- 人は、他人の「能力の高さ」を服装で無意識的に判断することが明らかに
- 「裕福」と評価された衣服を着ると、「優秀・有能」と判断され、結果は個人的な顔とは無関係だった
人は見た目が9割といいますが、能力値でいえば、見た目どころか服装で決まってしまうかもしれません。
アメリカ・プリンストン大学の研究により、人は他人の能力の高さを服装から無意識的に判断することが判明しました。
また、研究チームのエルダー・シャファー氏は、「この判断は数ミリ秒の間に行われ、意識的に回避するのはほぼ不可能」と話しています。
研究の詳細は、12月9日付けで「Nature Human Behaviour」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41562-019-0782-4
「優秀さ」は服装で判断される
実験では、異なる衣服を着た人たちの顔写真50枚(上半身のみ)を被験者に見せて、「能力の高さ」についてそれぞれ評価してもらいました。その際、同時に、着ている服について「裕福」に見えるか「貧相」に見えるか、チェックしてもらっています。
その結果、「裕福」と認識された衣服を着る人の方が、圧倒的に「能力が高い」「優秀に見える」と判断されました。被験者には、130ミリ秒〜1秒間の3つの時間枠で判断してもらっていますが、結果は変わらずでした。
さらに、研究チームは、この先入観がどれほど強いものか調べるため、実験の形式を複数のパターンで行なっています。
例えば、被験者に対し「事前に衣服と能力の間に関係はない」と教えたり、衣服からの推測を最小限にするため、「写真内の人の職業と収入に関する情報」を提供しておいたり、あるいは、「衣服は無視するように」と明確に指示したりしました。
それでも、結果は一貫しており、服装が裕福に見えた場合に、能力も高いと判断されたのです。
顔は関係ない?
この結果は、個人の顔ともまったく無関係でした。実験では、写真内の人は変えずに、衣服だけを取り替えて被験者に見せると、やはり「裕福」な服を着た人が「能力が高い」と判断されたのです。
シャファー氏は「この判断は、ファーストインプレッションの最初の10分の1秒で開始され、先入観を回避することはきわめて困難」と指摘します。
以前の研究によると、人は「他人の見た目がどれだけ裕福/貧乏であるか」に普段から非常に敏感であることが分かっています。そして、本研究では、人が「能力」のような特性を判断する際、見た目(衣服)に強く引っ張られることが証明されました。
この結果は、「良い服を着ている人が有能である」という経済的な偏見に基づいていますが、実際には、能力の高さと衣服には関係がありません。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどは、衣服に時間と労力をかけないため、まったく同じ種類のシャツ/セーターとジーンズをいくつか用意して、毎日同じ服装をしていました。
ただ、こうした先入観は、現代人の深層に根強く定着しており、「服が良ければ有能に見える」というのは変えられません。面接や社交的な場で自分を有能に見せたいなら、衣服に気を使うのがベストでしょう。
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