ストリーマーのGiantWaffleことアンドリュー・ボディーン氏が1ヶ月で合計573時間のストリーミング配信を行い、これまでの世界記録だった569時間を塗り替えた。この「Streamvember」と名付けられた挑戦では、1日平均19時間、11月1日から30日まで毎日配信が行われた計算となる。

 GiantWaffle氏のTwitchチャンネルには11月1日から毎日19時間配信を行うすべてのアーカイブが保存されている。すべてを視聴するにはほぼ1ヶ月の時間が必要になる巨大なアーカイブだ。

(画像はGiantWaffle氏のツイッターより)

 GiantWaffle氏は毎日19時間の配信、睡眠時間は3時間半、フリータイムはわずかに30分という過酷なスケジュールを完走するため、約3ヶ月間のトレーニングを積んだという。

 長時間配信で頼りになるのは長時間遊べるゲームだ。氏のプレイしたゲームはEscape From TarkovRainbow Six SiegeRocket Leagueといったマルチプレイ対戦ゲームが多く含まれている。また、Red Dead Redemption 2Factorioのようなボリューム満点のゲームもプレイしている。
 このほか、ルイージマンション3Death Strandingなども配信。特に『Death Stranding』は大いに楽しめたようだ。Day 8からDay 9にかけてプレイし続けている。

 もちろんストリーミング中は常にゲームをプレイしているわけではなく、クッキングをする様子も見られる。ゲームをプレイし続けるのではなく、ストリーミングをし続けることが目標だ。

 1ヶ月間のハードなスケジュールをこなすために3ヶ月間用意し、1日の大部分をストリーミングに費やして得られるものは何なのだろうか。世界記録樹立は当然話題になり、視聴者や登録者数は大きく伸びることは予想できる。Twitchのデータを収集するTwitchtracker.comによると、1ヶ月の推移は以下の通りの結果となっている。

(画像はTwitchtracker.comのGiantWaffle氏のページよりキャプチャ)
(画像はTwitchtracker.comのGiantWaffle氏のページよりキャプチャ)

 「Streamvember」を敢行した11月と10月を見比べると、フォロワー数は前月比で約10倍、視聴回数は約2倍、平均視聴者数は2000人上昇、最大視聴者数は2倍以上とほとんどすべての数値が大きく伸びていることがわかる。

 逆に、ストリーマーがストリーミングを休むとどのようなことが起きるのだろうか。世界でもっとも成功したストリーマーのひとり、Ninjaことタイラー・ブレビンス氏がNew York Timesのインタビューで答えている。

 インタビューの中で「このインタビューの1時間でどれほどのフォロワーを失いましたか?」と聞かれたNinja氏は、200人から300人ほどだろうと答えている。E3のトーナメントに参加するために4日間ストリーミングを休止したところ、10万人がフォローを解除したという。チャリティートーナメントだったため賞金を得ることができなかった。Ninja氏はただ10万人のフォロワーを失った結果だけが残った。リスクはもちろん理解していたが、ジェシカゴッホ氏と新婚旅行で6日のバケーションを取ったときはさらに壊滅的だった。

 「とてもストレスがたまります。さらにストレスがたまるのは、人々がそのことを知らない点です。私のフォロワーでさえ”Ninja、あなたは5000人のフォロワーを失いましたよ”と言ってきます」とNinja氏は語る。

 フォロワー数が多いだけに割合に比べて実数が多くなると予想できるが、世界でもっとも成功したストリーマーでもフォロワー数にプレッシャーを感じている。そんな氏の平均的な睡眠時間は5、6時間だと語っている。

 一方、Business Insiderは妻のジェシカゴッホ氏にインタビューを行っている。ストリーミングの最中は会話ができないこと、朝の30分と16時から20時までが一緒に過ごす時間であることなど、夫婦生活の風景がゴッホ氏の視線から語られている。

(画像はGiantWaffle氏のツイッターより)

 Twitchには現在長時間配信についてのガイドラインは存在しない。「自己破壊的な行動」については明確に禁止されているものの、その中に長時間のストリーミングは含まれていない。
 2017年には24時間連続のチャリティライブストリーミングを行っていたブライアン・ヴィニョー氏が、ストリーミングの休憩中に急死したことが伝えられている。24時間のストリーミングと死因の関係は明らかにされていない。

 ストリーミング配信でフォロワーを増やすために必要なのは、長時間の配信と定期的な配信だと言われている。これらを突き詰めると、自身の健康を顧みない配信を生み出すのは仕方がないのかもしれない。
 今年8月に1ヶ月で569時間配信を記録したJayBigs氏からわずか2ヶ月ほどでの記録更新となった今後も、配信時間の世界記録更新を目指す挑戦は続いていくだろう。

ライター/古嶋 誉幸

ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros