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神奈川県庁の行政文書が記録されたハードディスク(以下・HDD)が、ネットオークションを通じて転売されていた事件で、12月6日HDDの処理を請け負ったブロードリンクの元社員・高橋雄一容疑者(51)が窃盗の容疑で逮捕された。HDDには大量の個人情報が詰まっており、世界最大規模とも呼ばれているが、高橋容疑者の供述がネットで波紋を呼んでいる。

朝日新聞によると高橋容疑者は16年2月に入社し、HDDのデータ消去を担当していた。ブロードリンクのデータ消去室では、バッグなどの私物の持ち込みは禁止。また出入りにはIDカードと指紋の認証が必要となる。しかし高橋容疑者は他の社員がいない早朝を狙って盗みを繰り返していたとみられている。また高橋容疑者は「中身は知らなかった。転売する目的だった」と話しており、くわえて「入社直後からやっていた」「簡単にできるから、毎日のように盗み出していた」とも明かしたという。

神奈川県だけでなく防衛省最高裁判所などの公共機関、さらには証券会社などとも契約していたブロードリンク。高橋容疑者は「中身は知らなかった」と述べているが、3年間も同社では重要なデータが流出する危険に晒されていた。

日本のIT業界への不信を招いている本件。ブロードリンクの管理体制を非難する声が上がっている。

《勤務先のずさんな管理が原因だと思う 台数の管理をやっていれば、持ち出しなんかすぐに発覚していたと思う 何年も発覚しなかったのは管理をきちんとしていなかったからだ》
《機密保持が何よりも大事な防衛庁を初めとする官公庁や、一流企業などが信頼して契約していた先がこのレベルの管理体制って有り得ないわ》
《3年前からならどのデータが漏れたのかも確認、追跡は不可能だろう ブロードリンクの管理体制が機能していなかった責任は極めて重い》

また8日、NHK NEWSによると高橋容疑者は「金目的だった。親の治療費が必要だった」と社内調査で説明したという。その動機に対して、厳しい声が上がっている。

《そんな理由で同情したりしませんよ。こっちだって個人情報が漏れたんですから》
《こなもんはねぇ、例え親の命がかかっていようと、全額国境なき医師団に寄付していようと関係なく「目的は手段を正当化しない」のよ》
《事実やとしても親助けるために他人の情報売ったらあかんのや》

そのいっぽうで、こんな声も上がっている。

《この問題の根底に何があるのか、この元社員の証言が物語っている。要するに、「人にカネを払わなかった」ブロードリンク社の経営姿勢の問題だ》
《倫理観を求められる職には相応の給与を払わないとね。いわゆる「日本人の真面目さ」はこういう時ほとんど歯止めにならないし》
《大事なデータを管理する大事な役割を担わせてる人には、それなりの対価を払えということ。人件費をケチった結果、大損こいたら元も子もない

9日、ブロードリンクは会見を開いた。高橋容疑者がオークションに出品して落札されたものは7,844個で、このうち記憶媒体が3,904個あったと発表。また同社の榊彰一社長は「このたびは重要なデータ流出で多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心より深くおわび申し上げる」と謝罪。そして再発防止策を講じた上で、社長を辞任すると話したという。