12月2日に発表された「2019 ユーキャン新語・流行語大賞」。この一年で話題となった言葉を決定し、その言葉に関係の深い人物や団体を表彰する年末恒例のイベントだ。

 同賞の正式名称は「『現代用語の基礎知識』選 2019ユーキャン 新語・流行語大賞」。自由国民社が刊行する「現代用語の基礎知識」の読者アンケートをもとに同誌編集部が選出した30語から50語が候補としてノミネートされ、その後、7名の選考委員が年間大賞とトップテンを決定する。

年間大賞はラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM」

 2019年最大の流行語として年間大賞に選出されたのは今年開催されたラグビーワールドカップ日本大会で日本代表がスローガンとして掲げた「ONE TEAM」(ワンチーム)。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが国籍を問わす31人を代表に抜擢した際のテーマである。

女性の服装規定を巡る運動「#KuToo」もトップテン入り

 トップテンには「計画運休」「軽減税率」「免許返納」「令和」といった日本社会の話題に基づくもののほか、タピオカブームを象徴する「タピる」、PayPayなどキャッシュレス決済のサービス名である「◯◯ペイ」、ハリウッドから世界に広がった「MeeToo運動」になぞらえた女性の服装規定を巡る運動「#KuToo」がランクイン。「闇営業」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」と芸能界、スポーツ界からも選出された。

 さらには今年3月に引退会見でイチローが語った「後悔などあろうはずがありません」が選考委員特別賞に選ばれたのだが――

「『令和』を流行語とみなす感性は理解不能」

 同賞について「『流行語大賞』と言いながら毎年わざわざ『流行ってない言葉』を受賞させている違和感たるやハンパないですよ」と語るのは出版関係者だ。

ラグビーワールドカップの盛り上がりは疑いようもありませんが、日本社会で『ONE TEAM』という言葉が流行っていたかといえば非常に疑問。そもそも新元号である『令和』を流行語とみなす感性は理解不能です。『#KuToo』にしても一部でしきりに叫ばれたスローガンで運動の成果もあったのでしょうが、世間に親しまれた『流行語』ではありません」

「世間をコントロールしようとする意図」

 さらに同関係者から「流行語大賞」への手厳しい指摘が。

「『流行語大賞』が信用ならない最大の要因は『世論をコントロールする意図』が見え隠れするところ。以前から『アベ政治を許さない』『保育園落ちた日本死ね』などが選出されて“政治的偏向”が指摘されていましたが、今年の『ONE TEAM』の受賞理由を読んでも『世界に広がりつつある排外的な空気に対する明確なカウンターメッセージ』『安倍総理にもしっかりと伝わったと信じたい』なんてラグビーと無関係なことが書かれている。そもそもの目的が『流行語を選ぶ』のではなく『流行語を使って主張する』にすり替わっているんです。やり方がセコすぎますよ」

「『本当に流行っている言葉』を追求するべき」

 今年の「流行語大賞」で審査員を務めたのは姜尚中、金田一秀穂、辛酸なめ子、俵万智、室井滋、やくみつる、大塚陽子の7名。

「来年こそ流行語を政治アピールに使うのではなく、世間と同じ目線で『本当に流行っている言葉』を追求するべき」と同関係者は呼びかけるのだ。

 流行語大賞を巡る違和感が解消される日は来るだろうか。

(島田徹)

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流行語大賞「流行ってない言葉」を選び続ける「世論誘導の思惑」