「工房イサド」として家具や木工品を製作している本田淳さんが名建築を訪ね、その魅力を紹介してくれます。今回は埼玉県さいたま市の「カフェ&ギャラリー温々(ぬくぬく)」です。
農機具などを置くための納屋だった築170 年の建物をカフェにリノベーションし、ギャラリー部分を増築したものです。
出会いのきっかけはカフェで食べたお汁粉
さりげなくしつらえられた棚にディスプレイされている食器はすべて商品
「10年以上も前の話ですが、あるカフェでお汁粉を食べたときに出された木製のスプーンがすごく食べやすくて。それが工房イサドの本田淳さんの作品だったんです」と話す野澤美奈子さんは、カフェ&ギャラリー温々で販売する生活雑貨のセレクトや、ギャラリーの企画などを担当しています。
工房イサドの木工雑貨がレジ横の棚に楽しげに並びます
築170年の納屋をリノベーションした温々は、クオリティの高いギャラリー展示でも知られています。
また、陶器やガラスの器、衣類といった生活雑貨の販売もしていて、店内にしつらえられた棚などに美しくディスプレイされ、大切に扱われています。
窓に面した棚に整然と並ぶガラスの器が美しい
築170 年の建物をカフェにリノベ「カフェ&ギャラリー温々(ぬくぬく)」いつ来ても変わらない居心地のよさ
屋敷林に面した喫茶スペース
「僕もときどきお客さんとしてお邪魔していますが、建物自体も素晴らしいし、接客がきちんとしていて本当に居心地がいいんですよね。シンプルなことですが、それを継続するのは大変なことだと思います」と本田さん。
「ざぱん」という屋号で天然酵母のパンをつくるパン職人でもある野澤さん。パンは敷地内にあるショップ「かぎろひ」でも販売しています
仕入れは半年に一度の割合で、野澤さんが工房を訪れて作品を選び、そのときどきで入れ替えています。「本田さんは、初めてお会いしたときからずっと変わらないです2020年には工房イサドとしてギャラリーでの展示も予定しているという。
タモ材の木べら各2200円(税別)
チーク材のカッティングボード4200円(税別)
杉材のパン箱11000円(税別)
おいしいコーヒーと訪れるたびに発見のあるギャラリー、つくり手の思いのこもった雑貨。決してアクセスがよいとはいえない立地でありながら、長年愛されてきたカフェには、また訪れたくなる理由がありました。
埼玉県さいたま市見沼区丸ヶ崎1856 telephone*048・686・3620 open10:30~20:00、10:30~21:00 (満月の日) 月曜定休(祝祭日の場合は翌日の火曜日)
【本田 淳さん】
1968 年東京都生まれ。「工房イサド」として家具や木工品を製作。無垢材のテーブルや椅子などの家具から、器やスプーンなど暮らし回りの道具、古材の額やオブジェまで幅広い。
撮影/山田耕司
※この記事は「リライフプラスvol.29」掲載時のものです。
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