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AUTOCAR JAPAN sponsored by ルノー・ジャポン
text:Taro Ueno(上野太朗)
Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

もくじ

ルノー・メガーヌR.S.に「トロフィー」
R.S.トロフィー エンジンをかけると
軽~く走らせた程度ではわからない
LSDは「狙っている速度域が違う」
「一番高いヤツちょうだい」以外の価値

ルノー・メガーヌR.S.に「トロフィー」

text:Taro Ueno(上野太朗)

ルノーメガーヌR.S.に「トロフィー」が加わった。走りをさらに良くするための仕掛けが散りばめられているという。

編集部で購入したメガーヌR.S.にふだん乗っている身としては、何がどう変わっていて、追加コストに見合うのかが知りたくなる。

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メガーヌR.S.トロフィー(写真左)とメガーヌR.S.(写真右)

都内で対面した。光があたる部分は白っぽく見える爽やかなイエロー。メガーヌR.S.にはない色で、サーキットが似合いそうだ。

ホイールが19インチという点は同じ。デザインは異なる。ワンメイクレース用に開発されたレーシングカー「R.S.01」がモチーフなのだという。

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あくまで見た目の違いは控えめだ。フロントのエアインテークに「TROPHY」のレタリングを見つけた。前輪アルミ製ハブ/鋳鉄製ベンチレーテッドディスクがレーシーな空気を放つ。1個あたり1.8kg軽いのだという。

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いいなあ、と思う。赤いラインが入っていたり、ガンダムかと見まごうような羽がついていたりしない。オタクっぽくない。

トロフィー」であることを大々的に宣伝しない。自分自身のラップタイムを短縮できればいい。そういうために生まれてたクルマです。「トロフィー」は静かに、そして淡々と、そう語っているように見えた。

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メガーヌR.S.のシート。
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メガーヌR.S.トロフィーのシート。

ドアをあけて中を覗くと、標準のメガーヌR.S.よりも硬派に見えるバケットシートが目に入る。レカロ製。一脚あたり23.5kgしかないのだという。

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ステアリングはアルカンターラとナパレザーのコンビ。これだけで速く走れそうな気がしてくる。

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R.S.トロフィー エンジンをかけると

エンジンをかけると、「あ、違う」と感じた。排気音が野太い。雄々しい。可変バルブ付きスポーツエグゾーストの仕業だ。2つある排気ルートの1つにバルブがつく。

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メガーヌR.S.のエグゾースト・リアエンド。
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メガーヌR.S.トロフィーのエグゾースト・リアエンド。

バルブが開くともっと変わる。

標準のメガーヌR.S.もスロットルを閉じるとポコポコとアフターファイヤの音が聞こえるけれど、トロフィーの場合はもっと盛大。「パンッ」と爆ぜる。流体抵抗も小さく、経路もダイレクトに。ただの演出だけではない。

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アクセルを踏み込むと、あ、違うクルマだなと直感する。ターボチャージャーからして違う。20万rpmちかくで回転するタービンが、セラミック(スチールより軽い、硬い、なめらか)のボールベアリングシステムに取り付けられる。

結果、摩擦は従来の3分の1に低減。言うまでもなくターボ応答性に利がある。

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1.8L直噴ターボは、われわれが所有するメガーヌR.S.の279psに対して+21psの300psに。最大トルクは、6速EDCが+30Nmの420Nmに、6速MTが+10Nmの400Nmに達する。

乗り心地は、はっきりと硬くなっている。「シャシーカップ」が要因だ。スプリングレートは前:23%、後ろ35%、ダンパーレートは25%高まる。フロントのアンチロールバーの剛性も7%高められる。すべてはロールを抑えるため。正確なハンドリングに繋げるため。ルノーはそう説明する。

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ルノーメガーヌR.S.トロフィー
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ルノーメガーヌR.S.

これにトルセンLSDがつく。左右輪のトルク配分比を高める。この恩恵は都内ではわかるまい。吉田拓生さんの待つ箱根へ急いだ。

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軽~く走らせた程度ではわからない

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)

2台の違いは、タロー君が先に記している通り。

とりあえず山道で2台をさらりと乗り比べて理解できたのは、排気音が大きいことと、明らかにアシが引き締まっていることの2つ。

あと強いてあげるとすれば、レカロのホールド性が高いこととくらいか。

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ルノーメガーヌR.S.のシートバック。
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ルノーメガーヌR.S.トロフィーのシートバック。

ついに到達300ps! LSD入りました! というトロフィーの2枚看板は軽~く走らせた程度ではわからなかった。

なぜわからないのか? 2枚看板はマヤカシか? と考える人もいるかもしれないけれど、そんなことはない。

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パワーの差は6000rp付近のわずか21ps差(失礼!)であり、パワーカーブ自体もよく似ているから違いを感じるのが難しい。

セラミック? 3分の1? ゴメン、わかりませんでした。

LSDは「狙っている速度域が違う」

一方LSDはただ一言「狙っている速度域が違う」としか言いようがない。

そう、速度域を変えてみると、トロフィーLSDは効きはじめが非常に滑らかだが、スロットルに呼応してグイグイと仕事をしはじめる。

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通常FF車は前輪がグイグイ出しゃばっても、リアが少し粘っこく付いてくるだけなので、安心してスロットルをベタ踏みできる。

ところがメガーヌR.S.トロフィーの場合、4コントロールがリアの抵抗感を消し、さらに旋回を助けるので、スロットルを踏んでいくと「ホントにいいの?」という速度域に簡単に入り込んでしまう。

サーキットならいいけれど、公道では踏み込みたくない領域だ。

ラグビーの笑わない男みたいに不敵なトロフィーのカタさに触れたあと、社用車に乗替えると、実にまろやかな乗り物に感じられる。

流して走っていても「このペースいいよね」と優しく話しかけてくれる。

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これこそ4コントロールを得たことで返ってスプリングを柔らかく設定できたという標準モデルの真価だろう。

だがその甘口辛口と言った核心部分に触れるには、やはり今回のようにトロフィーと乗り比べるのが手っ取り早いのだ。

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「一番高いヤツちょうだい」以外の価値

今回2台を乗り比べてはっきりとわかったのは、ルノースポールのシェフとしての腕前が「星3つ」だということ。

標準モデルトロフィーは傍から見るとメインの料理が肉か魚か、くらいの差にしか見えない。

だが実際はオードブル(前菜)とデザートくらい、はっきりと作り分けられた別物なのである。

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だからメガーヌR.S.購入に至っては、ガイシャにありがちな「一番高いヤツちょうだい」以外の価値。

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AUTOCAR編集部はメガーヌR.S.購入に際し、やはり辛口な限定車である「カップ」と比較検討し標準モデルに落ち着いている。

これは「飛び切りの社有車」というテーマの限界であり、おそらく編集部は正しい選択をしたのだと思う。

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だがサーキットでルノースポール謹製の味を確かめたい個人オーナーならば、当然のようにカップやトロフィーが選択肢に入ってくるはずだし、さらに頂点を極めたいのであればつい先ごろ鈴鹿でも量産FFによるラップタイム記録を更新したトロフィーRも控えている。

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メガーヌR.S.トロフィーR photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)

もしかしたら、この年の瀬がメガーヌR.S.史上、最高のタイミング? だとしても全く不思議ではないのである。

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【わざわざ選ぶ価値は】新型ルノー・メガーヌR.S.「トロフィー」 標準車との違い 比較検証