日本の神社や仏閣は、世界に誇る建築芸術。はるか1000年以上も前に建てられた建物たちが、今でも美しい状態で残っているのは、その修復を専門に行う伝統的なお仕事があるからなのです。

【写真を見る】日本の伝統を守るお仕事です

その職業は「宮大工」。

国宝や文化財に指定されている木造の建造物をはじめ、非常に貴重な建物の建築や補修などを担当する大工さんです。

非常に幅広い知識や高度な技術を必要とします。日本でも「宮大工」という職業はあまり知られていないのではないでしょうか。

日本の伝統建築で注目すべきは「組木」という技術!

木材に切込みを入れ、パズルのように木材同士をしっかりと嵌めあわせて組み立てていくのですが、釘やボルトなどの金物を一切使わないんです。

なのに、圧倒的な強度!そしてパズルのような作りなので解体も楽!破損や腐った木材は新たなものに入れ替えることができる!などとても機能的。こういった「組木」も宮大工が扱う技術の一つです。

実はこの日本の「宮大工」が外国人、特に中国人から注目されているらしい…!

中国では、近年経済の急速な発達によって、どんどん新しいものに価値を見出す意識が高まり、伝統を受け継ぐ人たちがどんどんいなくなっています。中国のお寺など破損してしまった木造の建築物を修復する大工さんが居なくなっているのが現状で、建物自体も木造でなく安易に修復が可能なコンクリートや煉瓦造に変わってきているらしいのです。

日本では、歴史的な建物を貴重な文化遺産として残そうという意識が高く、細々ではありますが「宮大工」という伝統的な職業がしっかりと現代まで受け継がれていることに驚きなんだとか。

中国人リポーターは、そんな「宮大工」に興味を持つ外国人の一人。大阪で「宮大工」を体験できる場所があることを知り、早速取材に行ってきました。

大阪の柏原市にある「宮大工養成塾」。

ここでは、専門学校のように3年間寮に住み込みながら宮大工の基礎を習得する「宮大工養成コース」といった学習カリキュラムがあります。実際に修繕の依頼が来たお仕事を通して学べるので、本格的な宮大工を目指す方にはこれ以上ない環境で技術を習得できますね。

そして、気軽に宮大工の知識や作業を体験できる「ハーフデイ宮大工体験」というのもあり、なんとこちらは無料!この宮大工体験が、外国人に沢山来てもらっているんだそう。

今回リポーターはこちらを体験してみます。

こちらが宮大工職人の金田優さん。宮大工に欠かせない基本的な作業を金田さんから教えてもらいますよ。

まずは、作業に必要なノミなどの刃物の刃先を研ぎます。きちんと刃先の角度に合わせてこすらないといけません。

次は、「組木」をする際の、木材がハマる部分の穴を空ける作業です。これがまた難しい!少しでもズレて削ってしまうともうこの木材は使えないんだそう…!

次は、木材の表面をカンナという刃物で薄く削って、ツヤ出しと防水効果を高めます。こちらも絶妙な力加減が必要です!

基本の作業ですが、初心者の孫くんにはなかなか大変だったみたい。でも「宮大工」の繊細な職人技の素晴らしさに改めて気づくことができますね。

動画では、金田さんの実際のお仕事の様子、そして伝統技術に対する思いや外国人体験者などのお話、また宮大工養成塾で修行中の女の子にもインタビューしました!ぜひ見てみてくださいね!(関西ウォーカー・西野 智美(ピー・キューブ))

真剣な眼差しで作業する宮大工