かわいらしい子犬のような動物の亡骸はなんと1万8000年前のものだ。ヒゲもまつ毛もハナもふわりとした被毛も、まるでつい最近のもののような状態で残されている。
この子どもの動物はシベリア東部のヤクーツクで命を落として以来、永久凍土に埋められ、完璧な保存状態で発見された。死因はまだはっきりしない。しかし、その姿を見るかぎり苦痛にもがいて死んだわけではなさそうだ。
この動物は現在、大きな謎に包まれている。
生後2か月で命を落としたオスであることは判明した。だが、これだけ保存状態が良く、現代科学で精密なDNN分析を複数回行ったにもかかわらず、犬なのかオオカミなのかまったく判別がつかないのだという。
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犬の子?オオカミの子?
この子は「ドゴール」と呼ばれている。ヤクーツクの言葉で「友達」という意味だ。ドゴールの年齢と性別は、放射性炭素年代測定法と遺伝子検査から判明している。だが種別がはっきりしないのだ。
犬の子なのかオオカミの子なのかがわからないのだ。もし犬なら、発見されたものとしては世界最古の犬である可能性もある。
スウェーデン、古遺伝学センターのデビッド・スタントン博士は「通常なら両者を見分けるのは比較的簡単なのです」と語っている。
「すでにデータがたくさんあるので、どちらなのか判別できるはずなのですが、それができないということは、犬とオオカミの祖先にあたる個体である可能性があります。」
そもそも犬は、いつオオカミから分岐したのか?
犬とオオカミは1万5000~4万年前に分岐したと考えられている。
ドイツで1万5000年前の犬の化石が発見されていることから、その時代までに犬が登場していたことは判明している。
しかし、さらに古い4万年前の旧石器時代にさかのぼる犬とされる化石については、本当に犬なのかどうか現時点でも議論が交わされている最中だ。
また家畜化が起きた時期やプロセスについても結論は出ていない。
2017年の研究によれば、2万~4万年前に単一の集団から家畜化がはじまったという。しかし2016年の研究では、1万4000年より以前に、アジアとヨーロッパに生息していたふたつの別個の集団からはじまったと主張しており、議論は容易には決着しそうにない。
今回の発見が犬とオオカミの分岐点の解明につながるかも
スタントン博士が説明したところによると、イヌはオオカミの絶滅した種から家畜化されたと思われるのだそうだ。このために、それが起きた時期や場所を解明することがむずかしいものになっているという。
なお、ドゴールは今もシベリアにいるが、その肋骨はスウェーデンの研究所に送られ、さらに詳しい遺伝子解析を受けているところだ。
その結果次第では、犬とオオカミが共通祖先から分かれた時期や、イヌが家畜化された時期についてより詳しいことが明らかになるだろう。
References:Centre for Palaeogenetics /s-vfu.ru/ written by hiroching / edited by parumo
新たなる発見により、これまでの研究結果が覆されるのはよくあることだ。犬の起源やオオカミからの分岐、家畜化に関する研究結果はいくつか発表されているが、ドゴールが新たなる事実をもたらしてくれるかもしれない。
全文をカラパイアで読む:http://karapaia.com/archives/52285174.html
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