削減し、自国の安全保障を維持している。実際、日本のGDP全体に占める防衛費の割合は1%に満たない。一方、韓国の防衛費は2・5~2・6%と非常に高く、それは日本にもプラスになっていると思う」

「しかし、日本は輸出規制を発動し、その理由を韓国が安全保障上信頼できないためであるとした。フッ化水素は韓国の半導体産業において欠かせない存在だが、それが北朝鮮など第三国に渡って大量破壊兵器化学兵器になり得るから韓国を信頼できないとした。『安全保障上信頼できない』と言いながら『軍事情報交換をしたい』というのは矛盾した態度だ」

 もっとも、歯切れが良かったのは日韓関係くらいだったという。

 「時間の経過とともに、スタジオには散漫としていった印象です。国民が最も強い関心を抱いているのは経済問題ですが、急速な最低賃金の引き上げが招いた混乱について文在寅大統領は、来年以降はスピードを緩める方針を口にするぐらい。2番目に関心が高い検察改革については曹国前法相の任命強行を謝罪。南北関係については国際協調の必要性を説き、3回目の米朝首脳会談の実施で必ず成果が上がるとの見通しを語りました。全体的に目新しいものはなかった」(韓国メディア関係者)

 世論のガス抜きは空振りに終わったようだ。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

空振りに終わった文在寅大統領の「国民との対話」、2年半の政権運営を正当化