戦後最悪と言われる日韓関係の火種となった元徴用工訴訟をめぐり、韓国側が大きく動き出した。与党の「共に民主党」に所属する韓国国会の文喜相議長が解決策とする法案をまとめ、今月中旬に国会に提出すると表明。ところが、自民党内の反発の声は収まらず、韓国政界からも疑問の声が上がる。実現性はあるのか。

自民党内の対韓強硬派からは批判が噴出


 文喜相案は新たに「記憶・和解・未来財団」を創設し、日韓双方の企業や国民から寄付を募り、韓国大法院で勝訴判決を受けた原告らへの支払いに充てることなどを柱にしている。大法院判決で慰謝料の支払いを命じられた日本企業の韓国内資産が年明けにも現金化されれば、日韓関係は後戻りできなくなる。現金化を阻止するために練られたとされるこの法案は「日本企業に負担を強いない」とする安倍政権の要求に歩み寄る形で、日本企業の資金拠出を「自主的な寄付金」と位置付けている。

安倍晋三首相の出身派閥である清和会に所属する日韓議連幹事長の河村建夫元官房長官は文喜相案を評価しています。朴槿恵政権時代の日韓合意に基づく『和解・癒し財団』は法的根拠がなく、文在寅政権に解散させられてしまった。しかし、今回は法制化するということなので、これを材料に安倍晋三首相を懸命に説得しているようです。一方で、自民党内の対韓強硬派からは批判が噴出。『元徴用工問題は日韓請求権協定(1965年)で解決済み。日本側はビタ一文だって払うべきではない』という声は相変わらずです」(与党関係者)

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今後の見通しは立たず

 元徴用工を補償する財団をめぐっては韓国側から当初、日韓企業と韓国政府が拠出する「1+1+α」などが浮上したが消えた。文喜相案も迷走し、日韓政府と企業による「2+2+α」、日韓企業と韓国政府に加え「和解・癒し財団」の残金を繰り入れることで事実上日本政府も加わったとみなす「2+2+α」も上がっていたが、日本側に配慮して「1+1+α」に落ち着いたというが、先は見通せない。

「文喜相案は原告や訴訟予定者などを補償対象としていますが、大法院判決が認定した元徴用工の範囲は広い。その上、慰謝料請求権は遺族にも継承されるため、数十万人単位に膨れ上がる可能性がある。大統領府はそうした事態を危惧して財団案に消極的だった経緯もあるので、与党内でも疑問視されています。法案がすんなり可決されるかどうか」(韓国メディア関係者)

 日本政界を巻き込んだ揚げ句、絵に描いた餅ではシャレにならない。果たしてどうなるか。

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[文/構成:ココカラネクスト編集部]

安倍自民反発、韓国与党も疑問視 文喜相案「元徴用工財団」の怪しさ