食事に出かけようとお店に向かって歩いていると、ひときわ賑やかなラテン音楽が聞こえてきた。近づいてみると道路の一部を封鎖して地元バンドによるストリートイベントの真っ最中のようだ。

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 マイアミは中南米からの移民が多いので英語よりもスペイン語が頻繁に使われ、あちこちからラテン音楽が流れているのが日常だ。サルサ好きの私は音色にワクワクしてライブを鑑賞することにした。バンドは、サルサメレンゲ、バチャータとラテン音楽の演奏でお客さんを盛り上げていくが、途中からは70’s、80’sサウンドにレパートリーディスコナイトに変わった。ドナ・サマー、アバ、ビー・ジーズ、リップスマドンナ、ボーイズ・タウン・ギャング、バナナラマなど大ヒット曲が響き渡ると、観客のテンションがどんどんヒートアップキラキラ光る派手な衣装(!?)に着飾った、年齢層の高い地元の人たちが、ラインダンスやフリースタイルで思い思いに楽しんでいる。

 参加者に聞いてみると、月に1回開催される恒例の無料イベントだったようで、「いつも気合を入れて派手な衣装に着替えて参加しているんだ」と、極上の笑顔で答えてくれた。ビルボードライブも数々のヒット曲を放った往年のスターアーティストがステージを展開し、懐かしい曲で観客を大いに盛り上げている。若かりし頃に夢中で聴いたり踊ったりした音楽を、特別なビルボードライブの空間で楽しめるのは最高の瞬間だ。パトカーが停車して見守る中、警察官も動画や写真を撮っていて、職務中ながら心の中は踊っているんだなと嬉しくなった。地球の裏側で世代や人種、言葉の壁を超え、共通のヒット曲で楽しさを共有できる。音楽のパワーを再確認した夜だった。Text:KIYOMI


KIYOMI
学生時代、友人のバンドライブで司会をした経験から、テレビ、ラジオなどマスコミの仕事を始める。その後、単身移住したNYで(1986年1993年)NY初日本語ラジオ番組を発案・設立。DJ・制作・広報・営業を手がける。1993年帰国。FM802、FMCOCOLOのDJ、関西初のサルサダンススタジオ(CHEVERE)主宰、映画コメンテイター、TV・RADIO出演、新聞・雑誌寄稿、司会、講師などで活動。好奇心に任せた様々なレポートを発信中。