株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、モバイルペイメント(本調査での対象サービス:Pay Pay、LINE Pay、楽天ペイ、メルペイ)の利用状況について、日本全国の15-69歳男女4,344人を対象に調査を実施しました。モバイルペイメントを利用する際、どういった要素がサービス選定に影響するのか、コンジョイント分析(要素を組みあわせて加入意向や利用意向などを聴取し、得られた回答で回帰分析を行う)で明らかにし、今後モバイルペイメントが、生活者にどの程度まで受け入れられるのかを予測した結果をご紹介します。

[ポイント]

  • 生活者がモバイルペイメントを選ぶ上で、「加盟店の多さはクレジットカード並み」で充分
  • 生活者のモバイルペイメント選定基準はさまざま。共通して影響度が高いのは「ポイント還元率」だが、全体ではそれほど影響度が高くない「個人間送金」を重視する層も
  • モバイルペイメントは、生活者が求める要素を取り入れることで約50%まで利用率が伸びる可能性
長いこと、キャッシュレス後進国と言われてきた日本ですが、消費税増税とともに国をあげてのキャッシュレス促進施策が後押しとなり、さまざまなポイント還元キャンペーンが各所で展開されています。また、国のポイント還元施策に加えて、モバイルペイメント事業者や小売業などもキャッシュレスポイント還元事業をふまえたキャンペーンなどを頻繁に行っているため、20%相当還元といったさらにお得な大型キャンペーンなども次々と誕生。このように乱立するモバイルペイメント、生活者はうまく活用できれば増税前より生活費の節約が期待できそうです。

今回は、キャッシュレス化がもたらす日常生活でのポジティブな変化を探るべく、日本でのキャッシュレス化を今後どのように進めていくべきなのかについて考えてみます。

まず最初に、調査を実施した8月時点でのモバイルペイメントの利用率を見ると(図表1)、上位から「PayPay」が16.6%、「LINE Pay」が16.1%、「楽天ペイ」が11.6%、「メルペイ」が7.0%という結果となっています。

図表1

生活者がモバイルペイメントを選ぶ上で、「加盟店の多さはクレジットカード並み」で充分
続いて、コンジョイント分析の結果から、生活者はモバイルペイメントのどのような点を評価して、利用サービスを選んでいるのかを見てみました(図表2)。

図表2
※影響度の見方
各表内で、最も評価が低い要素の影響の強さを0と置いた場合の、各要素の相対的な影響の強さを表します。
すべての表で同一基準にもとづいてスコアリングしているため、表をまたいだ要素間の影響度比較も可能です。
例)個人間送金を「周囲の3割が利用」にした場合と、決済タイミングを「即時払い」にした場合の利用率は同じ

やはり「ポイント還元3%」が、利用するモバイルペイメントを生活者が選ぶ上で最も強い影響を与えていることがわかりました。一方で、加盟店数については、「クレジットカード以上」と「クレジットカード並み」の影響度の差が小さく、生活者は加盟店数は「クレジットカード並み」であれば、充分と考えていることがうかがえます。

コンジョイント分析は、要素別の影響度から、サービスの利用率をシミュレーションすることが可能です。そこで、加盟店数の条件だけを変えた3つのパターンで、利用率をシミュレーションしてみました。すると、やはり加盟店数をクレジットカード以上に増やしても、利用者はさほど増えないことが確認できました(図表3)。

図表3
生活者のモバイルペイメントの選定基準は多様で、「個人間送金」重視派も
サービス選定に最も強い影響を与える「ポイント還元」は、生活者が一様に重視しているのでしょうか。コンジョイント分析では、個人ごとの重視点もわかるので、生活者を重視点の違いによってグルーピングしてみました。その結果、7つのグループが存在することがわかりました(図表4)。

図表4
生活者全体で見た場合には、それほど影響度が強くなかった「個人間送金」ですが、人によってはかなり重視していることがわかります。「送金重視層」と「ポイント重視層」の各要素の影響度を比較してみると、「送金重視層」にとって、周りの5割が使っていて送金ができることは、利用サービスを選ぶ上で、3%のポイント還元と同じくらいの価値を持っていることがわかります(図表5)。

図表5
※影響度の見方
各項目内で、最も評価が低い要素の影響の強さを0と置いた場合の、各要素の相対的な影響の強さを表します。
両項目とも同一基準にもとづいてスコアリングしているため、項目をまたいだ要素間の影響度比較も可能です。

モバイルペイメントはサービス向上によって、利用率が50%まで高まる可能性あり
ここまで、生活者のモバイルペイメントの選定基準を明らかにしてきましたが、もし、生活者が求める要素をすべて盛り込んだ、理想的なモバイルペイメントサービスができたとしたら、どの程度キャッシュレス化が進むのでしょうか。コンジョイント分析では、個人ごとの重視点からサービスの利用確率を予測することができます。この予測確率を使って、モバイルペイメントに今後どの程度、伸びしろがあるのかシミュレーションしてみました(図表6)。

図表6
モバイルペイメント(銘柄不問)の調査時点での利用率は33.7%でしたが、生活者のニーズに沿ったサービス向上で、約5割まで利用率が伸びる可能性があると考えられます。ただ、もう一方の見方としては、最大限サービスを向上しても、クレジットカードほどは利用が広がらない、ともいえます。

オンラインショッピングをするならクレジット決済、電車に乗るならSuicaなど交通系電子マネー、といったように「サービスを利用せざるを得ないシーン」が、モバイルペイメントにはまだありません。このような利用が必須のシーンをいかに創り出せるかが、今後、モバイルペイメントがさらに普及するためのカギになると考えられます。

現在、モバイルペイメント事業者は各社、さまざまな戦略を練って利用者の獲得に取り組んでいます。今回の調査で明らかになった、生活者のモバイルペイメントに対するニーズや受容性を、各社の戦略に照らし合わせた際に日本のキャッシュレス化は今後どんな展開を見せるのか、エキスパートインタビューも行っています。こちらもぜひ「Intage知るgallery」よりご覧ください。

「日本のキャッシュレス化は今後」についてのエキスパートインタビューはこちらから■
・国内モバイルペイメント決戦(前編)~ポイント還元・加盟店競争のその先~
 URLhttps://www.intage.co.jp/gallery/digital-strategist1/
・国内モバイルペイメント決戦(後編)~収益化戦略から見える利用率の意味~
 URLhttps://www.intage.co.jp/gallery/digital-strategist2/

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使用したデータ
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】 https://www.intage.co.jp/service/research/net/
調査地域:日本全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「キューモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データベースウェイバック
標本サイズ:n= 4,344
調査実施時期: 2019年8月1日(木)~2019年8月5日(月)

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株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。

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