10月クールで放送された、中谷美紀さん主演のドラマ『ハル~総合商社の女~』(テレビ東京系)。
12月9日に全8話の放送を終えました。

古い体質から抜けきれない総合商社の経営企画部に、部長補佐として就任することになった主人公の海原晴(ハル)を中谷さんが演じ、明るく爽やかで前向きに駆け抜けました。

このドラマは、”事なかれ主義”など総合商社に根付く規範に訴えかけるストーリーでありながら、何よりもハルの前向きな仕事ぶりに週初めの月曜日からパワーをもらっていた人も多かったのではないでしょうか。

今回は、ハルの仕事に向かう姿勢を改めて学びながら、ドラマを振り返りたいと思います。

まずは自分から始める

ハルの素敵な人柄の根底には、周りに協力者がいなくても、自分がやるべきこと、正しいと思うことを貫くという点が挙げられるのではないでしょうか。

経営企画部に所属することになった当初、決して周りが温かく迎え入れてくれたわけではありませんでした。部下である青柳(白洲迅さん)がハルの魅力に惹かれ、積極的に関わるようになったのが経営企画部との関わりの最初でした。

のちに、ハルのヘッドハンティングを打診した張本人であり、ハルの元夫であることが明かされる部長の和田(藤木直人さん)も協力的でしたが、はじめのうちは部署としての一体感はなかったといえるでしょう。

その後、一緒に案件を考え、コンペを勝ち抜くなかでハルに協力的な部署のメンバーが増えていきます。それもひとえにハルが自分が正しいと思うことを曲げず、仕事をやり続けてきたからではないでしょうか。

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部署の仲間にも、クライアントにも寄り添う

とはいえ、正しいことだけを見つめて突っ走ってきたわけではありませんでした。コネ入社と言われ続け、まったく仕事に参加しない一乗寺(忍成修吾さん)には、その姿勢を咎めるのではなく、ハルは書類のコピーを頼むことからはじめます。

そして会社の既存のルールから外れることをせず、イエスマンでいることをやめない藤尾(山中崇さん)には、そのやり方自体を否定するのではなく、案件の中でもピンポイントで意見の違いを伝えるようにするといった工夫が見られました。一方、トラブルが起きたときに藤尾の非を指摘できるのはハルの正しさでしょう。

さらに、子会社であるアパレルブランドを売却する話をしたとき(第6話)には、自社ブランドへの強いこだわりを見せる久保田国仲涼子さん)の姿勢に理解を示していました。ハルと久保田はシングルマザーという共通点もあり、その境遇に寄り添った一方で、経営企画部として的確な判断をするという点ではブレることがありませんでした。

ドラマを見ていると、ハルは自分が持つ正しさだけで突っ走っている人物ではないことが伝わってきます。仲間にも、クライアントにも仕事だからと冷たくあしらうことをせず、否定的な態度を見せるでもなく、パーソナルな部分で寄り添うことを忘れませんでした。

最終回ネタバレあり!想いが先走る”走り方”も

キャリアウーマンとして前向きに根気強く仕事に取り組める精神力と実績があるハルですが、必死になりすぎて突っ走ってしまう場面も度々描かれていました。

とくに最終回では、ふたりで暮らす10歳の息子・涼が友達とのケンカで怪我をして、病院から呼び出されるという場面がありました。涼の状態を案じたハルは病院まで急行して涼に会うなり号泣します。

さらに、同じ経営企画部の仲間である一乗寺(忍成さん)が、副社長である高山(奥田瑛二さん)の個人的な利益のために密約を押し付けられていたことを知ったハルは、高山に直談判するために副社長室に全速力で向かう場面がありました。

ハルは副社長に面会する一心で向かっているからか、その気持ちが表現された必死な走り方をしていました。

これらはキャリアウーマンとして働くハルとはまた違う一面を見せていましたが、嘘のない必死さが周りを引き込み、仕事においても信頼を生むのだろうと思わされます。

年末もハルのような気持ちで乗り切りたい

実際の総合商社や会社勤務の現状を考えると、部署のメンバーみなが一丸となって案件に取り組んだり、同じ方向を向いて仕事をしたりすることは難しいのかもしれません。ドラマでも描かれたように、事なかれ主義や、コネ入社、上司と部下の関係、家庭との両立など様々な問題要素を抱えている人も多いでしょう。

とくに年末となると、忙しさは通常以上であることが多いはず。そんな中、トラブルが多発し、問題は深刻化することもあるかもしれません。

しかしハルを見ていると、自分自身が正しいと思うことを貫き、前向きに取り組んでいたら、誰かが協力してくれるかもしれないと希望を持つことができます。

ドラマは終わってしまいましたが、トラブルや問題があったときには、一度心のなかでハルのような取り組み方を考えて、仕事に向かいたいものですね。