厚労省の就職氷河期世代への就労支援が成果を見せ始めている

厚生労働省ハローワークを通じて「就職氷河期世代」に限定した求人を認めたところ、2か月間で少なくとも16人の就職先が決まったことが16日に分かった。

就職氷河期世代は、バブル崩壊後に就職活動が厳しい状況に置かれた現在の30代半ば~40代半ばを指し、正規雇用を希望しながらも非正規雇用や無職の人が多いといわれている。

労働施策総合推進法では本来、募集・採用時の年齢制限を原則禁止している。だが、今回はハローワークを通じた求人に限り、特例で求人掲出を認めた。

「直近5年以内に正社員としての雇用期間が通算1年以内」も条件


同省によると、8月下旬から10月末までの約2か月間に寄せられた求人件数は、就職氷河期世代が対象の「限定求人」と年齢・経験が問われない「歓迎求人」を合わせて1507件。募集業種としては運輸業や卸売・小売業、サービス業などが多かった。

成果としては、氷河期世代のみを対象にした「限定求人」で、16人の正社員を含めた就職先が決定。他世代を含んだ「歓迎求人」を合わせると80人にのぼるという。

同省雇用政策課によると、就職氷河期世代にもキャリアのある人はおり、新卒時に採用された絶対数が少ないことから、こうした年代のニーズはむしろ高い傾向にあるという。

だが、今回の限定求人では「直近5年以内に正社員としての雇用期間が通算1年以内」などの条件を設け、これまでに正社員としての雇用機会に恵まれなかった人に対象を絞った。同課の担当者は

「支援が本当に必要な人に行き渡るようにした」

と無職や非正規労働者の"正社員化"を目指すねらいを語った。

就職氷河期世代の採用をめぐっては、11月に兵庫県宝塚市が4人の採用内定を発表。同様の取り組みは近隣自治体や和歌山県にも広がりを見せている。

11月下旬にあった経済対策諮問会議では、安倍首相が就職氷河期世代への支援に言及。同省は今後、民間の職業紹介事業者でも、就職氷河期世代の限定求人を出せるようにすることを検討している。