エンジニアの方の”あるかもしれない”日常風景をデフォルメしてコメディタッチに描く本連載「エンジニアあるある」。さて、今回はどんな風景なのでしょうか...

☆☆☆☆☆☆

世界初と言われる電子計算機ENIACが開発されて約75年、世界初と言われるパーソナルコンピューターMacintoshが誕生して約35年、世界を変えたインターネットが誕生して約20年。生活を変えたスマートフォンが誕生して約10年。IT業界は、最先端の産業のように言われても、歴史を振り返ってみるとけっこうな長い歴史があり、そろそろ伝統産業と呼んでもおかしくなくなってきています。

プログラミング言語もそうです。Cなどはすでに40年以上の歴史がありますし、PHP、Python、HTML、RubyJavaScriptなどは20年前後の歴史があります。プログラミング言語の寿命が長い理由は、もちろんエンジニアがよく知っている言語を使いたがる傾向にあるということがあります。それに同じ言語といっても、どんどん進化をしているので、古い言語であっても、機能的に問題のないシステムが開発できるということもあります。

プログラムというのは、論理の積み重ねですが、意外にもその積み重ね具合に個性が表れます。一言で言えば、「他人の書いたソースコードは読みづらい」のです。その人がどんなロジックで書いたのかをまず理解しなければなりませんし、それを理解した上で問題点を洗い出し、その人の論理の土台の中で修正案を考えなければなりません。他人の家のキッチンで料理をすると、お塩がどこにあるのか、そもそも薄口醤油はあるのかどうなのか、菜箸はどれを使えばいいのかがわからず戸惑うかと思います。それと同じで、ものすごくやりづらい。しかも、うっかり修正して、システム全体が動かなくなったりしたら目も当てられません。そこで、多くのエンジニアは、システムのレガシーコード化している部分は「秘伝のソース」と呼び、触れないようにしているのです。

1時間の単純作業を5分で終わらせるプログラミングに8時間かける。

幽霊話やオカルト話は鼻で笑うのに、エンジニアの開発現場の怖い話には、顔を青ざめて恐怖する。

(イラスト:ConChan)

「エンジニアあるある」第41回昔作られたプログラムは、「秘伝のソース」と呼び、誰も触れたがらない。