LAZADA内の「Tokyo City Shop

 東京の公益財団法人「東京都中小企業振興公社」(以下「東京都」)が、『LAZADA』にアカウントを持ち、タイでECを行っていることをご存知だろうか?

東南アジアではAmazon以上のECサイト「LAZADA
 LAZADAとは、2011年ドイツの企業によって設立され、2016年には中国のアリババ・グループに買収された企業で、シンガポールを中心にタイや東南アジア、中国などで幅広く利用されているECサイトでもある。日本でのアマゾンや楽天を想像してもらうとわかりやすく、それらが進出していない地域で特に利用される、東南アジアでは最大の小売りサイトであり、現在タイではもっとも利用されているECサイトとなっている。(参照:Amazonも苦戦中。東南アジアのeコマース市場に君臨する「LAZADA」とは?|HBOL)
 ちなみに、かつてタイでは宅配サービスがなかったのでネット通販が発達する土壌がなかったが、今は数社の宅配サービスが業務を担い、ネットショッピングが一般的になっているのだ。

 そこに東京都は目をつけ、「東京都中小企業振興公社」に相談に来る企業のうち、特にBtoCに向く商品を選別して、LAZADAに掲載しているのだという。

中小企業には敷居が高い「タイ進出」の足がかり的支援

METALEX 2019」に出店していた東京都中小企業振興公社のブース

 筆者がそれを知ったのは、、11月20日~23日の4日間、バンコク郊外のコンベンションセンターで開催されていた、毎年10万人以上が訪問する機械や金属部品などの展示会「METALEX(メタレックス)」の会場だ。機械や金属部品の展示会なのに、なぜか日本語が書かれたTシャツを扱っているブースがあったのだ。そのブースにいた人物が、「東京都中小企業振興公社」事業戦略部国際事業課の佐谷友邦主任だった。
 彼が、「実はこれは東京都が『LAZADA(ラサダ)』にアカウントを作り、今年8月から出品している商品のひとつです」と教えてくれたのだ。

中小企業がゼロからタイに出店することは難しいですし、ECサイトでもなにも伝手がない状態で出品することも困難でしょう。そこで東京都中小企業のマーケティングも兼ねて商品を出すことを支援しています」(住谷氏)

 住谷氏によれば、この取り組みは中国でも行っているらしい。しかし、中国は日本から近いことと、郵便局のEMSで簡単に送れることから、一般企業でも比較的参入しやすかったという。ところが、タイは距離的な問題、それから通関のトラブルが多いため、LAZADAとはいえ、輸出入の知識がない企業が入る市場としてはハードルが高めだったのだ。
 通関のトラブルというのは、タイに輸入する際に必要な書類が煩雑であり、かつ担当官によって判断が異なるケースが多いことだ。前回は問題なく通関されたのに、今回はさまざまな証明書類を要求されるなどの問題がよく起こる。そこで東京都が支援をして輸入し、在庫はLAZADAの倉庫などに預けているという。

◆お役所だけど結構攻めた商品も!?
 というわけで、筆者も実際にLAZADAサイトを覗いてみた。アカウント名(チャンネル名)は「tokyo city shop」だ。
 気になる商品から微妙なものまでいろいろ揃っているが、気になるのは価格だ。
 
 前出の佐谷氏も、「すべてメイドインジャパンですから、日本からの輸入経費がかかる分、日本国内の価格と同じとはいきません」 と価格的に不利な点は認めている。実際、サイトを見ると、タイのECサイトにしては表示価格が高い印象がある。

 ぱっと目につく商品だと、女性向けのセーラー服がある。自治体が扱うにはなかなか攻めたチョイスだと感じるが、タイはコスプレも人気があるし、タイ女性は「カワイイ」が好きなので、興味を引くには十分だ。ただ、価格が17,210バーツだ。約6.1万円なので、タイの収入水準からすると大卒の初任給に匹敵するレベル。これは高い。

お役所にしては攻めた商品。「カワイイ」文化が人気のタイでは売れそうだが‥‥高い。。。

 もちろん、ほかの商品を見ていると案外にそうでもないものもある。先のセーラー服は日本の販売価格を追うことができなかったが、筆者も親子で着ている「火消し」のTシャツはタイ価格、日本価格の双方が判明した。タイ価格は1,090バーツ、日本円で3,893円になる。まったく同じ商品が日本国内向けの価格だと3,850円。わずか43円しか値差がない。

火消しTシャツは日本との値差がほとんどなかった

筆者の娘が着る火消しTシャツ。タイ人からも好評だった

◆日本ブームのタイで成功なるか?
 ほかにも日本の価格と大きな値差があるもの、それほどではないものと商品によってばらつきがあった。これは筆者の計算時と値段設定時の為替レートの違い、商品の輸入関税率の違いなどが関係してくるとは思うが、思っているほど差がないという印象だ。むしろ日本に行って買う手間を考えたら安いくらいだ。

 現状は40種類ほどの商品を扱うが、実験的な事業なのか恒久的ではなく、今のところ2020年3月末までの出店予定となっている。

 タイは今も和食と旅行の2本立てで日本ブームが続いている。この間はぜひとも継続してLAZADA出店を続けてほしいところだ。

<取材・文・撮影/高田胤臣>

【高田胤臣】
Twitter ID:@NatureNENEAM
たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など

LAZADA内の「Tokyo City Shop」