老舗出版社の「創文社」(東京都千代田区)は2019年12月、来年3月末をもって書籍販売を終了すると発表した。

SNS上では「実にお世話になりました、残念です」「創文社から出すのが夢の一つだったが間に合わなかった」と惜しむ声が相次いでいる。

大学予算縮小などが背景

1951年創業の創文社。学術書専門の出版社として、学識者の知を長年支えてきた。

哲学・宗教・歴史・東洋学など人文学系や、法律・法制史・政治学・経済学など社会科学系の専門書を扱い、『神学大全』(トマス・アクィナス著)や『ハイデッガー全集』などを刊行してきた。

しかし17年3月に、2020年をもって会社を解散すると発表された。大学予算の縮小化による大学図書館への販売低迷や、学術論文の電子化などが、経営に大きな打撃を与えた。

発表文では、「著者の先生方、および取引業者の方々に、経済的なご迷惑をおかけしないために、この度の決断と相成りました」と説明し、「日本文化の一翼を担う出版社の経営は、一般企業の経営とは明らかに異なる『こころざし』をもって当たらねばなりません。しかし、それだからと言って社会の成員としての責任を逃れるものではございません」と無念さをにじませていた。

19年12月には、来年3月末をもって書籍販売を終了するとも発表された。また、一部の刊行物は、講談社角川書店など他社に引き継がれるとした。

今回の報告を受け、SNSでは「実にお世話になりました、残念です・・・」「本当にお世話になりました。最も励まされた出版社のひとつです」「創文社から出すのが夢の一つだったが間に合わなかった」と、感謝や惜しむ声が多数書き込まれた。

出版社の倒産が急増

出版社を取り巻く経営環境は厳しさを増している。

東京商工リサーチの調査によると、19年1~8月の出版業の倒産は26件と、昨年1年間での22件をすでに上回っている。

同社は急増の背景を、「『出版不況』で雑誌に頼った流通システムが崩れ、『出版』、『取次』、『書店』が負の連鎖に嵌り、業界構造の改善が遅れたことが大きい」と分析。

「深刻な出版不況に打開策は見当たらない。抜本的な改善ができずに経営体力が疲弊した中小・零細規模の出版業者の倒産は、『出版は文化』の時代の終焉を示している」と悲観的な見立てをしている。

創文社公式サイトより