
2019年12月18日(水)東京・六本木の俳優座劇場にて、舞台『冒険者たちのホテル~ドラゴンクエストXに集いし仲間たち~』が開幕した。初日直前には同劇場で公開ゲネプロ(通し稽古)が公開され、本作で初主演を務める今江大地(関西ジャニーズJr.)らが本番さながらの芝居を披露した。
2016年演劇集団イヌッコロにより上演された『冒険者たちのホテル』が元となる本作は、2017年には『ドラゴンクエスト夏祭り2017』の会場である東京ビッグサイトでも上演され、話題を呼んだ。
オンラインRPGにはまった主人公・藤澤智彦(今江)が、オンラインゲーム仲間を呼び集めるが、ちょっとした嘘がさらなる嘘を呼び、いつしか仲間だけでなく、ホテルの従業員や藤澤の妻も巻き込んで大事になっていくワンシチュエーションコメディー。今回は『ドラゴンクエストXに集いし仲間たち』とサブタイトルを加え、佐野瑞樹による新演出で上演される。



ゲーム仲間に嘘をつく一方で妻にその嘘をごまかすための新たな嘘をつき、さらに別の嘘で上塗りして……まるでレイ・クーニーの笑劇さながらに次々を笑いを引き起こす。藤澤役の今江はこれが初主演とは思えないくらい堂々と、そして軽快に物語の中心で見事な会話劇を成立させていた。また米原が絶妙な立ち位置から今江をアシストしていた点も見どころとなっていた。

ゲネプロの後に行われた囲み会見では今江、佐野のほか、米原幸佑、近藤頌利、丸山敦史、花奈澪も出席し、初日を目前にした今の心境が語られた。佐野は今江の主演ぶりについて「ほぼマンツーマンみたいな感じでずっと稽古をしてきて、(今江が)どんどん成長してきたので、最後は自信を持ってやってください、という気持ちです」と目を細め、「楽しんで、天才だと思ってやってもらいたい」とエールを送ると、嬉しそうにクシャクシャの笑顔で今江は「自信満々です」と答えていた。

今江大地
とはいえ、今江はゲネプロ前には「緊張して足が震えていたんです」と本音を漏らす。「演出の佐野さんと、この共演者の皆さんとご一緒できて、初主演がこの作品でよかったと思っています」と口にしていた。

米原幸佑
主人公・藤澤の友人であり、オンラインゲーム仲間・齊藤役の米原は「僕は(今江)大地との絡みが多く、振り回されるだけ振り回される役です」と役どころを説明しつつ、「稽古から今日まで、僕らが楽しんでいるこの感じがお客様に伝われば一番いいんじゃないかな。全公演、新鮮な“冒険者たち”の姿をお届けできたらと思います」と笑顔を見せる。
藤澤の仕事上の関係者・末国役の近藤は「この作品は会話劇なので、お客さんの空気を感じながらやることが大切だと思います。日によって違うものになるでしょうし、客席の空気を読み取って、1公演ずつしっかり臨めたらいいなと思います」とコメント。

近藤頌利
ホテルのコンシェルジュ・安西役の丸山は「稽古でやるべきことはやってきましたが、一つだけ……カーテンコールで今江の登場の仕方だけは詰め切れてなかった」とぎこちない今江の歩き方を真似して皆で大笑い。「小学生の入場みたい」と米原が突っ込めば、「下手したら右足と右手が一緒に出てる」と近藤がその場で真似を。皆からのツッコミの嵐に今江は「緊張するんですよ~」とまたクシャクシャの笑顔を見せていた。

「右手と右足が一緒に出てる」と指摘され、今江さん撃沈!

花奈澪
本作ではオンラインゲームを素材に作り込んでいる芝居。そのためか、稽古場でゲームをやっていても怒られず「むしろ褒められていた」と語るキャストたち。「ゲームをやっていて怒られないのはこの現場だけ!」と皆、笑い合っていた。ちなみにいちばんゲームをやり込んでいたのは藤澤の妻・絵里役の花奈。そしてゲームをやり込み過ぎて粗相をしたと語るのは佐野。佐野は明け方までゲームをしていたがために稽古場までの移動中の電車で寝てしまい、稽古に遅刻したと暴露。「朝起きて電車に乗っているから寝坊じゃない」と苦しい言い訳をしていた。
今江にとって佐野は元・事務所の先輩。「後輩と一緒にやらせてもらえるのは嬉しいことですし、期待に応えていかなければいけない、どこに出しても恥ずかしくないよう鍛え上げなければと、僕もちょっとプレッシャーでした。でも、がっつりと二人三脚でやらせていただけたことはいい経験でした。感謝しています」と佐野が胸を張っていた。
最後に今江は「すごく緊張しますし、怖いこともいっぱいあるんですけど、楽しみです」と満面の笑みを見せながら会見を締めていた。
取材・文・撮影=こむらさき

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