映画「天気の子」(2019年)のヒロイン役で注目を集め、活躍が期待される新人女優の森七菜が、自身も出演している岩井俊二監督最新作「ラストレター」(2020年1月17日[金]公開)の主題歌で歌手デビューすることが決定した。
2020年1月15日(水)にリリースされる主題歌「カエルノウタ」は、作詞を岩井、作曲を本映画の音楽を務める小林武史が担当。
カップリングには、小泉今日子の「あなたに会えてよかった」、荒井由実(現:松任谷由実)の「返事はいらない」のカバーが収録される。
森が主題歌を歌うことになった経緯について、企画・プロデュース担当の川村元気は下記のように語っている。
■ 川村元気コメント
「スワロウテイル」におけるYEN TOWN BAND、「リリイ・シュシュのすべて」から生まれたリリイ・シュシュ、岩井俊二監督作品から、いつもすばらしい音楽が生まれてきた。
では「ラストレター」からはどんな音楽が生まれるのか。
岩井俊二、小林武史と話し合いを続けた。たくさんのアーティストが主題歌の候補として挙がる中、答えが目の前にあることに気付いた。
「試しに」と歌ってもらった森七菜の歌声には、少年と少女の間をたゆたうようなみずみずしさと、誰にもまねできない力強さがあった。
その声にひきつけられて、岩井俊二がおとぎ話のような歌詞を書き、小林武史が映画の世界観を投影したメロディーをつけた。エンドロールにこの主題歌が流れたときに、ついに“岩井俊二監督作品”が完成したのだと感じた。
■ 森七菜コメント
初めてお話をいただいた時、本当に私で合っているの?と驚きました。
今回、歌手デビューとなり、映画主題歌に初挑戦です。それがこんなにすてきな、私が大好きな作品で、さらに岩井俊二監督、小林武史さんに作っていただいた唄を歌うことが、非常に重大なことだと感じました。
歌詞、メロディーともに一瞬一瞬、聴き逃せなく、ぜんぶ余すことなく歌わないと、と心がけました。
歌うことは楽しいですが、まだまだ未熟なので、一つの映画を作るような、お芝居をするような感覚で歌いました。
スクリーンで最後に自分の歌が流れるのは、楽しみですが、すごく誇らしげな気持ちになるか、穴に入りたくなるか、どちらかだと思います(笑)。
■ 小林武史コメント
主題歌は、歌独自の世界観はもちろん、映画との関係性というのも必要で、今回、映画のエンドロールの使いどころも、透明感のある森さんの声にピッタリなので、トータルとしてうまくいろいろな要素がつながることになると思います。
森さんは、レコーディングを一回一回重ねるごとに成長してくるんです。最初から表現しようとする気持ちがあり、やっぱり女優さんなんだなと思いました。歌詞の意味を岩井さんに確認したりしていて、その後のレコーディングは、また格段に良くなり、2歳くらい年齢が上がったような感じで、最後はあどけなさだけでなく、女性としての色気が出てきたのかなと思いました。
女優だけでなく、歌い手としての顏もどこかで忍ばせていってほしいなと思います。
■ 岩井俊二コメント
イソップ童話の一つをモチーフにしつつ、ショートフィルムも別に作るような感覚で、映画とほどよい距離感を保ちつつ、いろいろな解釈ができる歌にできればと思い、作詞しました。
森さんは、やはり根に女優というものがあるので、「うまく歌おう」というよりも、「表現しよう」というアプローチが、撮影現場で役者としてやっていたアプローチに共通するものがあるんだな、と。
歌だけですが、演じるような表現で一つ一つの言葉に宿すものがあって、まだあどけない女の子なのに、すごく丁寧に、文学的に表現していて、とても感心しました。
映画の主題歌には、そこまで見てきた流れをうまく支えて、余裕を持ちながらゆるやかに着地していくような役割があると思いますが、そこはとてもうまくいったかなと思っています。
映画を見る前に曲だけ聞く人もいて、そういった方々がどんな映画を想像するかな、なんて思いをはせつつ書いたので、そういう楽しみ方もしてもらえたらうれしいです。
■ ストーリー
裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。
裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。
未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内の一つの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりだす。
ひょんなことから彼らをつないだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく。(ザテレビジョン)
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