2015年にメジャーデビューして以降、オリジナルアルバム4枚、シングル11枚をリリースし、二度の日本武道館公演を成功させてきたアルスマグナが、初のベストアルバム『ARS THE BEST』を11月27日にリリースする。『ARS THE BEST』は、デビュー曲「ミロク乃ハナ」から新曲「エグいくらい超マグナ」「ハレルヤ」まで、これまでとこれからを感じることができる作品となっている。本インタビューでは、ベストアルバム収録曲をもとにメジャーデビュー以降を振り返ってもらった。

――初のベスト盤がリリースされるということで、このタイミングメジャーデビュー以降の時間を振り返ってみると、それぞれにとってどういったもので、どんな見つけものがあったのでしょうか。

九瓏ケント:作品リリースライブを重ね、気がついたらベスト盤。今に至るまで、僕はあっという間だった気がします。ダンスから初めて「ミロク乃ハナ」でCDデビューして、ここまで成長できたことをありがたくも思うし、今回のベスト盤はあらためて気を引き締めさせてくれる1枚でもあります。

朴ウィト:(九瓏ケント)先生と同じように、デビューからこれまではあっという間だったな、と思いつつ……武道館公演を二度もやらせてもらって、アルバム4枚にシングル11枚とたくさんの作品をリリースさせてもらって、幸子おばあさま小林幸子扮する九瓏幸子)はじめすごい方たちともコラボさせてもらって。活動を重ねる中でアルスマグナを俯瞰で見られるようになってきた今、感謝の気持ちがよりいっそう大きくなっているし、これからの自分たちがさらにどう進化していけるか、っていうワクワク感もあります。

泉奏:本当にあっという間で、濃い時間は過ぎるのが速いんだな、ということをひしひし感じています。ツアーも毎年やらせていただいて、楽曲のひとつひとつがたくさんの思い出で彩られているし、メイトアルスマグナファンの呼称)さんたちといろいろな景色を見ることができて。おれたちはとても幸せ者です。

榊原タツキ:僕にとって、『ARS THE BEST』はアルスマグナの成長記録であり、僕自身の成長記録でもあって。1曲1曲に思い出がありますし、できなかったことがどんどんできるようになっていったなって振り返るととても感慨深いです。

神生アキラ:こうしてベスト盤をリリースできるのは、メイトのみなさんがたくさん応援してくださったおかげ。ただ、ここがゴールではないし、ベスト盤ですらまだアルスマグナを完全に表現できていないんじゃないかと思うし、アルスマグナってそこが面白いなって感じているので。あらためて、アルスマグナライブを生で観てもらいたいなという想いも強まっています。

――初回限定盤BのDisc2に収録されるアルスマグナ初のライブ音源を聴けば、まだ足を運んだことがない方もライブに行きたい!とウズウズしてしまうことでしょう。

神生アキラ:そうなってくれたら本当に嬉しいし……ありがたいことに全国いろんなところに応援してくれるメイトちゃんがいて、中にはなかなかライブには足を運べない、という方もいると思うんですよ。そういうときに、お客さんの声援も入ったライブ音源を聴いて雰囲気を感じ取ってもらいたいなという気持ちもあります。

――ちなみに、ベスト盤収録曲の中で、それぞれ特に思い出深い曲を挙げていただくとしたら?

榊原タツキ:僕は「EverYell」。アルスマグナ初の主演映画『ザ・ムービー アルスマグナ危機一髪』の主題歌でもありましたし……実写のダンス映像とメンバーダンスモーションキャプチャーで撮影したCG映像が融合した2.5次元MVという、新しい試みをしまして。アルスマグナらしい表現ができたなという自負があります。

朴ウィト:僕は「チョークスリーパーまり子先生」です。その前のシングル数作ががっつり踊りモノではなかったところにガツンと踊る「チョークスリーパーまり子先生」がきて、MV撮影ではほぼセンターポジションで。「ギガンティックO.T.N」とか激しいダンス曲でみんなを引っ張っていこう!って思っていたころみたいな感覚が蘇って、ますます気合いが入ったんですよ。僕の中では、ターニングポイントです。

泉奏:おれが本当に好きなのは「EverYell」なんですけど、先輩(榊原タツキ)が選んだので違う曲にすると……。

榊原タツキ:うわ、ごめん!(笑)

