タレントのゆうたろうさんが、遭遇した数多くの霊体験や、不思議体験を語る短期連載第3弾!子どものころから霊感が強く、趣味ではじめたタロットカードも芸人仲間やタレントの間で「当たる!」と話題のゆうたろうさん。その鋭い感性やシックスセンスから呼び寄せてしまうという霊、不思議な光、影や音・・・。リアルな怖〜い話をご覧ください!

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モノマネタレント15人で九州ツアーに出かけたときの怖〜い話


読者のみなさんにとっては世代ではないかもしれないけれど・・・(笑)、昭和の大スター、石原裕次郎さんのモノマネをかれこれ20年以上している僕、ゆうたろう。シルバーのスーツをまとい、やたらとデカいブランデーグラスに、小さな手持ちのブラインドが僕の商売道具。そんな僕は、ほかのモノマネ芸人たちとよく、地方営業に行ったりするのね。

でも、子どものころから不思議な白い光に追いかけ回されたり、説明するのが難しいような恐ろしい霊体験を数え切れないほどしてきたので、日本各地の営業先の建物や宿泊先のホテルで、決まって怖い霊体験したり、いろんなものを視ちゃったりしてたわけ。

その中でも、いちばん怖かったのは、九州ツアー。これは10年ぐらい前の話なんだけど、ツートン青木とか、先輩芸人の一木ひろしさんなどモノマネタレント15人ぐらいで、1ヶ月の九州ツアーに出たことがあったんだ。このときの体験は、今でも忘れられないね。


心霊スポット〝奈落の底〟へ、ひやかし半分に行った僕ら・・・


会場となったのは、施設名はあえて伏せるけど、業界人にとっては「霊が出まくる」ことですごく有名な某所。約2,000人を一度に収容できるホールで、僕たちはそこで1日に何回か公演をすることになったんだ。

舞台が設置された施設というのは、ステージの真下に舞台を回すためのいろんな仕掛けがあるんだけど、そこを業界用語で『奈落』と呼ぶの。イメージ通り、じめじめとした暗い場所で、やたらと広い。実はこのホールの奈落は、かつて戦争だか災害だかが起こったときに、遺体安置所として使われていたことも有名な話。ということは、いろんな霊が渦巻いている場所でもあるんだ。

ステージが終わってお客さんもはけたあと、一部の先輩芸人たちが、その奈落を見に行こうと言い出した。僕は、モノマネタレント仲間の中でも霊感が強いことで知られていたから、「ゆうたろうがいるから、いざとなったらなんとかなるだろう」ってことで・・・。

もちろん僕は大反対。「やめておけ」って言ったものの、先輩芸人の誘いは断れず、しぶしぶ奈落へ数人で向かったわけ。しかも、悪ふざけを始めた先輩が「写真を撮ろうぜ」と言い出して、適当に辺りの写真を撮ってホテルの部屋に戻り、みんなで見たら、なんと奈落の底へ向かう裏階段に、白い服を着たおじいさんが写っていた!
だからやめておけと言ったのに・・・。


3人なのに水が4つ出てきたラーメン屋、連れがいないのにいると言われたスナック・・・


そこから悪夢が続きました・・・。

その後、九州の別の場所へ移動して、いつものようにショーをやって、夜は打ち上げで屋台に繰り出した僕ら3人。空腹を満たすためにラーメンを食べに行ったら、着席した瞬間に「いらっしゃい」という店主の声とともに、水が4つ出てきたの。それで「ラーメン4つ?」って聞かれたんだよね。「いやいや、3人だから3つですよ」と言ったら、店主は「となりにおじさんいるじゃない。マネージャーさん?」って言われて、3人で顔を見合わせたよね。僕らには見えないけれど、どうやらそのほかの人には、もう1人見えるみたいなんだ。しかもそれは1回ではなかった。

そんなことが2〜3回続いたある日、先輩芸人が公演終わりに1人でスナックに行ったらしいんだけど、そこでもスナックのママから「いらっしゃい、お2人?」って言われた。「いやいや、1人で来たんだけど」と先輩が言ったら、「じゃあ今トイレに行った人は誰なのよ」と・・・。それで先輩がトイレを見に行ったら、誰もいない。それで戻ってきてママに「誰もいないじゃん」って言ったら、「入れ違いに帰っちゃったよ」と言われて。

どうやら先輩は、奈落の底からなんらかの霊を連れて来ちゃったみたい。そこで、いよいよヤバいと思った先輩。「ゆうたろう、どうしよう」と相談に来たわけ。で、僕はその話を聞きながら、それはヤバいことになったな、と思ったんだ。


収録したカラオケのガイドボーカルには、得体の知れないうめき声が・・・


ことの始まりは、奈落の底で悪ふざけに写真を撮ったりしたから。だからあんなに止めたのに・・・。

それでその先輩に、「これ、なんらかが憑いてるので、しばらく電波系とか音波系の仕事はしないほうがいいですよ」と助言したの。ところが、なんと明日、カラオケのガイドボーカルを吹き込む仕事が入っていると、その先輩が言うわけ。
それでも収録日は変えられないからということで、先輩は翌日、ガイドボーカルの仕事に行ったの。案の定、収録した音源には性別のわからない、うめくような「あ〜あ〜あ〜」という言葉にならない声がばっちり入っていて、すべてお蔵入りに・・・。

僕なりに思うのは、ひやかしでそういう場所に行くと、霊が憑いて来てしまうことは確実にある。ただ実体験上、凶悪な霊はそんなにいないと思っているのね。子どものころからいろんなものを視てしまう僕が、それなりにいろんな本を読み漁り、それなりに勉強してきたことから言うと、霊の中にも階級があるというウワサがある。たとえば、映画『ゴースト』のように、コインなどこの世に実在する〝モノ〟を動かすことは、ある程度階級が高い霊だけができることらしい。ということは、そんなに悪さをする霊はいないと思っていて。霊が憑いてくるとしても、一時的なものが多いんだ。

とはいえ、モノは動かせなくても、憑いて回るのはそれほど難しくない。だからみんなも、決してひやかしで、心霊スポットなんかに行かないこと。隙間に滑り込んでくる霊はたくさんあるから、ひやかしは厳禁!


Profile


ゆうたろう
1970年2月21日生まれ、千葉県成田市出身。昭和の大スター、石原裕次郎モノマネをする唯一の芸人として知られ、石原プロからも公認されている。大きなブランデーグラスがトレードマーク。歌唱力も抜群で、見た目だけではなく歌う姿や声もそっくりなことから、石原裕次郎を知る世代から、若者まで幅広い層に人気。

撮影/アベユキヘ 取材・文/若山あや
(andGIRL)

タレント・ゆうたろうの怖い話〝九州ツアー編〟。霊に取り憑かれてしまった先輩芸人