厳正な処分を下す 「人種差別の罪を犯した人物は永久に追放されます」

 マンチェスター・シティのホームで行われたダービーマッチが現地時間7日に行われ、2-1でマンチェスター・ユナイテッドが勝利した。白熱したライバル対決だったが、試合中に心ないサポーターがピッチに物を投げ込んだり、人種差別を表すジェスチャーを行ったりと悪い場面も目立つ試合となってしまった。英衛星放送「スカイ・スポーツ」はその人種差別行動について報じ、警察が捜査を開始したことを伝えている。

 プレミアリーグ第16節で行われたマンチェスター・ダービーは、アウェーのユナイテッドイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードフランス代表FWアンソニー・マルシアルのゴールで、2点をリードして試合を折り返した。後半にアルゼンチン代表DFニコラス・オタメンディの得点で1点を返されたものの、リードを守り切ったユナイテッドが3位のシティに勝利した。

 ダービーマッチらしく両者の気持ちがこもった白熱した試合が展開されたが、興奮しすぎたサポーターによって残念な事件が起こってしまった。後半23分、コーナーキックを蹴りに行ったユナイテッドのブラジル代表MFフレッジに対して、観客席からペットボトルやライターが投げ入れられ試合が中断する事態となった。さらに、映像では人種差別を表すジェスチェーを行っているサポーターも映し出されていた。その後、キャプテンの元スペイン代表MFダビド・シルバらシティの選手が、サポーターを説得して試合は再開された。

 この事態を重く見たシティは、「今晩のマンチェスター・ユナイテッド戦において、後半にサポーターが人種差別を意図するジェスチャーを行なっているように見える映像が、ソーシャルメディア上で広まっているのを確認しています」と事実を認め、現在の状況と処罰に関して声明を発表している。

「クラブ関係者はマンチェスターの地元警察の協力を得て、関係している人物を割り出します。また、フィールド上に物を投げ入れた人物においても同様の処置を行います。クラブはあらゆる差別に対して厳正なる処罰を実施し、人種差別の罪を犯した人物は永久に追放されます」

 グレーター・マンチェスター警察も同様に人種差別の事実を確認した声明を発表し、シティのクラブ関係者と人物の特定する捜査に乗り出したことを宣言。まだ人物の特定に至っていないことを伝え、情報提供を呼びかけている。

ユナイテッド指揮官「二度と許してはならない」

 ユナイテッドのオレ・グンナー・スールシャール監督は、「彼がスタジアムに来ることを二度と許してはならないと、個人的には思う」と、人種差別を行ったサポーターに対して憤ったコメントを残している。また、被害を受けたフレッジは米スポーツ専門局「ESPN」に、「試合後にも審判員と話をした。それに関しては彼が何かしらやってくれるとだろうし、それがすべてだ」と語っている。

 英紙「デイリー・メール」は続報を伝えており、現地時間8日の朝にマンチェスター出身の41歳男性が逮捕されたと報じている。しかし、その男性は「ズボンに手を入れようとしただけ」と、容疑を否認しているようだ。

 人物が特定されたことでクラブからの処罰が下されることになるだろうが、ヨーロッパのサッカー界で跡を絶たない人種差別が根絶につながることを期待したい。(Football ZONE web編集部)

ホームでのダービーマッチで敗れ、肩を落とすマンチェスター・シティの選手たち【写真:Getty Images】