「おれは男だ!」がキャッチフレーズ政治家としては、聞くに堪えない言い訳のオンパレードだ。

 森田健作千葉県知事(69)が、県内に深刻な被害をもたらした台風15号直撃の翌日、公務そっちのけで、自らが所有する“別荘”の被害状況を確認していたとする疑惑を『週刊文春』が報じた。

 釈明会見では「あれは別荘ではなく自宅」だとか「私的に車の中から周りの状況を視察していた」と苦しい弁明を繰り返し、千葉県民のみならず全国民の怒りと失笑を買った。

 男なら、自らの非を潔く認めて謝罪し、辞任すべきだろう。それが女々しい言い訳に終始し、グラスを持つ手を震わせながら「おれは無実だ!」と言い張るのだからタチが悪い。

 あらためて問題点を整理する。9月9日未明に千葉県を直撃した台風15号は、県内で80人超の重軽傷者を出し、停電世帯は60万戸以上、断水も12万戸を超え、政府が激甚災害に指定するほどの被害となった。

 他県であれば台風の襲来前に設置される「災害対策本部」が立ち上がったのは、直撃から丸1日が経過した10日午前9時。現地への職員派遣に至っては12日になってから、という遅すぎる対応だった。

 『週刊文春』によれば、こうした混乱のさなか、森田知事はとくに被害が大きかった県南部の被災地などを無視し、県庁から東に約30キロ離れた芝山町へ公用車で向かい、災害対応よりも「自らの別荘の被害確認」を優先したというのだ。

 この指摘に対し、森田知事は「自宅で公用車から私用車に乗り換えて私的に周辺を視察した」と強弁する。

 しかし、災害対応では、陸上自衛隊への災害派遣要請のように県知事の判断が必要な場面が数多く生じる。一時的に対策本部を離れるにしても、テレビ会議ができる公邸にいなくては、職員は決裁が得られず業務に支障をきたすはずだ。
「視察先は、自宅と言い張る別荘の近くの富里市だったと言うんですが、地元住民は森田知事が視察しているのを誰一人として目撃していない。そもそも災害現場を、知事が“私的に”視察すること自体ありえない。百歩譲って『被害状況を自分の目で確かめよう』と考えたのであれば、公用車で県南部に向かえばいいわけです」(地元記者)

 森田知事がそこまで心配だった別荘は、2000平米を超える敷地に建つ大豪邸。森田知事の息子がぜんそく持ちだったので療養のために建てられたという。庭にはバナナなどの巨木が生い茂っているため、県民の命より、倒木などで自慢の別荘に被害がないかを確認したかったのだろう。
「会見で別荘ではないことを強調したり、『千葉市と自宅を往復する際、私用車を使いたかったが用意できなかった』などと釈明したのは、公用車での湯河原への別荘通いを批判されて辞任に追い込まれた舛添要一東京都知事の二の舞になりたくなかったからだが、同じ末路を辿りそうだ」(同)

 東京生まれの森田知事は、高校卒業後に芸能事務所サンミュージックの「第1号タレント」として華々しくデビュー1970年代の青春ドラマで人気を博したが、80年代に入ると暑苦しいだけの一辺倒な芝居が飽きられて人気が低迷し、政界に転じた。

 ’92年の参院選で連合系の候補として東京選挙区で初当選を果たしたあと、自民党に接近。衆院への鞍替えを図り、’98年に東京4区で当選。2期務めたのち、2005年千葉県知事選に立候補するも当時現職だった堂本暁子氏に敗北した。

 しかし、堂本氏が引退したため、’09年の知事選で当選し、3期10年超の長期政権を敷いている。
タレント議員の成功例とも言える存在ですが、政治家としての経歴は醜聞と虚飾にまみれています。’00年の衆院選では、公設秘書が有権者に買収を申し込んだとする公職選挙法違反容疑で逮捕され、’09年の知事選でも“完全無所属”をうたいながら自民党の支部長を務めていたことが発覚しています」(政治部記者)

 平気で人に嘘をつくのは政治家になる前からの特技。出世作となったドラマ『おれは男だ!』で剣道部主将の高校生を演じ、長年、剣道2段と吹聴していたが、正式には段位を取得していなかったのだ。この嘘がバレたときも、森田知事は「10代なかばに親類の道場主から口頭で2段と認定された」と、今回同様、誰からも理解されない弁明に終始。経歴詐称だとして刑事告発までされている。

 県知事としての実績は、東京湾アクアライン普通車片道3000円から800円に値下げしたぐらい。
「定例会見では、冒頭に用意された原稿を読み上げ、質疑応答は事務方に丸投げ。実務もすべて事務方任せで、年間の休日は140オーバー。観光や特産品のPRだけはやるが、あとは我関せず。それでも前知事がパワハラ体質だったため、県庁内では『打ち合わせで深夜まで付き合わされていた堂本時代に比べれば、まだマシだ』と小バカにされている」(前出・地元記者)

 千葉県内の自民党県議会関係者も、こう突き放す。
「もともと自民の神輿にすぎず、頭が軽い森田は扱いやすかった。知事としての資質も実務能力もないことは分かってたんだが、ここまで脇が甘いとは…」

 映画『仁義なき戦い』の名台詞「神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや」というのがあるが、神輿が勝手に出歩くとロクなことにならない。