給食・学校・小学生(XiXinXing/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

今、給食費未納家庭への教師の悲痛な叫びが話題となっている。しらべぇ取材班は、関係各所から話を聞いた。

■「給食費未納のまま卒業」

その内容は、給食費未納のまま卒業する一家がおり、言い分は 『給食はそちらが勝手に用意したものです。なぜ、希望もしていない食事の代金を払わないといけないのか理解できない。これは私の考えで子供には関係ないから、子供に対して何かしたら訴えます』 との主張。

これで6年間払っていないといったものだ。こういった実態を、まず文部科学省はどう考えているのだろうか。

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■ガイドラインを策定

文科省の調査によると、学校給食費を未納している児童生徒の割合は、2016年度の全国平均が0.9%、2012年度も同じ数値で変わっていない。文科省は、この対策として「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」を策定し、2019年7月に公表。

教師が給食費未納の家庭を回ったり、PTAの役員が徴収を行っている学校もあるため、給食費を公会計処理化するように求めている。

つまり、給食費の徴収を自治体の責任で行ってもらい、多忙化が問題となっている教師には本来の教えるという業務に集中してもらおうというもの。では、現場の実態はどうなっているのだろうか。

■児童手当から徴収も

このガイドラインのモデルにもなった千葉市を取材した。千葉市は、給食費の徴収業務を教師は一切行っていない。小学校入学時に給食申込書に署名してもらうシステムを採用。

未納になった場合は、児童手当から徴収することもそこには明記され、児童手当から徴収することは文科省からも各自治体に通知が出されている。

未納の家庭には、非常勤の給食費徴収員が対応し、それでも駄目な場合は、市の債権課が直接回収にあたっている。千葉市の未納率は、約1%。教委の担当者は、「公会計にしたことで、教員の負担軽減につながった。他の自治体からの視察も来ている状況」と話す。

■法的措置の実施

同じく公会計を導入している横浜市。直近の未納率は、1.9%。横浜市では、未納の家庭への文書は学校が作成しているが、徴収業務は教委が行っている。

「こういった業務を専門の業者に任せるといったことも対策として考えられるが、予算の問題などもあってなかなか難しい」と教委の担当は話す。

大阪市も公会計を導入しているが、直近の未納率は、2.3%。未払いの家庭に対して、裁判所に対して法的措置(支払督促申立)を226件、強制執行(差押請求申立)を6件実施済。

その上で、「未払い家庭に対して、教委が徴収業務を丁寧に行っている」と述べた。両市ともに、児童手当からの徴収は行っていないという。

■私会計処理の学校も多い

一方で、公会計ではなく、徴収を学校の責任で行う私会計処理の自治体も多い。2016年度は、全国の学校の60.3%が私会計処理。東京都大田区も私会計処理を行っているが、未納率は、0.12%。

教委の担当者は、「公会計導入の検討も行っているが、先生が直接給食費の徴収に関わったほうが、未納率が下がると言われている」と話す。

同じく私会計処理の平塚市。ここの未納率は、0.25%。担当者は、「未納の家庭を先生方が授業終了後回ってくれている。先生頼みのところがある」と率直な感想を述べた。

一方、私会計処理の自治体の中には、未納のまま児童が卒業してしまい、その小学校が回収業務を続けているケースもある。「公会計にすると、未納率があがる懸念があるため、踏み込めない」という意見も聞かれた。

教員の負担軽減と未収率改善という2つの課題を現場が背負わされている現状だ。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

「希望してない食事代を払わないといけないのか」 給食費未納対策の実態とは