キングオブコント2018」で優勝し、霜降り明星などとともに「お笑い第7世代」をけん引するトリオハナコの菊田竜大さん(32)、秋山寛貴さん(28)、岡部大さん(30)。

ハナコ

 コント師のイメージが強い3人だが、今年に入って菊田さんは飄々としたキャラクターバラエティ番組に出演、岡部さんは大食いや食リポで頭角を現し、秋山さんは同じ事務所の芸人・中村涼子さんとアート展を開くなど、それぞれの個性も光りはじめている。

 メディアでの露出も増えた今、彼らはどんな気持ちで活動しているのだろうか? 前編では、幼少期や学生時代のエピソードトリオ結成に至った経緯などについて話を聞いた。後編では、テレビ初出演時の心境、お笑い第7世代についてなど、さらにパーソナルな部分を深掘りしていく――。

テレビ初出演時に感動した、ある芸人

――2015年9月、『ぐるぐるナインティナイン』の若手芸人登竜門コーナーおもしろ荘」でテレビ初出演。このときはどんな心境でしたか?

菊田竜大(以下、菊田):緊張しましたね、結成して1年ぐらいだったし。今振り返っても、お笑い芸人のなかでナイナイさんとの共演が一番感動しましたね。スターオーラを放ってましたから。

岡部大(以下、岡部):テレビオーディションで一発目が「おもしろ荘」だったので、めちゃめちゃ震えました。手応えがどうってより、ホッとしたというか。

秋山寛貴(以下、秋山):本当にネタを無事終えたって感じでしたね。その収録には出川(哲郎)さんもいらっしゃったんですけど、めちゃめちゃ優しかったんですよ。名も知れない若手に「お疲れさま」みたいな感じで握手してくれて。

 楽屋挨拶にも行ったんですけど、ちょうど出川さんが着替えの途中で上半身裸だったんです。「タイミング間違えた」って一瞬気まずかったんですけど、パッて見たらそんな衣装着てなかったのに赤い綿がついてて(笑)。そこまでひっくるめて「出川さんに会えた!」って感動しましたね。

「打ち砕かれて火がついた」

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菊田竜大さん
――2018年になって『キングオブコント』をはじめとする数々の賞レースで優勝されています。なにか自信になるようなきっかけがあったのでしょうか?

秋山:前年にあった『NHK新人お笑い大賞』でめちゃめちゃスベッたんですよ。『ABCお笑いグランプリ』では、霜降り明星の勢いがすごくて目の前で優勝するの見てたし。

岡部:そういう積み重ねで、1回打ち砕かれて火がついたんですよね。だから、2018年は「年明けから賞レースぜんぶ獲ってやる!」って感じで気合い入ってたと思います。

菊田:NHK新人お笑い大賞』で負けて大阪から東京に戻ってきたときに、岡部が「来年はぜんぶ獲ろう!」って熱く語ったんですよ。だから、僕もグッときて「たしかに」とは思いました(笑)

影響を受けた作品、お笑い芸人は?

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岡部大さん
――なるほど(笑)ハナコさんのネタは、短編のSF小説のような世界観を感じます。どんなところから影響を受けていますか?

岡部:明確な影響はないんですけど、たしかにショートショートとかけっこうで好きですね。東京03さんみたいに日常から生まれるコントすごいって思いますし、影響を受けています。僕たちはちょっと日常からズレるようなネタをつくってる気はしますが…(笑)

秋山:僕もショートショートとかSF映画とか好きですね。ただ、自分たちのネタが顔とか動きにいきがちなので「ラジオコントやってください」って言われたときに「あ、会話劇がない」っていうのが小さな悩みでした。

岡部:あと舞台袖を使って出たり入ったりってコントもよくやってたんですけど、営業の現場に袖がなくて絶望したりとか(苦笑)。今はなしでもいけるネタが増えてきましたけど、意外な盲点があったりもしましたね。

霜降りは「最初から真ん中になる」存在

――ハナコさんや霜降り明星をはじめとする「お笑い第7世代」の面々は、賞レーステレビラジオなどで次々と結果を残しています。改めて同世代の芸人に思うところはありますか?

