米倉涼子主演の人気医療ドラマ「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」第6シリーズテレビ朝日系・木曜21時〜)第6話。

キッズビジネスで成功し、個人資産だけで1000億円とも言われる実業家・六角橋翔太が登場。難病を患った少女・皆月むつみ(宝辺花帆美)を連れて神原名医紹介所を訪れた。

このタイミングで前澤社長っぽい金持ち登場
他の病院で手術適応外とされたたむつみを支援するため、「どんな難しい手術でもできる医者がいる」と大門未知子(米倉涼子)の噂を聞きつけて来た六角橋。しかも「金が必要ならいくらでも払う」という太っ腹だ。

しかし六角橋は、むつみとの写真をSNSアップして「いい人」アピールを欠かさないわりに、名前はうろ覚え売名行為として割り切ってやっているのだ。

「私は売名し、子どもは病気が治り、あなた方(病院)は儲ける。みんなが勝つのがビジネスでしょ?」

病院の食堂でブラックカードを切って全員に食事をおごったり、唐突に麻酔科医・城之内博美(内田有紀)を誘って「ふたりで会計100万円」のディナーに行ったり。これ見よがしに金を使いまくるスタイル

・超金持ち
・メチャクチャ金遣いが荒い
・病気の子どもを支援
・女に手が早い

この辺の要素を総合すると、元・ZOZOの前澤友作社長をモデルにしているのは明らかだろう。偶然だが、剛力彩芽との破局が伝えられた直後の放送。「ドクターX」、またも持ってる(実際、視聴率もよかったようだ)。

しかし、前澤さんが病気の子どもを支援していたのは、ストレートにいい話なので、こんなイヤな感じにドラマ化しなくてもいいのに……とは思ったが。

今ではメッチャ金持ちな六角橋だが、子ども時代に父親の会社が倒産し、家の全財産が500円玉一枚という悲惨な経験もしていることも明かされた。

「それ(500円玉)をいずれ、5億、50億にするのが僕の夢だったんです。僕は金の力を信じています。金があれば宇宙にでも行けるしどんな夢もかなう! 売名と言われようが、命を買っていると言われようが構いません」

……やっぱ前澤社長だな。

大門未知子と城ノ内博美の間に確執が
今回、長年のパートナーである大門と博美の間に、むつみの手術を巡って確執が生まれた。

子どもの身体への負担を考え、手術は二回に分けて行う予定となっていたのに、「一回で済ませた方が負担は少ないでしょ?」という大門の独断で、一気に手術をしてしまったからだ。

とはいえ、これまでの大門の行動パターンを考えればこんなのは想定内。博美がここまで過剰に反応したのは、患者が子どもだったからだろう。

シリーズには娘がまったく登場していないので忘れそうになるが、もともと博美はシングルマザーとして娘を育てるのを優先するため、医局を辞めて神原名医紹介所に入ったのだ。娘がバレエ留学する資金を稼ぐために職場を変えたこともある。

博美にとって娘はどんな犠牲を払っても守るべき存在なのだ。それだけに、子どもの手術で暴走した大門を許せなかったのだろう。

大門の方は、博美が六角橋と高い肉を食ったことに嫉妬しているだけだが。

貯金を考えたことのない金持ちが血を貯める
むつみの手術は無事終わったものの、今度は六角橋に「肝細胞がん」が見つかる。

そもそも、大門の噂を聞きつけて来たのだから、素直に大門に手術を依頼すればよさそうなものだが、博美に色気を出している六角橋は、

城之内先生の意見を聞きたい。執刀医は誰がいいと思いますか?」

なんて命がけの色ボケ発言をする。

結果、大門とケンカ中の博美は、明らかに手術の腕が劣る海老名敬(遠藤憲一)を指名。……ひどい!

しかも六角橋の血液型は「−D−(バーディーバー)」という特殊なもの。輸血を血液製剤に頼ることができないため、事前に自分の血液を抜いて貯めておく「貯血」をする必要があるのだ。

これまで貯金など考えずにバンバン金を使ってきた六角橋が血液を貯めるという皮肉。

六角橋が希望を失いかけていたところ、売名のために支援したむつみが「つかってください」と渡してきた500円玉にグッとくる。

手術中に貯血しておいた血液が足りなくなった際、ワインを薄めて飲んでいた海老名のケチな行動から発想し、血液を薄めて使用する「希釈式自己血輸血」で乗り切る。

最後には大門が登場。手術の中止を勧める海老名に対し、大門と博美がダブルで「いたしません!」。コンビ復活だ。

悪役が出てこないと盛り上がりが……
色々な伏線をキレイに回収していたのに、見ていていまひとつスッキリしなかったのは、今回、悪役らしい悪役がいなかったからだろうか。

六角橋は自己顕示欲が強く、バカっぽさはあるものの、悪人ではなさそうだ。

従来のシリーズで悪役を担当してた西田敏行遠藤憲一も、すっかりカワイイおじさんになってしまっている。

そして、今シリーズにおいて悪の親玉であるはずのニコラス丹下(市村正親)も、六角橋の病気をマスコミにリークすることで株価を操作して儲けるという、セコイ悪事を働いていただけ。

やはり「ドクターX」の本質は「水戸黄門」。悪役たちの執拗な妨害を耐え抜いて、「ひかえおろう!」ならぬ「失敗しないので!」でスカッと蹴散らすというのが王道パターンだ。

「なんで患者の命まで巻き込んで、こんなケンカをしてるんだ?」と思ってしまう博美とのケンカでは盛り上がりに欠けてしまった。
イラストと文/北村ヂン

【配信サイト
Abema TV
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『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』テレビ朝日
脚本:中園ミホ、林誠人、香坂隆史
音楽:沢田完
主題歌P!NK「ソー・ホワット」
企画協力:古賀誠一(オスカープロモーション
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、都築歩(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、大垣一穂(ザ・ワークス)、伊賀宣子(ザ・ワークス
演出:田村直己(テレビ朝日)、松田秀知、ほか
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日

イラストと文/北村ヂン