最近、周りの人がコソコソ自分の話をしている気がする。

自分以外のメンバーで集まって、イベントが行われていたのを知った。

──こんな経験ありませんか?

社会で生きていると、どうしても出くわしてしまうことかもしれません。

「もしかしたら仲間外れにされてる?」と思ったことのある貴女へ──辛いですよね。

まさに今回のテーマは「ハブる心理」です。その原因と対処法を考えていきましょう。

■ハブられるとは?

いわば「仲間はずれ」ということです。

教室で「あの子は呼ばないでいいや」と言われたり、職場で特定の人物だけ業績を認められなかったり──そうした光景を目にしたことがあるかもしれません。

わざとにせよ、わざとでないにせよ、そういう状況は起こりえます。

いってしまえば「いじめ」に近いでしょう。その違いは、殴ったり、机に落書きしたり、といった“積極的な加害行為”がないことです。

ハブるとは、“消極的に仲間はずれにする”というニュアンスになります。例えば「なんかちょっと苦手だな」といった淡い感覚からも起こりえるのですね。

意図的にふわっと距離を置く感じ、といえばわかりやすいかもしれません。

なぜ人は「ハブる」のか

そもそも「ハブる」は、「省く」や「村八分にする」が語原だという説もあります。

この「村八分」とは、ルールを破った村人に対して行われるものです。村全体を上げて、その家や家族との交流を断ってしまうのです。村からの仲間外れというわけですね。

◇村八分は村を守るための行為だった

なぜそんなことをするのかといえば、村を守るためです。

村にとっては“村の掟”を守ることが利益になります──つまり村の存続につながります。新しい変化など必要ないのです。

むしろ、その秩序を脅かすものが現れると困る──そうした危険分子は省いてしまえ、という考え方ですね。もちろん肯定するつもりはありませんが、ある意味、村の視点に立てば合理的です。

◇人は「存在を恐れる」から「ハブる」

ハブる心理とは「群れからはみでるものを排除しようとする感覚」といえそうです。

ここの、はみでる、というのがポイントです。劣っていようが優れていようが関係なし、というわけです。とにかく「まわりと違う」だけで排除するのですね。

むりやりポジティブにとらえると「ハブられる」ということは「恐れられている」ということでもあるかもしれません。しかし気分のいいことではありませんよね。

今はいろんな生き方が許されている時代だというのに、です。

■ハブられる原因は何?

さて、人はなぜハブられるのか。ハブる心理を学んだあとで、具体的な原因を見ていきましょう。

◇(1)空気を読まない(読めない)から

どこへ行っても「その場に適した行動」というものはあります。

ゆえに裏表がなさすぎたり、話を勝手に進めたり、ムードを壊したり、予測不可能な行動ばかりしていると危険視されます。

いわば「何を考えているかわからない生物」というのは、相手の本能に「命の危険に繋がるかもしれない」と感じさせるからです。生物の判断としては、わからないものを避けるのが正解になってしまうのですね。

◇(2)自分の話ばかりするから

居心地の悪さを感じさせているのかもしれません。

自分本位なコミュニケーションになっていないか気をつけてみましょう。

自分の話を聞いてほしい気持ちはわかります。しかし、一方的に聞かされる側はしんどくなってしまいます──つい距離をとってしまう。

もしや「会話」じゃなくて「演説」になっていませんか。

◇(3)能力が高いから

羨望や嫉妬かもしれません。

人は優れたものにも「ハブる」ことをします。自分のできないことや、苦手なことができる人に対して、どうしても嫉妬心が芽生えてしまうから。

優れた人間がいたら、その人を目標に努力することもできます。しかし、そうせずに足を引っぱる人間が現れるのも世の常です。

◇(4)会話に嘘が見えるから

喋る言葉に引っかかりがあるのかもしれません。

かわいくいえば「話を盛りすぎ」という言い方もできるでしょう。

はっきり言って、嘘はバレます。自分を良く見せたり、気に入られようと嘘をついたりしても逆効果です。なんとなく勘づかれてしまうから──そして除け者候補になるのです。

確かに「嘘も方便」とはいいます。しかし人間関係を良いものにしたいなら「正直の強さ」を身につけることも大事かと思います。

◇(5)向上心が高すぎるから

これはもちろん良いことです。

しかし度を過ぎると煙たがられる原因にもなります。

視点が高いのは素晴らしいことです。しかし、もしハブられたくないなら努力を隠してもいいかもしれません。他人って、努力している人を見るのが嫌なんですよ。

■「もしかして私」と思ったら。ハブられ状態からの脱却術

さて、大事な話をしましょう。そんな状態から抜け出すにはどうすればいいのか。いくつか方法を挙げてみますね。

◇(1)正直に生きる

まわりを気にして率直なコミュニケーションをとれなくなっているのかもしれません。

一度、自分をよく見せようとするのをやめて、素直に過ごしてみるのはどうでしょう。周りの扱いが変わるのに気づくかもしれません。肩の力を抜いてみましょう。

嘘をつかないのはもちろん。目を見て話すこと。ちゃんと「ありがとう」「ごめんね」を伝えること。そうした基本からチェックです。

簡単そうでなかなかできないことでもありますよね。もう一度、この基本ができているか見直すときかもしれません。

◇(2)コミュニティを離れる

何も悪いことをしていないのに、周りから距離を置かれている。

そういう場合もあると思います。なんとなくの波長、あるいは、貴女が努力しているからハブられるといった場合です。

そんな場所からは逃げましょう──というより捨てましょう。

現代では職場やコミュニティなんていくらでもあります。

たまたま今いるところが合わなかっただけ。貴女を認めてくれつつ、ちゃんと活躍できる「全力の貴女でいられる場所」はあるはずですよ。

◇(3)謙虚にする

相性が悪いのかもしれません。

貴女が優秀で、まわりがそうでなかったとしましょう。

そのせいで空気が悪くなっても、どちらが悪いというわけでありません。相性の問題です。もっといえば「人間ってそういうものだよね」というわけです。

とはいえ、優秀な貴女だからこそ、譲ることもできるのではないでしょうか。謙遜してあげるのもひとつの手段だと思うのです。

逆にいえば、謙虚にさえしていれば、何をしてもいいんですから。

◇(4)楽しませる会話をする

めちゃくちゃ重要です。

やはり「会話は相手が楽しませてくれるもの」と考えていると、コミュニケーションは上手くいきません。相手に責任を──しんどさを──押しつけることになるからです。

だからこそ「会話は相手を楽しませるもの」という意識に切り替えてみましょう。

ガラッとまわりの反応が変わるのを感じると思います。相手も話していて気持ち良いし、貴女も、より会話を楽しめるはずですよ。

逃げてもいい。でも逃げるなら“前に”逃げよう

さまざまな理由で「ハブられる人」が世の中にいます。

本人が悪いのかもしれません。まわりが悪いのかもしれません。どちらともいえない──という状況も多いでしょう。

そうした状況で、いつだって逃げてもいい、ということだけは忘れないでください。悲しい思いを避けるために。

現代は村社会でもなんでもありません。貴女にとってふさわしくない環境からは離れることができます。

ただ、ここで覚えておいてほしいことがあります。

それは「逃げるなら前に逃げる」こと。

どうか自分の弱さから逃げるのではなく、より強くなるために逃げてください。逃げた先で幸せになるために逃げてください。

貴女のもとに幸せが舞い降りるように祈っております。

(浅田悠介)

※画像はイメージです

なぜハブられる? 人間が「ハブる心理」