ホームレスたちと"生きる舞"を表現するダンス集団「新人Hソケリッサ!」の姿を追ったドキュメンタリー「ダンシングホームレス」が、2020年3月上旬に全国公開されることが決定。あわせて「社会のルールが正しいですか?」というコピーを使用したポスタービジュアルもお披露目された。

路上生活経験者だけで構成された「新人Hソケリッサ!」を主宰するのアオキ裕キ(ダンサー/振付家)は、日々路上生活するホームレスは五感などの身体感覚が原始的な身体に近いと考え「人間本来の生命力溢れる踊りを見たい」と同グループを始めた。グループには"人に危害を加えない"以外のルールはなく、無断で本番を休んでもかまわない。アオキは、彼らのあるがままを受け入れ、踊りに昇華している。

「ダンシングホームレス」では、実名で登場するホームレスたちの日常が、包み隠さず描かれる。メンバー家庭内暴力や病気、社会的な挫折を味わい、疎外感に苛まれながらホームレスになった。家族も財産もすべてを失ったホームレスたちが、唯一残された肉体と、圧倒的な熱量で、彼らにしかできない肉体表現を追求していく姿をとらえている。

新宿のバスターミナルで路上生活をする40歳の西篤近は、ダンスで生計を立てたいと願うが、人間関係がうまくいかず、借金も膨らみ、親にも縁を切られ、ホームレス生活を始めていた。一度は野垂れ死ぬことも考えた彼が出会ったのが、路上生活経験者だけで構成されるダンスグループ「新人Hソケリッサ!」だった。主宰のアオキは、武者修行に行ったアメリカ同時多発テロに遭遇した衝撃から、帰国後に同グループを立ち上げた人物だった。

社会からも妻からも逃げた70歳の小磯松美。メニエール病を患いドロップアウトした56歳の横内真人、父親の暴力から逃れ路上生活者となった49歳の平川収一郎。アオキはそんな全てを捨ててきた人たちから生まれる"肉体表現"を追求しようとしていた。彼らを応援する者もいるが、時として「わかりにくい」「踊れるなら働け」と罵倒されることも。しかし、アオキは不器用で、いまあるようにしか生きられないホームレスたちを受け入れる。踊りを通してもう一度生きがいを取り戻したホームレスたちが、クライマックスで渾身の肉体表現をみせている。

「ダンシングホームレス」は、20年3月上旬に東京のシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

ダンス集団「新人Hソケリッサ!」の姿を追った (C)Tokyo Video Center