泉奏:となると「ミロク乃ハナ」ですね。いろいろなところで披露している曲ですけど、『アルスマグナ LIVE TOUR 2015夏にキスしていいですか?~半熟ロマンス臨海学校~』のファイナルZepp DiverCity公演で、先生が初武道館ライブ決定のお知らせをメイトのみなさんにしたあとに披露した「ミロク乃ハナ」は、すごく記憶に残っていて。先生の発表シーンからの「ミロク乃ハナ」の終わりまで、今もたまにライブ映像を観るんです。

九瓏ケント:……それはなかなか恥ずかしい(笑)

泉奏:でも、何度観てもゾクっとするんですよ、あのシーンメイトのみなさんにいろんな景色を見せたい、と思ったそのときの気持ちは忘れちゃいけないって思うし、感謝の気持ちは自分たちの踊りや表現でちゃんと返していかなきゃって。すごく大事な曲です。

九瓏ケント:「ミロク乃ハナ」出ちゃったか……(笑)

泉奏:今度はおれがやっちゃいました、すみません(笑)

九瓏ケント:じゃあ、僕は「アルスブートキャンプ」。楽曲によってアルスの中からキャラクターが生まれることがあって、「アルスブートキャンプ」は、ツアーでやるにあたり「先生が教官になったほうがいいんじゃない?」っていうアイデアから、僕が厳しめの教官に扮しまして。夏に向けてシェイプアップするために、ボディメイクの先生と一緒になって、あくまでエクササイズになる動きでダンスを組み立てていったら……ライブでめちゃめちゃ盛り上がる曲、みんなで騒げる曲になったんですよね。

朴ウィト:先生が各地にレッスンに行ったりもしませんでした?

泉奏小学校にも行っていましたよね。

九瓏ケント:そうそう。初めて、学校とかダンス教室とかに教えに行って。なかなかできない体験もできました。

神生アキラ:「ミロク乃ハナ」も外せないし、「アルスブートキャンプ」はみんなが参加できる曲にできたし……。

九瓏ケントアキラは2つも先にとられちゃったのか(笑)

神生アキラ:その上で僕が挙げたいのは「サンバDEわっしょい!feat.九瓏幸子」。世界的大ヒット曲「サンバ・デ・ジャネイロ」のサビをサンプリングしたフレーズお祭りソングテイストを掛け合わせたナンバーで、「サンバ・デ・ジャネイロ」の権利者への使用許可確認が難航したりもしたんですけど、なんとか出せることになり、幸子おばあさまともコラボレーションすることができて。ライブで幸子おばあさまの隣で歌わせていただくときには、ものすごく緊張するかなと思っていたら……驚くほど安心感があったんですよね。『氣志團万博2016~房総ロックンロールチャンピオン☆カーニバル~』や、この間小林幸子さんのコンサートに呼んでいただいたとき、一緒に「サンバDEわっしょい!」を歌わせてもらうとやっぱり楽しくて、そう思わせてくださる幸子さんの包容力は偉大だなとも思います。

――さらに、今回のベストには「エグいくらい超マグナ」「ハレルヤ」と新曲も2曲収録されていまして。アルスマグナらしい賑やかで展開目まぐるしいダンスチューンで、日本カルチャー満載&情報量多すぎなMVも楽しい「エグいくらい超マグナ」は、どんなキーワードから生まれた楽曲なのでしょうか。

神生アキラ:先生と俺と作曲者で楽曲打ち合わせをしたとき、「オタ芸って日本の文化だよね」っていう先生の言葉から日本の文化にスポットを当てようということになって。リオオリンピックの閉会式映像を持ってきてくれたディレクターさんの「日本っぽく始まりたいけど日本っぽくない終わりたくない」っていう意見も取り入れつつ。いろんな音楽要素を詰め込んで、オタ芸といえばの秋葉原はじめ東京各地を巡っちゃおう、来年の東京オリンピックに向けて外国人の方も意識しながら、とにかく誰かに引っかかれ!っていういやらしい想いをのせて(笑)、できていったんですよ。

