メキシコ南部のビーチリゾート、カンクンで休暇を楽しんでいたイギリス人家族に悲劇が起こった。バンドウイルカと一緒に泳ぐツアーに参加していた10歳女児が、2頭に海中に引きずり込まれたのだ。

ロンドン郊外バーキングサイドに住むローラ・ヤオさん(40)一家は先月末、大手旅行代理店TUIのツアーを利用してメキシコのカンクンを訪れた。

一家は「ドルフィンディスカバリーDolphin Discovery)」が主催する“バンドウイルカと一緒に泳ぐアクティビティ”に参加したのだが、ローラさんらが見守る中、娘のレキシーちゃん(10)が2頭のイルカに海中に引きずり込まれた。

レキシーちゃんが泳いでいたのは、ビーチからすぐの場所に設けられた大きな囲いがある海で、2頭のイルカが突然暴走した。悲鳴に気付いたトレーナーがイルカを落ち着かせようとしたものの、2頭はレキシーちゃんが海に浮かんでいたボディボードにしがみつくまで、噛みつくなどの攻撃を執拗に続けたのだった。

その後、レキシーちゃんはスタッフに保護されたが、脚にはイルカに噛まれた痕や切り傷、大きな痣ができ病院で手当てを受けている。

ドルフィンディスカバリーの責任者は「海が荒れていたこと、また本来囲いの中にいるべきではないオスの1頭がいたことで、2頭が暴走してしまったようです」と述べたが、ローラさんはこのように憤慨している。

「この事故により私たちは旅行を早く切り上げなくてはなりませんでした。約98万円(7000ポンド)もかけてメキシコまでやってきたのに、TUIからは謝罪の言葉もありません。」

「あの時は娘が死んでしまうのではないかと思ったほどで、事故がトラウマになっています。何よりも許せないのは、こんな恐ろしいことがあったにもかかわらず、TUIは今でもドルフィンディスカバリーとの仕事を続け、観光客に同じプログラムを提供しているのです。次に事故が起こったら、怪我だけでは済まないのではないでしょうか。」

なおTUIはその後、ローラさん一家に謝罪の手紙を送り、事故の調査を開始したこと、返金について検討していることを伝えている。また『The Sun』によるとイルカが人間を攻撃することは非常に珍しく、バンドウイルカに襲われて死亡した例はこれまでに1件だけ報告があったという。

しかしながら動物福祉団体「World Animal Protection」のニック・スチュアート氏は、次のように述べている。

「観光客向けのアクティビティは規制されるべきです。イルカは大きな海洋捕食動物なのです。狭い空間に閉じ込められて自然とは程遠い環境で飼育されれば、このような事故は起きてもおかしくないのです。イルカは人懐こく、遊ぶことが好きであると誤解している人が多いようですが、野生動物であることを忘れてはいけません。イルカに噛まれたり、攻撃されて骨を折ったりといった事故はこれまでに多数起きているのです。」

画像は『The Sun 2019年11月29日付「HOLIDAY HORROR Brit girl, 10, savaged by two dolphins as they went berserk and ‘dragged’ her under the water」(Credit: Andrew Styczynski – The Sun)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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