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 人間の体温は35度以下になると低体温症を発症し、命の危機に瀕する。しかし、この低体温症のおかげで逆に命が助かるという出来事が、スペインに住むイギリス人女性の身に起こった。

 その女性は、ハイキング中に重度の低体温症を発症。意識を失い、心肺停止になったが、なんと6時間後に奇跡的に蘇生した。

 女性の治療にあたったバルセロナの病院医師らは「例外的なケース」としながらも、低体温症になっていたことが脳の更なる悪化を防ぎ、患者の蘇生に繋がったと明らかにした。

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UNA MUJER RESUCITA TRAS UNA PARADA CARDIACA DE SEIS HORAS

ハイキング中に低体温症で倒れる

 スペインバルセロナに住むオードリーマーシュさん(34歳)は、11月3日の午後1時頃、夫とピレネー山脈にハイキングに出かけた。

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Free-Photos/pixabay

 ところが途中で吹雪に遭い、オードリーさんは寒さで話すことも動くこともままならなくなった後、その場で意識を失って倒れた。

 この時、オードリーさんは重度の低体温症に陥っていた。救助隊を待つ間、オードリーさんの夫は、妻の脈拍や呼吸、心臓の鼓動が一切感じられなかったことから「妻は死んでしまった」と信じ込み、悲しみに暮れた。

 2時間半後にようやく到着した救助隊が、現場でオードリーさんの蘇生を試みたが、オードリーさんの体温は18度にまで低下しており、既に心臓機能は停止していた。

 その後、バルセロナにあるバルデブロン病院にヘリコプターで搬送されたオードリーさんだが、バイタルサイン(生命兆候)は見られず、蘇生科の医師らも「死んでいるように見えた」と後に発言したほど、オードリーさんからは生気が消えていた。

 しかし、患者が重度の低体温症に陥っていることを知った医師は、「逆に蘇生の可能性がある」と感じ、早急に治療を試みた。

6時間後に蘇生に成功。スペインでは初のケースに

 低体温症になれば、当然生命の危機に瀕する。しかし、低体温状態で心停止状態になると、体の新陳代謝が低下しているため、各臓器が必要とする酸素と血液の量が減少し、体と脳の更なる悪化を保護する形になるのだ。

 そこで、医師は時間との闘いの中、血液を除去し、酸素を注入。また、体外式膜型人工肺(ECMO)と呼ばれる特殊な機器を使用してオードリーさんの蘇生を試みた。

 すると、体温が30度に上昇。ポジティブな兆候を感じた医師らが除細動器を用いて引き続き蘇生を試みたところ、オードリーさんは見事生還した。

 心肺停止後、蘇生まで実に6時間以上という時間がかかった事例は、スペインでも今回初めてだそうだ。

命を落とす危険性のある低体温症が、命を救った

 オードリーさんの処置にあたったエドゥアルド・アルグド医師は、後のメディア取材で、蘇生に成功した喜びを改めて言葉にした。

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正常な体温で、これほど長い間心肺停止になっていれば、まず、助からなかったでしょう。ですが今回は、患者の命を落としかけた低体温症が逆に命を救ったのです。

 アルグド医師によると、蘇生後のオードリーさんの回復は驚くほど早く、1週間以内にはICU(集中治療室)を出て、12日後には退院することができたという。

 手の動きは、まだ完全には回復できていないが、医師らが最も心配していた神経障害は見られず、オードリーさんは現在ほぼ、通常の生活を送ることができているということだ。

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 記者会見では、命を救ってくれた医師らに深い感謝を示し、生還した自身を「奇跡」と呼んだオードリーさん。「春になったらまたハイキングがしたい」と笑顔で語った。

 かつて1980年にも、当時19歳の少女が車の事故により、氷点下22度の寒さの中意識を失い、その12時間後に病院で奇跡的に息を吹き返している


References:The Sunなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52285381.html
 

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