乳首のトラブルに悩むプレママからの相談です。乳輪や乳首がかゆく、薬を塗ってもよいのか、どう対処したらよいのかについて知りたいようです。専門家の意見を聞いてみましょう。



妊娠29週のプレママからの相談:「乳首のトラブルに悩んでいます」


妊娠後期に入っており、臨月になったら乳首のマッサージをしてね、と助産師さんに言われておりますが、現在乳首のトラブルに悩んでおります。乳輪がかゆいのもそうですが、乳首自体もかゆみがあり、ついかきむしってしまいます。妊娠初期に全身に湿疹が出た時に貰った塗り薬を乳輪には塗っていますが、乳首に塗っていいのかどうか判断できず、乳首には塗っておりません。産科の健診の際にもなんだか恥ずかしくて言えずにいます。皆さんが抱える悩みなのか、私だけなのか不安です。なにかよい方法はありますか。(20代・女性)




ホルモンの変化や乳汁分泌が原因

妊娠後期には、ホルモンの変化により皮膚が敏感になることや、乳汁分泌が始まり乳首に詰まることなどが原因で、かゆみが起こりやすくなるようです。




『妊娠をすると、ホルモンの変化により、乳首のかゆみや色素の沈着など、乳頭乳輪部にトラブルを感じることは珍しいことではありません。乳首のかゆみは、ホルモンの影響により乳房が大きくなり皮膚が引っ張られることや、皮膚が敏感になることで、衣服との擦れなど刺激の影響を受けやすくなることなどが原因として考えられています。(保育園看護師)』





『皮膚トラブルは、妊娠中に多いマイナートラブルですが、色素沈着・乾燥によるかゆみ・発疹などは乳房や乳頭にも現れます。皮膚の乾燥だけではなく、授乳の準備をする過程で血管や乳腺が発達し、周囲の皮膚が引っ張られることもかゆみの原因となります。また、授乳の準備のために妊娠中から少しずつ乳汁が分泌されます。それが乳首の先端に乳垢として溜まりかゆみを生じることがあります。(看護師)』




清潔と保湿を心がけ、締め付けない

かゆみ対策としては、清潔と保湿が重要だとアドバイスがありました。マッサージや下着による刺激を避け、必要に応じて担当医に相談することも勧められています。




『かゆみの対策としては、清潔と保湿が挙げられます。乳頭に溜まった垢をとる方法として、まずオリーブ油(食用でないもの)でコットンを湿らせて乳頭に湿布します。30分くらいしたらお風呂で優しく洗い流してください。乾燥予防のため、洗浄剤による洗い過ぎには注意しましょう。その後はしっかり保湿することを心がけましょう。乳首のかゆみや痛み等の症状で悩む妊婦さんは少なくありませんし、恥ずかしいことでもありません。産科の医師は、妊娠による身体の変化でそのような症状が起こることを理解していますので、かゆみが強いときや赤みやひっかき傷、湿疹等があれば相談してみてもよいと思いますよ。(保育園看護師)』





『保湿は身体に使っているクリームなどで良いですが、かゆみが強かったり、湿疹やひび割れなどあったりする場合は担当医に相談し、軟膏の処方をもらいましょう。乳頭の皮膚は弱く、少しの刺激でも症状が悪化します。かきむしったり、締め付けすぎたりしないようにしましょう。(看護師)』





ブラジャーは刺激の少ない綿素材や、胸を締め付けないマタニティ用がよいと思います。かゆみや痛みがある時は乳首のマッサージは控えた方がよいでしょう。皮膚の摩擦で刺激され悪化させる場合があります。(看護師)』





『トラブルを抱えたまま出産を迎えると、出産後に授乳困難が起こる可能性がありますので、今からケアをしておくことが大切です。(看護師)』




妊娠後期の乳首のかゆみは、ホルモンの変化や乳汁分泌によって引き起こされるものだと説明がありました。清潔と保湿を心がけ、締め付けない下着を着用することが勧められています。また、医師は妊娠中の身体の変化について熟知しているので、恥ずかしがらずに相談してみるようアドバイスがありました。



監修者:座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師・タッチケアトレーナー。病院産婦人科での勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・育児相談、産後ケアや赤ちゃんタッチをはじめ妊娠・育児講座などに定評があり、精力的に活動中。
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