京都の冬の風物詩として親しまれている「まねき上げ」が11日25日(月)、南座(京都市東山区)で行われた。年中行事の一つ吉例顔見世興行に際して、まねき看板を南座正面に賑々しく飾る。

無事に飾られた役者まねき

朝早くもにも関わらず、歌舞伎ファンや通行人が集まり、最後の一枚・歌舞伎界の大御所「片岡仁左衛門」の名が書かれたまねき看板を飾るのを静かに見守った。

看板は、長さ1.8m、幅約30.3㎝、厚さ約3cm。今年の南座正面に飾られたまねき看板は役者まねき40枚・邦楽連中まねき4枚・口上まねき1枚・興行まねき1枚の総数46枚がズラリと並ぶ。書体は、隅々まで大入りになるようにと縁起を担ぎ、筆太で隙間なく内に丸く曲げる勘亭流で書かれている。

塩まきの儀では、見物客が南座職員から配られた塩を南座に振り、まねきを清め、公演の成功と無事と来年の健康と多幸を祈願した。

この日訪れた京都在住の末木福栄さん(80代)は、まねき上げのために早起きして来たという。「50年間顔見世興行に来ているけれど、まねき上げは初めて見れたので嬉しい。顔見世を見なかったら年を越せないんです」と嬉しさを語った。

まねき看板は、千穐楽を迎える12月26日まで見ることができる。(関西ウォーカー・森田直子)

中村仁左衛門の役者まねきが慎重に上げられる