殺人事件の共犯として警視庁に逮捕された女性が、消える怪事件が起きた。今年3月9日に上野に住む男性さんが宅配業者を装った男性に絞殺される事件において。。

「知らない人が来て、家族が倒れている」という被害者の内縁の妻から通報があり、捜査員らが駆けつけたところ、Sさんがソファでグッタリしており、搬送先の病院で死亡が確認された。

同月27日、事件の通報者であり、Sさんの内縁の妻の坂下乃ぶ江(54)容疑者が、Sさん殺害の実行犯Kと共に逮捕。警察は、坂下がKを手引きしたと見ている、と報道された。

 

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ところが、逮捕から8ヶ月以上が過ぎても坂下容疑者に関する新しい情報は出てこない。実行犯Kの裁判は既に始まっている。坂下は、釈放されたのか、未だに警察の留置場にいるのか、既に検察に送検されているのか、生きているのか、死んでいるのかさえ、不明なのだ。

筆者は、警視庁や東京地方検察庁に問合わせたが、捜査上の秘密やプライバシーを理由に回答を拒否されてきた。

噂では、坂下容疑者には複数の余罪があるのではないか、と見られている。川崎市の一人暮らしの金融業者の男性が変死した事件では、坂下容疑者が金融業者の家族に愛人を名乗り、合鍵を持ち出していたと言われている。他にも坂下容疑者が関わったのではないか、と言われる事件があるという。

だが、しかしである。幾ら坂下容疑者に複数の犯罪嫌疑があるとは言え、逮捕された人物がどうなったのか、警察や検察といった司法を司る公的権力機関が秘密にしてもいいという法はない。

例えば、貴方が警察に逮捕されたとする。容疑は痴漢でもなんでもいい。何ヶ月経っても音沙汰ない。家族や友人・知人が心配して捜査機関に問合わせても、捜査上の秘密やプライバシーを理由に回答を拒否するのでは、暗黒国家である。

 

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戦前の日本では、逮捕された社会主義活動家が留置場の中で刑事にリンチされ、殺されるようなケースが少なくなかった。有名なところではプロレタリア作家の小林多喜二などだ。とは言え、大日本帝国の特高警察だって、逮捕した容疑者が死んじゃいました、と家族に死体を送り返し、葬式を出させるぐらいの気遣いはみせた。全く闇から闇に葬ろうとしたケースは、アナーキストの大杉栄と伊藤野枝、甥の橘宗一(当時6歳)を殺害した憲兵隊の「甘粕事件」がある。

完全な独裁国家だったナチス政権下のドイツや、スターリン政権下のソ連では、深夜にゲシュタポやゲー・ペー・ウーが容疑者を連行すると、その後の消息は家族も分からなくなる場合があった。処刑されたのか、強制収容所や労働キャンプに入れられたのか、知るすべはない。永遠に姿を消してしまった人も少なくなかった。

坂下容疑者の場合は、政治犯ではないだろうが、大手メディアの劣化が著しい中、こうした事例を見過ごしているのは、極めて危険なことなのだ。

 

マスコミや野党が『桜を見る会』を追及するのは、無論大事なことだろう。しかし、同時にこうした都会の片隅で起きた事件の中に、当局の人権侵害や不法行為の疑いのある事例がある事にも、政府を監視すべき役割を持っている国会議員メディアが、もっと目を向けなくてはならない。(文◎高田欽一)

 

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