ボンバヘッ!でお馴染みのヒット曲『Bomb A Head!』のほか、DA PUMPの育ての親としても知られるm.c.A・T。日本屈指のプロデューサーの自伝的連載がスタートだぜっ!


勝ちゃんとの出会い

 前回は温暖化の話に脱線したけど閑話休題。北海道でのコンテスト荒らしからのテレビ出演などで少しずつ存在が知られてきた頃、とある有名アーティストと知り合いになった。ちょうど彼が札幌にツアーで来ることになり、確かイベンターさんから「君に会いたいというアーティストがいるんだけど来ない?」みたいな感じで繋がったんだと思う。

 彼の名前は中川勝彦。漫画からまんま飛び出してきたような美男子で、しかも音楽的なセンスや知識が半端なく、見た目とは違って非常に男気もあるやつだった。ライブを観させてもらい、一緒に食事に行ったりもして音楽の話をたくさんした。彼のバンドには同い年のギタリスト是永巧一もいて、ここから彼とのつき合いも始まった。いろいろ話をしたけど、最初の頃は「プロはすげぇなぁ〜」みたいな感じで終始ボ〜ッと話をしていたような記憶が……(笑)。何度か会うなかで旭川の部屋にも来てくれたこともあったっけ。あんなボロボロの部屋に……(笑)。いま思えば、勝ちゃんは本当に半端ない行動力を持っている人だったな。

 しばらくして、テレビ局が主催のコンテストの決勝大会が札幌厚生年金会館(今はありません)で行われることになった。俺は道北の大会で優勝していたので決勝に進んだわけ。結構大きな規模の大会で、全道から夢見る才能あるアマチュアが集まってきていた。ヘビメタ、ロック、ポップス、フォーク……ジャンルもいろいろだったけど、MTRを使ったパフォーマンスをするのは自分だけ。曲的にはちょっと地味だけどフレーズにインパクトがあるハウスっぽい曲をやったんだけど、本番で「あれ? なんか音圧が地味だな」と思いながら歌い終えると、なんとステージ上の返しのモニターでは爆音が出てたのに、観客側に音が出なかったという事態! 滅多にないことだよな〜。コンテストだから「もう1回!」というわけにもいかず……。悔しかったな。(次ページへ)

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m.c.A・T『なんて言うんですか、こんな音楽感』第7回〜恩人!中川勝彦!