来年はミニマリストになるぞ!と年末の断捨離プロジェクトに取り掛かった方も多いかもしれません。そこで思い付くのは、あの世界的に大人気の片づけコンサルタント、近藤麻理恵さん(こんまり)の「ときめき」断捨離術ですが、実はその「こんまり」さんが海外メディアやTwitterユーザーから厳しい批判を受けています。
こんまりオンラインショップ開設は断捨離と矛盾?
もしかしたら、「こんまり」さんは海外で最も知られている日本人かもしれません。特に今年はNetflix
で「KonMari~人生がときめく片づけの魔法(原題:Tidying Up with Marie Kondo)」というリアリティーショーが配信され、その知名度は更に上がりました。
モノを持ち過ぎで「家を片付けたいが、どうしたらいいのかわからない」というアメリカ人の家を訪ね、「ときめき」を感じないモノは謝意を込めて手放しなさい、と独特のこんまり流断捨離術を伝授し、「こんまり」と「Spark Joy(ときめき)」という言葉は老若男女に知れ渡り流行語となりました。
そんなこんまりさんが11月17日、自身の英語サイト内に125点ほどの「自分がときめいた家庭用品やセルフケア商品」を販売するオンラインショップを開設したことをきっかけに、海外メディアやTwitterユーザーから非難を浴びてます。
11月18日にウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ) は今回のオンラインショップ開設について彼女にインタビューした記事を公開しました。
その後、同紙はTwitterにその記事のリンクと共に「家の中を散らかすモノは捨てましょうということで有名になった片付けの達人、今度は彼女が売るモノを買ってほしいのか」というコメントを投稿しました。
当然、Twitter上ではこの投稿に対する返信も含め、そのインタビュー記事の読者からも賛否両論のツイートが次々投稿されました。多数のウェブメディアでもこんまりの哲学に「矛盾しているのでは」という疑問の声が上がりました。
ときめくモノに囲まれる幸せを共有
WSJのインタビューによると、こんまりさんはファンから、彼女が日常的に好んで使用しているモノに興味があるというメッセージを受けることが多いそうです。それが動機となり、毎日の生活に少しだけ楽しみを加えるために、彼女がしていることを紹介しようとこのオンラインショップを開設したということです。
またショップを開くことは、ファンにモノを増やせと奨めているようにも思えるが、今まで伝授してきた断捨離と矛盾していないか、という疑問についてこんまりさんは「過剰購入を奨めようとしているわけではない」と説明しています。
沢山の無意味なモノを所有するのは心を乱してしまいがちだが、思い入れのある大切なモノに囲まれた家は心地よく最高の幸せだ、という信念に基づいているということです。
ソーシャルニュースサイト「Diply」では、こんまりさんのオンラインショップに疑問を持つ人々の「裏切られた」、「今までの教えはなんだったの、がっかり」、「断捨離してスペースを空けて、そこに自分の商品を買い足せということだったのか、ハメられた」などTwitter上の批判の声を伝えています。
しかし、「批判する人々は彼女の教えをちゃんと理解していない」、「彼女は『全てを捨てろ』と言っているわけではない」、「ときめくモノ、大切なモノは残せばよいと言っている」などのこんまりさんを擁護する投稿も多くみられるということです。
富裕層向け?これじゃ「goop」並だ
米フォーブス誌は、「彼女ほど有名になればファンの要望に応えて、自分のブランドを立ち上げることは自然なこと。しかし、高級品を扱うオンラインショップにしてしまったビジネス戦略に問題がある」と指摘しています。
チーズナイフ$180、革のスリッパ$206、ボディーブラシ$108等々。いくら、職人さんの手作りとはいえ、確かに、誰もが手を出せる値段ではないです。
「これでは、日本版「goop」ではないか、彼女を支援してきた多くのファンは家の中がガラクタでいっぱい、物理的にも精神的にも断捨離や整理が苦手なごく普通の一般庶民。このショップはそういうファンを考慮していない」とフォーブス誌は述べています。
確かに、他のメディアやTwitter投稿でも「こんまりの商品はgoop並だ」という声も目立ちます。
因みに「goop」とはお騒がせ発言の多い女優、グウィネス・パルトローが手掛ける、不思議なモノがやたら高価だということで知られているライフスタイルブランドの会社です。
グウィネス・パルトローは元々高飛車な言動がウリで、「goop」は富裕層だけをターゲットにしているという態度をはっきりと示しています。しかし、こんまりさんの場合は、謙虚に、誰にでも役に立つことを伝授してきただけに、今回の高級志向のオンラインショップにがっかりした人が多かったのかもしれません。
それにしても、こんまりオンラインショップではクリスマスシーズンということもあり、既に売切れ商品もあるようで、こんまり人気の根強さがうかがえます。
【参考】
「The Shop at KonMari」
“Marie Kondo Adds an E-Commerce Shop to Her Site” THE WALL STREET JOURNAL
“Twitter Is Calling Out Marie Kondo For Launching An Online Store” Diply
“Why Marie Kondo's E-Commerce Strategy Does Not Spark Joy” Forbes
「goop」
コメント