――実際、一度聴いたり観たりしたら忘れられない衝撃がありますし(笑)、聴くたび観るたびに新しい発見もある中毒性の高い音楽と映像です。

神生アキラ合成でどう使われるかよくわからないままソロのカットを撮影していたから、僕たちも仕上がったMVを観て驚いたもんね。

九瓏ケント絵コンテもざっくりしていたしね(笑)

泉奏:「このシーンは浅草が舞台だから」って言われるくらいで(笑)

神生アキラ:出来上がってみれば、ひとつのシーンメンバーが10人くらいいたりとかするし、さっき言ってもらったみたいに「情報多すぎるな!」って(笑)

榊原タツキ:よく見ると、アキラ警官に追われるコンちゃん(うさぎぬいぐるみコンスタンティン)がちょろちょろ走っていたりとか(笑)。めっちゃかわいい

アルスマグナ・朴ウィト

アルスマグナ・朴ウィト

――しかも、高速ダンスはやっぱりキレッキレで。表情ひとつ変えずに難易度の高い技を次々と繰り出すみなさんはやはり超人だなとあらためてうならされます。

九瓏ケント:実際、なかなかキツいですけど(笑)。僕たちにしてはテンポゆっくりめなので、有酸素運動っぽい疲れ方をするというか。

泉奏:確かに、「エグいくらい超マグナ」だと呼吸できちゃいますからね。

榊原タツキ:「チョークスリーパーまり子先生」なんか……

朴ウィト:あれ、息できない!(笑)

神生アキラ:うん、無呼吸状態(笑)

九瓏ケント:酸素が足りなくて、だんだん手足がしびれてくるもんね(笑)。そういう「チョークスリーパーまり子先生」とはまた違った大変さが「エグいくらい超マグナ」にはあるんですけど……とりあえず、ちょっとでも恥じらって真似したら恥ずかしいようなことを、僕たちは全力でやっています(笑)

朴ウィト:確かに、心を裸にして全力でやらないといけない(笑)

九瓏ケント:でも、そこがアルスマグナの良さだし、面白さだし、奥行き。僕は、そう思っています。やっぱり踊りには絶対の自信があるから、くだらないこともいろいろやるし、どうにでも変化できるんですよ。

――今回も、オタクやホストになりきったり、ウィトさんがJKや夜の蝶になったり。

朴ウィト:もうね、めっちゃ楽しかった!(笑)

九瓏ケント:そういう振り切ったことをやらせたいっていう監督がいて、それを僕たちも全力で楽しんでっていうのがアルスマグナのMVなんです。

――本当に、アルスマグナエンターテインメントは幅も奥行きもありすぎるな、と感じます。それから、「ハレルヤ」はピアノストリングスの奏でも美しいしっとりメロウナンバー。これまでの歩みの光だけでなく影の部分にも向き合い、ファンへの想いを綴った歌詞にも、グっときてしまいます。

神生アキラ:「ハレルヤ」は、作詞・作曲に携わってくださっている方たちからのプレゼントという形で制作がスタートしまして。そうやって支えてくれる方たち、応援してくれるメイトちゃんたちから贈られた曲、という認識で僕は歌いました。

朴ウィト:さっき「影の部分にも向き合い」って言ってもらったように、「ハレルヤ」は自分の弱さにも向き合った心の歌だよね。

泉奏:そうですね。浸っちゃう曲だから、おれはここぞというときにしか聴かないようにしようと思っています。

榊原タツキメロディも歌詞もアキラくんの声もとても綺麗で。僕は「Letter」と同じプレイリストに入れて、アキラくんがひとりで歌っている姿を思い浮かべながら、心を落ち着かせたいときに聴いています。

九瓏ケントメイトちゃんたちにはそれぞれの受け止め方で、それぞれのものにしてほしいなと思う曲だよね。

神生アキラ:そうそう。自由に聴いて、受け止めてもらえればいいなって。よくあるじゃないですか、ひとりでバラードを聴きながらの帰り道、気づいたらひとりMVを撮っているみたいな気分になったりとか……。

泉奏:それ、自分でやってますね?

