車載システムの中でも成長率が高いEV化とADAS

クルマ関係の市場調査に強い米国ボストンを本拠とするStrategy Analytics社のアナリスト数名が来日し、今後のクルマ市場について調査結果を紹介した。クルマの未来はADASとHEV(ハイブリッド車)/EV(電気自動車)化の成長が大きいと予想している。消費者にもアンケート調査を行い、「自動運転を望んでいない」という結果も現れた。

まず、クルマエンジントランスミッション、シャーシ、HEV/EV化、ADAS、ボディ、ドライバー情報などのシステムに分け、この内最も大きな成長率を占めるシステムは、やはりHEV/EV(ハイブリッド電気自動車/電気自動車)化とADAS(先進ドライバー支援システム)であった(図1)。HEV/EV化はCAGR(年平均成長率)が27%と最も高く、次がADASの16%成長が続いた。それ以外は全て5%に満たない。

電動車が高い成長率

現在のHEV/EVの生産台数は2018年に約700万台だが、2026年には3500万台に成長すると予想する。このHEV/EVをさらに分け、マイルドハイブリッド、従来のフルハイブリッドプラグインハイブリッド、バッテリEV、燃料電池車に分け、2018年から2023年までの成長率(CAGR)を見積もると、従来のハイブリッド車は最低の成長率で5%に満たない。燃料電池車が100%増と最も高いが、2026年になっても絶対値は極めて少なく20~30万台にとどまる。燃料電池車は燃料となる水素ステーションの設置というインフラ問題が未熟なため時間がかかりそうだ。その他は数百万台以上のレベルに達しながら成長率も40%程度と高い。

48V直流電源を使って回生ブレーキで充電し、起動時に電気も使うマイルドハイブリッド車は40%近い成長率で、プラグインハイブリッドも同じ程度の成長率、バッテリEV車は36%程度とやはり高い。従来のハイブリッド車はもはや伸びなくなりつつある。

HEV/EV化で期待される半導体SiCのMOSFETで、モータを駆動するためのインバータ(直流から3相交流を作り出す装置)に使われると期待されている。このトランジスタ2020年以降に期待され、Infineon TechnologiesやSTMicroelectronics、ローム、Wolfspeed、富士電機、三菱電機デンソー、ON Semiconductor、東芝、Littlefuseなどのメーカーが競争している。自動車向け半導体の中でHEV/EV向けは2017年の5.7%が2026年には13.3%にも増えると予想している。

HEV/EVの次に成長が期待されているADAS需要は世界的に2026年に640億ドルが見込まれている(図3)。ADASの中に、車車間および車路間の通信V2V/V2Xや、カメラ超音波による駐車支援、ナイトビジョン、e-callサービスなどが含まれており、中でも成長率と市場規模の組み合わせが最も優れているのは、周囲のクルマや物体との距離が近づきすぎると警告を発する、距離警告である。また自動緊急ブレーキシステムAEBも特長的な機能である。ただし、2023年くらいまでは40%~70%で伸びるが、それ以降2024~2026年ごろは20~30%に落ちるが、ADAS機能はコモディティとなり成熟してくる。

人間の目の代わりを務めるセンサも成長する。超音波センサ、レーダー、LiDAR、イメージセンサカメラなどを含むセンサは2017年の60億ドルから2026年には210億ドルに成長する(図4)。レーダーカメラは成長率が少しずつ鈍ってくるが超音波は飽和してくるため、相対的な比率は落ちてくる。伸びると見込まれるのはやはりLiDARで2017年の4%から2026年には26%にも伸びる

消費者が最も高い関心を持つものとは?

Strategy Analyticsは、消費者に対しても調査を行い、要望の強いものと弱いもの、年齢層での違いなど、需要に対しての結果を得ている。対象とした消費者は、米国と欧州、そして中国だ。例えば、ACES(Autonomous、Connective、Electric、Sharing。CASEとも)の中のコネクティビティに関して、2014年における米国消費者への調査では全く重要ではないという答えが最も多かったのに対して、2019年には重要だという答えの方が重要ではないという回答よりも大きくなった(図5)。

コネクテッドカーの応用としてどのようなサービスを望むかという質問では米中欧で多い答えが、走行ルートの前方の交通事故情報や、交通状況に応じた代替ルートの推奨、すぐ近くの交通状況など走行ルート通りに走れる状況になっているかどうかの確認が多い。車内からe-コマースによる買い物という要求はほとんどない。

また、クルマで聴く音楽ソースに関する回答で、従来のAM/FMラジオと、スマートフォン(スマホ)の音楽やインターネットによる音楽配信の比較では、欧州の消費者は半数以上がAndroid AutoApple CarPlayを通して音楽を聴いていることがわかった(図6)。つまり音楽類はスマホとインフォテインメントコンピュータとのミラーリング、すなわちスマホでできる機能がクルマでも実現できることが望まれている。

また、音声入力タッチスクリーン入力に関しては、満足度が世界的に徐々減っている(図7)。スマホでは、いずれも満足度が高いのにもかかわらず、クルマのHMI(ヒューマンマシンインタフェース)では音声入力の認識率が低く、満足度は落ちている。スマホではクラウドコンピュータ音声認識しているのに対して、クルマは車内のECUで対応しているからだ。また、運転中はスクリーンにずっとタッチしている訳にはいかない。

若い世代の方が自動運転を受け入れやすい

自動運転に対する意識は、若者とシニアとでは大きな差がみられた。完全自動運転に対しては積極的に望む人は18~24歳では18%もいるのに対して、55~70歳のシニアはわずかに3%に留まる(図8)。完全自動運転をできれば要らないという人は若者が25%しかいないのに対して、シニアは69%もいる。自動駐車でさえ、若者は22%が積極的に望んでいるのに対してシニアはわずか5%しかいない。ただし、緊急ブレーキに対しては、全消費者の84%が望んでいる。また、自動運転のバスやタクシーは欧米の消費者は、半数近くがその必要性に関心を示さないが、中国では逆に85%程度の人が関心はあると述べている。

クルマでのエンターテインメントでは、スマホとのミラーリングが望まれているが、カーナビゲーションでもミラーリングできれば、最新地図をGoogle Mapから即座に得られる。カーナビをはじめとしてスマホとECUとのミラーリングの要求は高そうだ、とStrategy Analytics社のUX調査部門でバイスプレジデントのKevin Nolan氏は見ている。
(津田建二)

画像提供:マイナビニュース