“繊細すぎる”性格の娘を描いた漫画がSNS上で話題となっています。幼い頃から、よく泣き、怖がりだった長女。母は「繊細な性格」だと捉えていましたが、成長するに従い、体への不調が出るようになり…という内容で「私も同じことで悩んでいました」「涙が出てきた…」「励みになります」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。

HSCだと気付いたときの気持ちは?

 この漫画を描いたのは、主婦でブロガーのぴなぱ(ペンネーム)さん(30)です。インスタグラムブログで、育児を中心とした絵日記を発表しています。

Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。

ぴなぱさん「長女を妊娠中に4コマや絵日記形式の育児ブログを読むのにハマり、自分も描いてみたいと思っていました。そして、長女が生後9カ月くらいのときにブログで4コマ漫画を描き始めました」

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

ぴなぱさん「育児ブログやSNSをいろいろ見るのですが、『HSC』について描いているものは私が探した中にはなかったので、私のように子どもの特性に疑問を持っている方が記事を見て『これかも!』と思ってくれたらと思って描きました。あと単純に、自分の悩みを誰かに聞いてほしかったというのもあります」

Q.HSCだと分かるまで、特に心配だったことは何ですか。

ぴなぱさん「漫画にも描きましたが、体の不調が一番心配でした。長女に対して漠然とした違和感はありましたが、体の不調がなければ、ただの性格で納得していたかもしれません」

Q.HSCだと分かったのはいつですか。相談は何回くらいされたのでしょうか。

ぴなぱさん「診断を受けたわけではないですが、私がHSCを知り、長女に当てはまると気付いたのは、長女が4歳になって少しした頃です。相談は1歳半健診と3歳児健診、また、次女の3カ月健診でも、きょうだいの心配事はあるかという項目があったので長女のことを相談しました。

市の子育て電話相談も2度利用しました。相談した回数は、小児科やこども園の先生にする軽い相談も含めると十数回だと思います」

Q.HSCだと気付いたとき、どのようなお気持ちでしたか。

ぴなぱさん「『これだー!』という感じで、スッキリしました。今まで迷いながらやってきたことに、多少なりとも道しるべができたようでうれしかったです」

Q.HSCだと分かって、娘さんへの接し方は変化しましたか。

ぴなぱさん「多少は変わったと思います。接し方自体というより、それまで『本当にこれでいいのか?』と半信半疑だったことに自信が持てるようになったので、育児のセオリー的なものに反していたとしても、娘に合うか合わないかを第一に考えられるようになりました」

Q.HSCは、まだあまり知られていませんが、発信していきたいという思いはありますか。

ぴなぱさん「あります。ただ、私も専門家ではないし、長女は初めての子なので、日常エピソードを描いたつもりがフォロワーさんのコメントでHSCの特徴だと気付いたり、逆に、HSCの話のつもりがただの子どもあるあるだったり、『これがHSC』と発信するのは難しいなとも感じています」

Q.HSCについて、周囲の人に理解してもらいたいことはありますか。

ぴなぱさん「実生活ではないですが、ネット上では『発達障害では?』とおっしゃる方もいました。確かに発達障害HSCは似ている部分もありますし、両方を持ち合わせている可能性もなくはないです。

ただ、HSCの子を持つほとんどの親がそうだと思いますが、発達障害も当然疑った上でHSCにたどり着いたということ、実際の子どもを総合的に見てHSCという結果に行き着いたことは理解してもらえたらなと思います。発達障害HSCでは対応も違ってくるので…」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

ぴなぱさん「同じようにHSCのお子さんを育てている方や、ご自身がHSC・HSPの方から共感していただくことが多かったです。また、私の記事で初めてHSCを知ったと言ってくださる方もたくさんいました。これ以降、テレビでHSCが取り上げられるときなどに教えてくださるフォロワーさんもいて、ありがたく思っています」

Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。

ぴなぱさん「今まで通り日常の出来事が主になるとは思いますが、HSCについては小学校に入学したら、いろいろと問題にぶつかる場面も増えると思うので、描ける範囲で丁寧に描いていきたいと思っています」

オトナンサー編集部

“繊細すぎる”性格の娘を描いた漫画のカット=ぴなぱ(pinapapinapa)さん提供