どこにでもいる女性でも気が付くと、その世界の『沼』にハマってしまうケースを紹介する同シリーズ。今回の沼は、ネットカフェ難民になって苦労した「ネットカフェ難民」の沼です。

ネットカフェ難民をしていたのは20代の頃、2か月ほどです。ネットカフェ難民については知ってましたけど、まさか自分がそんな生活をするなんて思いもしませんでした。でも、なるときは本当になるんですね……」

そう話すのは足立るり子さん(仮名・30代・アルバイト)。シャツとジーンズがよく似合う小柄なショートカットの女性です。明るく、ネットカフェ難民をしていたなんて想像できない雰囲気をまとっています。

るり子さんがネットカフェ難民になったきっかけは、勤めていた会社の倒産でした。

突然の会社の倒産

「会社なんて本当にあっけないものですよ。私、当時会社でOAオペレーターの仕事をしていたんです。倒産する兆しは全くわかりませんでしたね。給料の遅配もなかったし、不渡りを出したという噂すら聞いたことはありませんでした。

だから、その日も普通に出社したんです。そうしたら、入り口にたくさんの従業員が集まっていて……。会社は差し押さえされていたのか、入れないようになっていました。それでも、何が起こったのかわからなくて、まるで他人事のように思っていたんですが、仲良しの同僚が倒産したって言って。それで初めて倒産したことを知りました」

それからプライベートでも変化が訪れます。

「その時、付き合っていた彼氏がいたんですけど、その彼がダメンズで働いてなくて。私の家で同棲していたんです。彼の生活費の面倒も私がみなくちゃいけなくて、貯金がほとんどできない状態でした。そんな彼だから、とても頼れなくて。結局、倒産を機に彼とは別れることになりました。あれだけ一緒にいたのに、彼は一緒に頑張ろうとは言ってくれなかったんです」

その彼は別れた後に実家に戻り、ニートの生活を続けているということを風の便りに聞いたそうです。失恋のショックもあって、なかなか次の仕事を探す気にもなれなくなってしまったるり子さん。家賃が払えなくなってきたので、追い出される恐怖がリアルになってきたといいます。

「結局、自分から賃貸契約を解約しました。少ないとはいえ結構家財はあったのですが、フリマアプリなどで売却する時間もなかったので、一括して有料の不用品処理サービスを使って処分してしまいました」

友人宅にも実家にも居場所がない、行き着いた先はネットカフェだった

家を失ってから、るり子さんは友達の家を点々としたといいます。しかし、数日間は居させてもらえても、ずっとは難しいのが現状でした。

「心のどこかに変なプライドがあるのか、友人には家賃が払えなくて家を出てきたとは言えなくて、失恋の傷心で家に戻りたくないと嘘をついていました。しかし友人とはいえ、泊めてもらうのって居心地も悪いし、心も休まらなくて。なにより、嘘をついていることが心苦しくなってきて。結局、ある日、ネットカフェのチラシをたまたま見て、あ、ネットカフェってそういえば泊まれるんだと気がついて、それを機にネットカフェに居つくようになりました」

そんな過酷な状況の中、普通だったら実家に帰りそうなものですが、るり子さんは実家に帰ろうとは思わなかったといいます。

「大学の頃都会に出てきて、一度も実家には戻っていません。両親とは表面的には問題があるわけではないのですが、子供のころから心のどこかで素直に甘えられない気持ちを持っていました。私にとって、実家は息苦しい不自由な場所なんですよね。それに実家は田舎なので働くところが本当にありませんから、帰ってもどうしようもないと思っていました」

それでも、るり子さんは自分がネットカフェ難民になったという意識はなかったそう。

たまたまネットカフェに泊まれて、じゃあ、とりあえず今日はそこに泊まろうといった感じでした。気がつけば宿がネットカフェだったというぐらいなもので。 しかもネットカフェは、割と快適なんです。友達の家だとトイレお風呂を使うのも気を遣うけれど、ネットカフェでは気兼ねなく使えますし、ちゃんとブランケットやシャワーなんかもあって、普通に生活できちゃうんですよね。その上、ネットは使い放題、マンガも読み放題、ジュースだって飲み放題ですから、最初の頃はそれこそ楽しいって感じでしたよ」

意外と快適なネットカフェ生活をしていたるり子さん。ですが、あることをきっかけにその生活から抜けだすことになります。そのきっかけとは?~その2に続きます。

とりあえず今日はここに泊まろう」軽い気持ちで利用したネットカフェの快適さにハマっていったるり子さん。
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