神生アキラ:うん、撮るんだったらこの角度からだな、とかって思いながら(笑)。そんなふうにでも、どんなふうにでも使ってほしいな、と思います。

――ほかにも、メンバー5人と1匹(コンスタンティン)がそれぞれ選ぶ“ソロ盤”6パターンがあったりと、ありがちなベスト盤になっていないところも実にアルスマグナらしいわけですが、そんな充実作で締めくくる2019年、それぞれにとってどんな1年になったのでしょうか。

神生アキラ:いやぁ、気づいたら1年が終わっていたな、って毎年思うんですけど……1年が長く感じちゃったらそれは中身が薄かったということだろうから、きっと今年も濃い1年をすごせたんじゃないかな、と思います。

榊原タツキ:ですね。僕は今年3年生として、ダンス部部長として、責任感が強くなった年だった気はします。

九瓏ケント:……(タツキを見つめながら首をひねる)。

泉奏:えっと、結成してすでに8年経ってますけど、ようやくですか?(笑)

榊原タツキうん!(笑) このメンバーだとどうしても頼って甘えちゃう部分もあったんですけど、今年は『榊原家のTea Party』を開催したりとか、新たに増えた部員の面倒を見たりとかして、少しは成長できたのかなって。

九瓏ケント:来年はより頼られる先輩になれるといいな。

榊原タツキ:はい、それを目標にします! ちなみに、今年の『榊原家のTea Party』に遊びに来てくれたのはウィトっちだけだったんですけど……。

九瓏ケント:それ言ったらさ、『KENTO KUROU in “Dark Retribution”~紫焔の天穹~”』に来たの、泉だけだったよ?

――あら、藪を突っついたら……。

榊原タツキ:蛇が出てきちゃいました(笑)

九瓏ケント:それにさ、ベルト忘れた人が言えないでしょ。

榊原タツキ:それは本当にごめんなさい、今日ベルト忘れちゃったので……。来年は忘れ物しないようにしなきゃ。

朴ウィト:忘れ物しない年、ないもんねぇ。

榊原タツキ:うん、なんでだろう……来年は頑張る。

九瓏ケント:期待できるのかなぁ(笑)。僕はですね、今年は“自分になにができるんだろう”っていうことをすごく考える年だったんですよ。ブログや握手会でメイトの方からいただく声の中には、「就職しました」「転職しました」という前向きなものもあれば、「検査で重い病が見つかりました」という簡単には受け止められないようなものもあるんですね。そういういろいろな状況/境遇の方たちに、一生懸命踊るということは当然のこととして、言葉にしなくても自分が伝えられることってなんだろう、どうすれば楽しくなってもらえるんだろうっていう。考えてもなかなか答えは出てこないんですけど、ベスト盤を出して、ここからまた活動を重ねていく中で気づけるようになれたらいいなとは思っています。

朴ウィト2019年、特に前半は各個人とかユニットでの活動時間を増やしたぶん、アルスマグナとしてのツアーがなかったんですけど、11月に台湾でライブをしたとき、メイトのみなさんたちと一緒に思いきり騒ぐ時間って本当に楽しくて。去年まで当たり前のようにあったツアーはものすごく大事だったんだな、やっぱり僕はライブが好きだ!って思ったんですよ。だから、2020年アルスマグナとしてたくさんライブをしたいです。

泉奏:確かに、これまでは年間通してみんなで一緒にいることが多かったので、今年前半の個人やユニットでの活動を経てみんなでまた集まってみれば、やっぱりみんなって面白いんだなって思いましたしね。練習するときやこういう取材のときにしても、普通に時が流れていかないし。タツキ先輩が忘れ物をしても、それが悪い方向にいかずに楽しくワイワイした雰囲気になりますから。刺激のある生活を送れて、それを楽しんでくれるメイトのみなさんがいる。それはとても幸せなことなんだということにあらためて気づけた年でもあります。

――そして、2020年2月でCDデビューからちょうど5年という節目を迎えるんですよね。

神生アキラ1月26日に大阪 IMPホールにて、2月1日に東京・豊洲PITにて行う『アルスマグナSpecial Live 2020~私立クロノス学園ダンス部New Year Party~』を皮切りに、アルスマグナらしい非日常を味わえるライブもたくさんしたいし、楽しいことはいろいろと考えているので。2020年もまた、僕たちにとってもメイトのみなさんにとってもいい1年だったな、あっという間だったなって振り返れるような年にします!


取材・文=杉江優花 撮影=菊池貴裕

アルスマグナ