●酸化ストレスが引き起こす疾患●





認知症の予防に関して大きな前進がみられた。2019年8月に認知症アルツハイマー型認知症の米国学術誌「ジャーナル・オブ・アルツハイマー・ディジーズ(以下JAD)」が、「軽度認知障害(以下MCI)に対する抗酸化サプリメントTwendee X(トゥエンディ エックス)の予防効果」に関する論文を受理。



その論文受理を受けて、一般社団法人 日本認知症予防学会エビデンス創出委員会は、Twendee Xをサプリメントで初の「グレードA(★★★)」として認定し公開。MCIを対象とした臨床試験で認知症予防効果があると世界で初めて公的学会から認定されたのである。



この認定に関わられた日本認知症予防学会エビデンス創出委員会の委員長であり岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学教授の阿部康二氏、Twendee Xの開発者である岐阜大学科学研究基盤センター共同研究講座抗酸化研究部門特任教授の犬房春彦氏に認知症予防と酸化ストレスについて話を伺った。



—犬房先生が開発されたTwendee Xは、アミノ酸、ビタミン、コエンザイムQ10など天然由来成分の8種類の有効成分による抗酸化配合剤ということですが、そもそも酸化、酸化ストレスとはどのようなものなのでしょうか?



犬房 酸化とは簡単に言うと「錆びる」ことです。りんごを切って空気に触れさせると切り口が茶色く変化しますが、これは酸化で空気中の酸素によっていわゆる錆びている状態なのです。それは酸素を利用し生命活動を維持している人間の体内でも起こります。食べ物の栄養素からエネルギーを産出する際に余った酸素や外部からさまざまな刺激を受けた酸素は、反応性の高い活性酸素に変化します。活性酸素は、細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、細胞を傷つける一面もあります。この活性酸素が体が本来持つ抗酸化力を上回った状態を酸化ストレスといいます。



ご家庭によくある漂白剤の原料の過酸化水素、それから最近よく耳にするようになりましたが、消臭や滅菌に使う次亜塩素酸がありますね。この2種類は私たちの体の中でも作られています。白血球が細菌やバクテリアを見つけて飲み込み、それを破壊するときに過酸化水素水、次亜塩素酸、酸素を使います。体を守るために大事なものなのですが、漂白剤を素手で触るとヌルヌルして、皮膚が白くなって炎症が起きるのと同様のことが体内で起きる。酸化ストレスが高いということは、体中に錆ができて炎症を起こしている状態なのです。この酸化ストレスは生まれたばかりの赤ちゃんが一番低くて、30代頃からだんだんと高くなります。





—体中に錆ができて炎症が起きる。その酸化ストレスは私たちにどんな影響を起こすのでしょう?



犬房 酸化ストレスは、ほとんどの病気に関連しています。病気はどこかに酸化ストレスがあると考えていただいて構いません。そして、酸化ストレスが高いと老化が早まることがわかっています。



犬房 春彦氏
岐阜大学科学研究基盤センター共同研究講座抗酸化研究部門特任教授

脳の老化を避けることは難しく
万人が認知症のリスクを抱えている



—酸化ストレスは脳にどのような影響があるのでしょうか?



阿部 体の中で老化の影響を一番受けやすいのは脳なんです。老化した脳細胞を新しい細胞に取り替えることができればいいのですが、脳細胞はほかの体の組織とは違って、取り替えることができません。また、脳の活動性を維持するために脳の膜は柔らかくなくてはいけないので、常温で液体の状態である不飽和脂肪酸の割合が多いのです。脂肪酸は炭素、水素、酸素の原子の結合状態からいくつかのタイプがあるのですが、不飽和脂肪酸は炭素同士の結合に二重構造があり酸化に弱いのです。さらに脳は活動するためにたくさんの酸素を必要とする反面、細胞を酸化させやすい活性酸素を多く発生してしまいます。



細胞の再生ができない、膜が酸化されやすい、活性酸素が発生するという過酷な状況で脳は活動していますので、何十年も経つと老化が進み認知症になるのは無理もないのです。



酸化ストレスの軽減はこの脳の老化の予防戦略になります。



阿部 康二氏
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学教授

脳内のゴミを消すのではなく、
酸化ストレスを軽減しできるだけ溜めない



アルツハイマー型認知症の原因として脳にたまる老廃物、アミロイドβやタウタンパク質をよく聞きますが、酸化ストレスはどのように影響するのでしょうか?



犬房 認知症対策は、これまでアミロイドβやタウタンパク質という脳内のゴミを消すことに力を入れていましたが、ゴミを一つ、二つ消してもなかなか治らない。そこで今、脳内のゴミをお掃除するシステムが注目されています。「オートファジー」という、いわば細胞の中の余計なものを細胞自体が取り除くシステムです。日本の大隅先生がその仕組みを解明しノーベル賞を取られたものです。実は、酸化ストレスが上がると、オートファジーのお掃除システムが機能しなくなってしまうんです。そのため酸化ストレスを軽減することが必要となります。



認知症は約35年かけて進行する長い病
早くからの対策が鍵となる



—いつ頃から認知症の対策を始めるのがいいのでしょう?



阿部 予防は早くから取り組むことに越したことはありません。認知症は35年かけて進行すると言われています。脳の老化が始まり軽度認知障害の期間を経て認知症と診断されるまで25年くらいかかり、診断された後、10年ほどの期間を過ごすケースが多いのです。仮に認知症と診断されるのが75歳だとすると50歳くらいから脳の老化が進み、25年目で認知症と診断されます。その認知症と診断される25年目を10年先に延ばすことを目指して、犬房先生が開発したのが「Twendee X」です。



—犬房先生が開発されたTwendee Xは日本認知症予防学会が行なった臨床試験においてMCIの方の認知症状に改善が見られたとか?



阿部 そうです。MCIの方が過ごす日本全国の8施設でTwendee Xを試してもらったところ、MCIの方々の認知機能について改善が見られ、本学会としてグレードA(★★★)の認定をさせていただきました。これは素晴らしいことです。



認知症のスクリーニングテスト「MMSE」と「長谷川認知症スコア」の
両方でTwendee Xは有意差が認められた。

サプリメントであることも魅力的ですね



阿部 認知症の薬は認知症と診断されなければ処方されません。MCIの状態は病気とは判断されないので予防薬は処方されないんですね。MCIの方、現在健康な状態な方もサプリメントであれば摂取しやすいですからね。



犬房 Twendee Xは天然由来成分で副作用がなく、抗酸化ストレスの効果は世界的に認められています。酸化ストレスを抑えることで、認知症だけでなく、いろいろな病気の予防ができますし、症状があっても軽減できます。何より自分の健康を維持していくことに役立ててもらいたいと思います。



認知症対策はこれからどのようになっていくと思われますか?



阿部 認知症になってしまうとなかなかいい治療がありませんから、医薬品の開発動向もより早めの対策に動いています。先にあげた認知症に診断される25年目ではなくて、まだまだ健康な状態ではありながら老化が進んでくる15年目あたりで起きていることを制御しよう、症状が出る前に何とかしようと。50歳からの認知症予防戦略をきちんと推し進めるということが大切です。



今回、そのような状況下で、認知症と診断される前の段階で多くの方が摂取しやすいサプリメントを日本認知症予防学会として自信を持って予防戦略の重要なものとして位置付けることができたことは非常に意味のあることだと思っています。これからは健康でいい寿命を全うするにはどうしたらいいか、そこが大事になると思います。



日本認知症予防学会から付与されたTwendee XのグレードA(★★★)認定証書を持つ
阿部氏(左)と犬房氏(右)