2019年12月20日マイ・ケミカル・ロマンスが7年ぶりにステージに復帰した。米ロサンゼルスShrine Auditoriumで開催された待望の再結成コンサートでは、新曲は披露されなかったものの、過去4作のスタジオ・アルバムから厳選された曲の数々が会場を大いに沸かせた。

 ファンの期待があまりにも大きく、公演前にローディーがギターのチューニングをするだけで歓声が上がるほどで、メンバーのジェラルド・ウェイ(vo.)、マイキー・ウェイ(b.)、フランク・アイイアロ(gt.)とレイ・トロ(gt.)が最初の曲「I’m Not Okay (I Promise)」に突入した瞬間からファンの熱は早くも最高潮に達し、ライブが終わるまでの1時間45分間冷めることがなかった。

 MCでジェラルドは、「このショーが実現するか分からなかったから、来てくれてありがとう」と感謝の言葉を述べ、がんとの闘いの末7月に死去したバンドのマネージャー、故ローレン・ヴァレンシアにこの公演を捧げると語った。

 前半はディープ・カッツも多く、2013年のコンピレーション・アルバム『Conventional Weapons』に収録されている「Make Room!!!」が披露されたほか、Youth Codeのサラ・テイラーがゲスト・ボーカルで参加した荒々しい「You Know What They Do to Guys Like Us in Prison」のパフォーマンスも印象的だった。

 エネルギッシュなパフォーマンスを続けていたジェラルドだったが、前列にいた熱狂的すぎるファンに向かって、「ダイヴしてほしいの?」と尋ね、「そういう日々はもうおしまい。壊れちゃうよ」とやんわり断る一幕も。その話の流れにふさわしく、加齢を実感し始めたジェラルドが書いたという「ティーンエイジャーズ」を直後に披露した。

 その後も、『ザ・ブラック・パレード』より「ママ」や「フェイマス・ラスト・ワーズ」が披露されるとジェラルドの声がかき消されるほどの大合唱が起き、リリースから13年経った今も彼らの楽曲がファンの心に深く刻まれていることを証明した。

 アンコールで「ヴァンパイア・マネー」と「ヘレナ」を演奏したあと、ジェラルドは、「もう1曲あるんだ。みんなが聴きたいやつかもね」と前置きし、バンドは堂々たる「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」のパフォーマンスで新たなスタートを切るライブを締めくくった。新曲はなかったものの、活力に満ちて再結成した彼らは、過去を振り返りながらも、しっかりと未来を見据えていることが明らかなカムバック公演となった。

マイ・ケミカル・ロマンス、7年ぶりの再結成公演を開催「実現するか分からなかったから、来てくれてありがとう」