岡部:霜降りは最初から「真ん中になるんだな」って感じでしたね。逆に同世代で引っ張っていってくれる存在がいてよかったです。刺激になりますし。

秋山:四千頭身も早かったですしね、『新しい波24』から『AI-TV』に残ったのも3人だったし。

菊田:僕は同世代の芸人を意識することはないですね。単純に楽しんでます、一視聴者として。見てて楽しいのは霜降りですね。「コイツらどこまでいくんだ!?」っていう感じが。

――「お笑い第7世代」というものが浸透したことで、具体的な変化はありましたか?

秋山:若手を複数組出してくれる番組が増えた気がします。「お笑い第7世代」っていう枠があるおかげで出しやすいみたいな風潮はあるんじゃないかと。できれば全国区のコント番組がスタートすると嬉しいんですけどね。

岡部:去年、僕らの後に霜降りがM-1グランプリ)で優勝して大きな流れができたっていうのはありますよね。

新作DVDは「なぜか女装ネタが多くなった」

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秋山寛貴さん
――今年の全国ツアータロウ4」の模様を収めた新作DVD12月25日に発売します。単独名義では第2弾となりますが、発売されるにあたってどんなお気持ちですか?

秋山:新ネタが一気に見れるので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います! ただ、「まだ2本目か」って気持ちもあって。ラバーガールさんみたいに、棚に並んで圧倒されるぐらいもっと出したいです。

岡部:今回のDVDのなかでもUber Eatsの配達員をやってる「行かないで」っていうコントとかすごい好きですね。なぜか女装ネタが多くなっちゃったんですけど(笑)。そこも楽しんでもらえたらと思います。

菊田:見どころは……(しばし空中を見つめた後に)2人の言ったことがすべてです(笑)

――「タロウ4」のエンディングでは、ファンクバンド「思い出野郎Aチーム」の楽曲が使用されています。

秋山:岡部なんですよ、そういう縁を持ってきてくれるのは。

岡部:この前、単独ライブで使わせてもらった曲(繋がったミュージック)のMVにも出演させていただいたんですけど、大好きだからめちゃめちゃ嬉しかった。バナナマンさんとSAKEROCK星野源、浜野謙太などで結成されたインストバンド2015年解散)みたいな関係性になれたら最高ですよね。

「自分のなかに軸を持つ」ことで結果も

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「どんな状況でも自分を愛してあげてほしい」(菊田)
――ハナコさんように思うような結果が出ず、悩んでいる20代ビジネスパーソンも多いと思います。そんな方たちにメッセージをお願いします。

秋山:どうせやるなら、熱量の高いことをしたほうがいいと思います。僕はそこに正直にやってきて楽しくなったので。まずは自分が熱中できることを探してチャレンジみてみてください!

岡部:もともと僕らも事務所のなかで“くすぶってた組”なんです。とくにキャラクターもないし、「お前らどうやって売れてくの?」みたいに言われてた。ただ、僕らはコントが好きだったし、周りも面白いって言ってくれるから、そこだけは信じてやり続けて。結果はその先についてきた気がするんですよ。だから、まずは自分のなかに軸を持つといいと思います。そのうえで夢中で取り組めば結果も出てくるはずです!

菊田:僕はどんな状況でも自分を愛してあげてほしい。くすぶってる自分を過保護にしたらいいと思う。そうすれば、おのずと道は開けます!(ドヤ顔で)。

<取材・文/鈴木旭 撮影/スギゾー>

ハナコ
菊田竜大、秋山寛貴、岡部大からなるお笑いトリオ。3人ともワタナベコメディスクール12期生の出身、2014年に結成。キングオブコント2018で優勝。「お笑い第7世代」として数えられる。12月25日に単独ライブの新作DVDタロウ4』が発売予定

【鈴木旭】

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人リスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中