【現地発】地元メディアのパウ・クシ記者、カンプ・ノウでブーイングを浴びせたバルサファンの思いを吐露

 マジョルカの日本代表MF久保建英は、現地時間7日に敵地カンプ・ノウで行われたリーガ・エスパニョーラ第16節バルセロナ戦に先発出場し、2-5と完敗を喫したものの、2ゴールに絡むなど存在感を示した。バルサの下部組織で才能を育んだ久保だが、今夏の移籍市場でFC東京からバルサの宿敵レアル・マドリードへ移籍。そこからさらにマジョルカへ期限付き移籍し、この日カンプ・ノウに“帰還”したが、バルセロナの番記者の目にはどのように映ったのか。試合後、カタルーニャメディア「エル・ナシオナル」のパウ・クシ記者が取材に応じてくれた。

 パウ・クシ記者は開口一番、「まず言っておきたいのは、彼はレアルと契約した。だから僕らは彼のことが好きではない」と、ライバルクラブへの移籍について快く思っていないことを率直に明かしてくれたが、1人のプロサッカー選手としてバルセロナに帰ってきた久保を高く評価した。

「でも、彼はマジョルカで最高の選手の1人だった。彼は巨大なスタジアムにいて、多くの観衆の前でプレーしていた。しかも、かつては『日本からアカデミーに来た子だ』と、彼を応援していた人たちが敵となり、ブーイングをしている環境のなかで、だ。それでも彼は勇敢に戦った。得点に絡むプレーも見せて、チャンスも作った。彼はマドリードと契約をしてしまったけれど、良いプレーを見せたし、良い選手になるだろう」

 この試合、スペイン代表DFジェラール・ピケ、同MFセルヒオ・ブスケッツ、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシといったバルサの育成機関“ラ・マシア”出身の選手が、トップチームの一員としてプレーしていた。久保もバルサ時代は他クラブの選手として、ましてや宿敵レアルが保有する選手としてカンプ・ノウでデビューするとは、夢にも思っていなかったに違いない。

「マシアで育った選手が、レアルに行くことはまずないんだ」と言うパウ・クシ記者は、久保の“禁断の決断”の成否が分かるのはこれからだと話す。

「でも、実際のところ何が起きたのかは分かっていない。聞いているのは、彼が多くのお金を求めたこと。バルサトップチームの選手として契約することは、考えていなかったということだ。彼は決断を下したが、それが正しかったのか、間違っていたのか――。それは時間が経ってから証明されるだろうね。

 僕は個人的に、彼がバルセロナトップチームの選手としてプレーする姿を見たかったよ。でも、バルセロナにいたほうが良かったかは分からない。下部組織で一緒にプレーしていたアンス・ファティは、バルセロナトップチームに昇格した。一方、久保は1部リーグのマジョルカというとても良いチームだけど、バルサほどのビッグクラブではないクラブにいる。ここからどちらが成功するのかは、まだ誰も分からない」

バルサファンが久保を許す日があるとすれば…

 初めてのカンプ・ノウでの試合で、久保はしっかりと存在感を示し、バルセロナファンに成長した姿を見せた。今後、バルサファンは、ラ・マシア出身選手として、そして宿敵レアルに新天地を求めた選手として、彼を意識し続けるだろう。

 彼がカンプ・ノウのファンから、ブーイングを浴びないでプレーすることがあるとすれば、それはレアルからバルサという“禁断の移籍”が起きた時かもしれないと、パウ・クシ記者は語る。

「数年前だったら、久保が今後バルセロナの選手になる可能性については『あり得ない』と答えただろうね。でも、現在は分からないよ。ネイマール(現パリ・サンジェルマン)がバルサに復帰するかもしれないし、かつて『僕はアトレチコでプレーを続ける』と言っていた(アントワーヌ・)グリーズマンも、バルセロナユニフォームを着ているからね。もし彼がバルサに来て、ゴールを決め続けてくれたら、みんな過ちを許してくれるんじゃないかな」

 久保のリーガ・エスパニョーラでの冒険は、まだ始まったばかり。18歳の若者は今後、スペインで様々な視線を浴びながら、どんなストーリーを描いていくのだろうか。(河合 拓 / Taku Kawai)

バルセロナDFフィリポと競り合うマジョルカMF久保建英【写真:Getty Images】