キングオブコント2018」で優勝してから、スター街道を爆走中のトリオ芸人・ハナコブレーンの秋山寛貴を中心に、最近は大食い番組で引っ張りだこの岡部大、奇想天外のナチュラルボーン・菊田竜大の3人が紡ぎだすコントは、お笑い通を唸らせる。

【写真を見る】「“岡部女装ブーム”のDVD」と最新DVDをアピールするハナコ

12月25日(水)には、6月に開催された同名単独ライブを再現して収録したDVD「タロウ4」がリリース。“お笑い第7世代”として注目されるトップランナー3人衆に迫った。

■ 今しかできないコント

──収録されているコントで、それぞれのお気に入りを教えてください。

秋山:僕は「新元号発表」ですね。すごく単純明快でバカバカしいんですけど、今しかできないコントができたなっていうのがうれしいです。令和一発目のDVDにちゃんと入っているというのもうれしいですし。

あの菅(義偉)官房長官の会見は見ていたんですけど、ニヤッと笑ったんですよ。ああいう照れってあるよなぁって。それを(コントで)やりたくなったんです。

岡部:僕は「行かないで」ですかね。なんか、今回の単独は女装が多いんですよ。楽しかったですけど。中でも、これは今の時代にピッタリだなぁと思って。最初は、秋山が「最近街中で見る“緑のやつ”を使ってネタにしたい」と言いだして、そこから始まったんですけど、会場でもウケが良くて、時期的にもちょうど良かったなぁと思います。

ただ、地方公演の時はちゃんと事前にリサーチしましたよね。そしたら、地方の都心部でも“緑のやつ”がやっているっていうことだったのでやりました。東名阪以外とか、僕の出身の秋田とかだったら全然分かってもらえないかも…。

――菊田さんはどれですか?

菊田:あー、すいません。質問は何でしたっけ?

秋山:だいたい推測できるだろ、今の答えで(笑)。

――「お気に入りのネタは?」でした。

菊田:あっ、えーっと、えーっと。「清掃員」ですね。岡部の顔がもう…。僕は舞台袖に長い間いるんですけど、僕視線で見る岡部の顔が一番面白いんです。ぜひ、それをいつか皆さんに見せたいなぁと思って。

――我々が見られる日は来ないでしょうけど…(笑)。菊田さんは比較的、コントの終盤になってから登場することが多いです。舞台袖で展開を見ている時、自分の出番を不安になったりしませんか?

菊田:そう思ったことはあまりないですね。登場が多い方がヒヤヒヤするんで。間違えられないっていう(意味で)。

――“っぽい”答えでした(笑)。実体験をネタに落とし込んだコントなんてありますか?

秋山:「インタビュー」はそうかもしれないですね。「キングオブコント」で優勝させてもらった後、こういうインタビューを受けることを初めて経験させていただいて、コントに出てくるような長い沈黙の間があるインタビューは嫌だなと思って。

それは、インタビューをしていただいたから思いついたのかもしれないですね。実際にあったわけじゃないんですけど。

■ 「キングオブコント」優勝で変わった生活

――「キングオブコント」優勝から2度目の冬を迎えました。漫才の「M-1グランプリ」も同じく、優勝者は全国に生放送されている最中から、マネジャーの携帯に仕事の依頼が殺到して、鳴りやまないと聞きますが…。

秋山:聞いたところによると、今はメールとLINEらしいですよ。僕らの場合は、実際にどんな内容の仕事が来たかまでは知らないですけど。

――仕事内容、生活はこの1年強でガラリと変わりましたか?

秋山:2日後に「ノンストップ!」(毎週月~金曜朝9:50-11:25、フジテレビ系)に出たんですけど、お台場で家族づれから「見てました」って声をかけられて。当然のように「テレビで見たよ」って街で声をかけられる感覚がすごい不思議で。

岡部:お台場のは「さっきまで生で出てたのに、なんでここにいんの?」って気持ち悪かったです。ワープした家族みたいで(笑)。

秋山:出掛ける用意をしながら見ていたとか、状況はいろいろあるからね。そういうのが徐々にじゃなくて、「キングオブコント」を境に突然増えたんです。

岡部:僕は、食べる仕事が今になってこんなに増えるとは…。コント師なんで、もっとお芝居の仕事をやれるのかなぁと思っていたら、もっぱら食べる仕事。有吉(弘行)さんの「有吉ゼミ」(毎週月曜夜7:00-8:00、日本テレビ系)とかで、めちゃくちゃ食べています。

――“ワタナベ芸人”は、毎年コンスタントに爆食系番組に出ますよね。

秋山:確かに! あばれる君さん、ギャル曽根さん。社風なんですかね。

岡部:石塚(英彦)さんを頂点とした“食べ芸人”ね。

菊田:僕は31歳の時に「キングオブコント」を取れたんですけど、やっと周りにいる31歳・男性並みの生活ができて、こんなに楽しいものなんだって実感しました。こんな服買えるんだって。ちゃんと働いている人はすごいなって思いました。こんなに稼いでたんだって。変な感じでした。

――優勝者ですから、同世代の平均男性より稼いでいるでしょう。

菊田:いや、いや。まだトータル的にはたぶん、32歳(現在)・男性の方が多いと思いますよ。

岡部:(菊田は)服を買えるかどうかが基準なんですよ。生活の中心が服なので。

菊田:服を買えなかったら僕、死にますね(笑)。

――結婚したのも優勝して収入が定まってきたからですよね。

菊田:そうですね。もういいでしょ、って。

■ “岡部女装ブーム”のDVD

――では最後に、最新作の見どころを教えてほしいのと、来年の抱負を聞かせてください。

秋山:“岡部女装ブーム”のDVDであるということと、さっき出た「行かないで」がそうですけど、賞レースに出たらこのネタをやるんだろうなぁというのが入っています。今年はコントでセットを組めるようになったんですけど、2020年はグレードアップした単独ライブを1、2発は打ちたいなぁと。

岡部:(2020年は)「タロウ5」ですね。秋山はもう舞台監督さんと相談を始めていて、「タロウ4」を見た方はぜひ「タロウ5」を見てほしいです。もっともっといい感じにできるんで。

秋山:まだネタのアイデアが浮かんでいないのに、できることだけを質問していますから。そしたら、「何でも(セットで)作れる。家も造れる、階段も造れるよ」って言われて。実際に家を組むかは分からないですけど、「組みたい」と言えば組める状況にある。

岡部:スタッフさんが充実してきたんで、やりたいことができる環境がさらに整ってきたんで、来年もコントは頑張りたい。

菊田:来年の抱負かー。難しいですね。全国でハナコのレギュラー番組を持つ、ですね。ローカルも楽しいんですけど、全国って格好良いじゃないですか。あと、DVDは特典映像がおもしろ仕上がりになってます。

岡部:親を出しがち、で…。(ザテレビジョン・文=伊藤雅奈子)

DVD「タロウ4」を発売するハナコ