ケチで意地悪な金貸しスクルージが、クリスマスの精霊が見せる過去・現在・未来によって自身の生き方を見つめ直す様を描く、イギリスの文豪ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』。この名作をミュージカル映画化した『スクルージ』(1970年)が、同じレスリー・ブリカッスの脚本・音楽により舞台化され、日本では1994年に初演された『スクルージクリスマス・キャロル~』が、本日12月8日に東京・日生劇場で6度目の再演の幕を開ける。名曲の数々とにぎやかな演出(井上尊晶)に彩られた、クリスマスにぴったりの心温まるファンタジーだ。

スクルージ役を務めるのは今回も、初演以来たびたび同役を演じ、当たり役のひとつとしている市村正親。意地悪な中にもかわいらしさが見える市村スクルージは初演から評判だったが、「だんだんスクルージの年齢に近づいてきて、メイク時間も最近では少なくなっております」と本人が語るとおり、今回はより真実味を増した演技が期待できそうだ。また、四半世紀を超える『スクルージ』の歴史の中でも、日生劇場での上演は今回が初めて。「日生劇場の怪人と言われる市村にとってはベストの劇場」との言葉に、期待はさらに高まる。

あわせて注目したいのは、スクルージが営む高利貸し屋で事務員として働くボブ・クラチットを、今をときめく武田真治が演じること。今回が3度目の登板となるが、“筋肉キャラ”で彼の魅力に開眼した新規ファンにとっては、貧しいながらも幸せに暮らしているお父さんという役どころは新鮮に映ることだろう。ほかにも田代万里生、実咲凜音、今井清隆といった実力派キャストが集結、多くの子役たちと共にクリスマスイブの奇跡を描き出す。

12月25日(水)まで。

文:町田麻子

ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』