ベトナムから不正に約60キログラムの「犬の肉」を密輸したベトナム国籍の女性に、日本の検察は懲役1年6カ月を求刑した。

「密輸を企てたのは、兵庫県姫路市に住むグエン・テイ・トウム被告で、大阪地裁で始まった裁判では起訴内容を認め、『ベトナム人は犬肉が好きで、自分で食べたいと思ったし、技能実習生に販売してお金を稼ぐためにやった』と供述しています」(全国紙社会部記者)

 ベトナムは犬を食べる文化が残る最後の大国と言っていい。

「65歳以上の日本の高齢者が子供のころに、陽が落ちても外で遊んでいると『犬殺しに連れられちゃうよ』などと母親から叱られたものです。すでにその時代には、赤犬を食用にする日本の風習はほぼなくなっていました。韓国、中国も豊かになり、犬食を動物愛護団体から批判されるにつれ徐々に消えつつあります」(食文化に詳しいライター)

 ベトナムの首都ハノイには、犬肉を販売したり、食べられる店が並ぶ通りがある。

「旧暦の月末に食べる習慣が今も残っているのです。精力が付く、悪運を取り除くとして珍重され、ベトナムで人の腹の中に落ちる犬は、年間500万匹に及ぶとの推計もあります」(同・ライター)

 ところが、そのベトナムも豊かになってくると、犬をペット、家族として扱う人が増えた。この現象は日本、韓国、中国で起きているのと同じだ。そうなると犬を食べる人と、犬を飼う人の間で議論を呼ぶようになる。

 べトナムは今、ペットブームに沸いている。行政も犬を食べないように呼び掛け始めた。

ベトナムの犬肉は、個人所有で捨てられた犬や野良犬を集めて、業者に引き取られますが、中にはペットを盗む密猟業者もいて、ベトナム警察は摘発に力を注いでいます。また、タイなどからトラックで丸ごとベトナムに輸入されることもあり、根絶は容易ではありません」(同)

 昨年、ハノイ市が犬肉を食べる習慣の見直しを呼び掛けたのに続き、商都ホーチミン市でも今年9月、自粛を呼び掛けた。

 ただ、犬食は伝統文化として根付いている。すぐになくなることはないが、風当たりは強くなる一方だ。