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 つい先日、本屋レストランに常駐を許された看板猫の心温まるニュースを伝えたばかりだが、世の中にはやはりシビアな判断を下す店もある。だが飲食を扱う店で顧客の安全を考えるなら致し方のないことなのかもしれない。

 イギリスノーフォーク州にあるスーパーで、1年半ほど店に出入りしていた近所の飼い猫が、突然「出禁」を言い渡された。

 この猫はこれまで、スーパーを利用する顧客たちに愛されていた存在だった。店側の断固たる入店拒否の姿勢を知った地域住民たちは、このスーパーのものを買わない、不買運動まで起こしているという。

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近所のスーパーに通い続ける近所の猫

 ノーフォーク州ノリッジのドレイトンにあるチェーンスーパー「テスコ(TESCO)」には、この1年半ほど、ある1匹の猫が足繁く通って来ていた。

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image credit:Jo Harding

 白と茶色のオス猫パンプキン(6歳)は、テスコや美容院、不動産やパブが立ち並ぶ表通りからほんの90メートルほど先にあるジョーハーディングさんに飼われている。

 夫や娘、孫と暮らすジョーさんは、パンプキン以外にも犬猫を7匹飼っているが、もと野良だったパンプキンを引き取ってとても可愛がってきた。

 パンプキンは、なぜか他の店には目もくれず、テスコだけが大のお気に入りだったようだ。1年半ほど前からスーパーの出入り口付近でくつろぐようになった。その後は店内に入りこみ、通路を自由にうろついたり、レジカウンターに居座って昼寝をしたりするようになったという。

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image credit:Jo Harding

 地元住民の中には、店に来ては頻繁に目にするその猫が誰の猫なのか興味津々な人も多く、Facebookのコミュニティ・グループのアカウントで撮影したパンプキンの写真とともに「この猫、誰の!?」と尋ねる投稿が相次いだ。

 度々、「私の猫よ」と返信することが面倒になったジョーさんが、数か月前にパンプキンのためのアカウントを設定したところ、現在この非公開アカウントのメンバーは500人以上になったそうだ。

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image credit:Jo Harding

パンプキンに下された1年半後の出禁命令


 この1年半、スーパー側から特に苦情もなく、ジョーさん自身も仕事帰りによく立ち寄ってはスタッフに可愛がられているパンプキンの姿を店内で目にしていた。

 ところが、最近になってスーパー側が突然パンプキンの店への出入りを禁じたのだ。

1年半も経った後になぜパンプキン出入り禁止になったのか、その理由はわかりません。

スタッフは可愛がってくれていたと思っていたし、私が店に行った時には「ごはんをあげるから帰ろうね」と言うと、パンプキンは私について帰ってきていました。

パンプキンはたいていは警備員のように出入り口付近にいました。急な出禁命令に、正直困惑しています。(ジョーさん)

 一方、テスコ側は次のように述べている。

もともと、猫は食料品店の中にいるべきではありません。その猫は、店の外で客か近所の人たちに餌をもらっていたようですし、店内が暖かいから居心地よくて居座っていたのでしょう。

だいたい、店の猫でもないのです。私たちスタッフは猫は大好きですが、猫にとってもここは最適な場所とはいえないでしょうから、店内に入ろうとすればスタッフが優しく出て行くよう促します。

当店にとって、この猫は邪魔でしかなく悩みの種なのです。


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image credit:Jo Harding

パンプキンファンの顧客たちは、テスコでの不買運動を実施


 Facebookを通してテスコ側の対応を知った人々は「店がパンプキンを追い出した」と怒り、団結して不買運動を始めた。

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image credit:Wikimedia Commons

 現在、出入り禁止を命じられたパンプキンをサポートする声が、ノルウェーカナダなど海外からも数多く寄せられ、ジョーさんは驚きを隠せない。

地域のみなさんに、ウチの猫が可愛がられているとは知っていましたが、まさかここまでになるとは。地域魂には驚かされています。

猫が原因でテスコでの買い物をボイコットするなんて、ちょっと行き過ぎだとは思いますが、サポートはとても嬉しいことです。

猫が、スーパーの中に入るべきではないのはわかります。でもパンプキンはもと野良猫で、外をうろつく習性があるし、猫だから繋いだままにして自由を奪うのも不公平だと思います。


 ちなみに、Facebookには「出入り禁止なんてかわいそう」「地域の人たちは、パンプキンが大好き」「猫に出入りを禁じるのは無理。どこでもうろつく生き物なんだから」といったパンプキンを擁護する声が挙がっているが、一方で「やっぱり食べ物を扱う店に猫をいさせるのはどうか。店側に賛成する」という意見も寄せられている。

References:Eastern Daily Pressなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52284993.html
 

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