悦楽の1冊 『安倍「一強」の秘密』 石橋文登 飛鳥新社刊 1204円(本体価格)

★地獄を見た政治家がどう実力を蓄えたのか

 11月20日をもって首相としての通算在職日数が2887日を数え、日露戦争を乗り切った桂太郎を抜いて遂に歴代最長となった安倍晋三総理。しかし、これほど政策の是非云々の次元以外で、根強い支持派と蛇蝎のごとく忌み嫌う層とが極端に分かれる宰相もやはり珍しいのではないか。

 顧みれば’06年に発足した第一次政権は空前絶後のサンドバッグ内閣だった。なにしろ現役の閣僚が自殺するわ、顔中謎の絆創膏だらけの大臣が出現するわ、首相自身も「今年を漢字一文字で表現すると?」と聞かれて二文字で答えてしまうわで、これでもかと突っ込まれ放題の末の無残な崩壊ぶりはただただ痛々しかったもの。

 それが5年の雌伏を経て、自らが揚げた“再チャレンジ”をまさに地で行く復活をいかに遂げたか。その舞台裏を往年の戸川猪佐武『小説吉田学校』を匂わせるタッチで、平成政界における“人事”と“仁義”のドラマ人間模様を鮮やかに描き出す本書。読みやすさ、面白さともに抜群だ。

 さて、任期の残り2年を切った首相だが、総合的実績となるといかがなものか。在職日数ベスト5圏内の過去の総理と並べるなら、アジア初の近代議会を開き、憲法を制定し、日清戦争を勝利に導いた伊藤博文…と比較するのはさすがに酷にせよ、敗戦後の混乱を収束し独立を回復した吉田茂や沖縄返還を実現した佐藤栄作に匹敵できるか、果たして後世の歴史的評価に値する内容となれば現時点で甚だ心もとないのでは。

 政権は長さ自体に意味がある訳ではないはず。徳川幕府15代の将軍で、隠退後の大御所時代まで含め、最長期間君臨したのは11代の家斉だが、記憶に残るのはやたら子だくさんくらい。安倍総理が辿るのは家康か、吉宗か、また慶喜か?
_(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】

 競馬というギャンブルコース形態や距離、斤量、枠順などレースごとの施行条件がさまざまで、「どこに目をつけるか」が重要だ。

「過去の天皇賞(秋)において3歳馬は結果が伴わない。特に前走2400mを使った馬の結果はよくない」など、全重賞レース好走馬の傾向を記した1冊が『中央競馬全重賞データ攻略ブック』(英和出版社/1100円+税)だ。レース前にこれを読んでいたら天皇賞で2番人気サートゥルナーリアを買わずにすんだだろう。

 続くエリザベス女王杯の「買いの条件」では、「カタカナジョッキー騎乗馬」「オークス好走かつ前走3着以内」と記されていたため、デムーロ騎乗のオークス馬ラヴズオンリーユー(3着)とスミヨン騎乗のラッキーライラック(1着)の2頭軸3連複を買うと33倍の馬券が的中できた。

 こうした類の本では珍しく、全レースで的中&ハズレ馬券が掲載されている。付録としてWIN51160万馬券的中時の買い方も記されている。もちろん、すべてのレースが内容通りには決まらないだろうが、レースごとの特徴はつかみやすい。ディープインパクト産駒・カタカナ騎手・ノーザンファーム生産馬。今の競馬を席捲する3つの要素の過去10年成績が掲載されており「このレースで重視すべきか否か」も把握できる。

 ちなみに本誌発売直後のチャンピオンズCでは「馬体重500キロ以上の5歳馬で前走1・2着馬」が買いの条件。グランプリ有馬記念は「1番人気とカタカナ騎手重視。6歳以上の人気馬は×」だそうだ。

【話題の1冊】著者インタビュー Naokiman Show
ナオキマンのヤバい世界の秘密 日本文芸社 1,000円(本体価格)

★否定よりも受け入れる_ことで人生面白くなる

――そもそもYouTuberを始めようとしたきっかけは何だったのですか?
ナオキマン もともとYouTubeが大好きで、よく視聴していました。しかし、海外には幅広いバラエティーに飛んだコンテンツがたくさんあるにも関わらず、日本では似たような動画ばかりで「もっと面白くならないかな〜」と思っていました。以前からオカルト系のジャンルが好きで、多少の知識があったので、自分自身でチャンネルを始めてみようと思ったんです。日本ではオカルトと聞くとうさんくさいイメージがありますが、現実を疑いたくなるような世界の情報を発信して、みんなの価値観を広げて行きたいと考えています。

――ネタが“分かりやすい”と評判です。どこから情報を入手しているのですか?
ナオキマン 僕が知っているミステリーネタからテーマを決めて、そこからネットや書籍を読みあさって情報を集めています。リスナーさんからのリクエストの多い題材も扱おうと心掛けていますよ。日本国内の情報のみならず、海外で培った英語力を活かして、世界の情報にアクセスすることがより価値観を広げるために大切だな、と思っています。

――今、一番注目している“ヤバい秘密”を教えてください。
ナオキマン 最近は日本の神話やルーツに関する都市伝説にハマっています。もともと海外の都市伝説には詳しかったんですが、日本に関してはあまり知識がありませんでした。調べていくと、いろいろなつながりが生まれてくるのが分かって、かなり面白いですよ。

――数々の都市伝説陰謀論がありますが、「本当なの?」と疑問を持っている人も多いようですが…。
ナオキマン 最近は情報社会になったため、陰謀、都市伝説フェイクニュースなど、どれを信じていいのか分からないくらい情報が溢れかえっています。そうなると疑心暗鬼になって、情報に流されてしまうことがあります。これは、都市伝説や陰謀にハマると誰もが最初に陥るトラップなんです(笑)。ただ、それを乗り越えると次第に冷静になり、自分に響いた情報のみが入ってくるようになります。もちろん、信じたくなければ信じる必要はありません。僕自身もすべてを信じているわけではなく、「本当だったら面白いな」程度で、気持ちに余裕を持ってやっています。
 自分の視野を広げれば広げるほど、面白い体験をすることが出来るので、真っ向から否定するよりも、まずは受け入れてみると人生、面白くなると思いますよ。
_(聞き手/程原ケン)

Naokiman Show
都市伝説ミステリーYouTuber。世界のミステリー事件、陰謀論スピリチュアルなど、解き明かされていない謎をテーマに動画配信中。