txt:林和哉 構成:編集部

HDDはデータ管理の要

秋から冬に掛けて、色づいた木々やお祭りごとなど、被写体が魅力的な良い季節ですね。皆さんも沢山の映像を撮られて、データ管理に追われていることとお察しします。無理の無いようにお体ご自愛ください。

さて、今回はそのデータ管理の要となるストレージのお話です。

撮影データや編集データを安全に保存・管理すること。全ての動物が本能的に命を守るのと同じように、それは映像制作に携わるものにとって、第2の本能となっていますよね。そのために巨大なRAIDを備えて、データを保全することから始まり、保全しつつ高速な読み書きをして編集とのHDD容量の低コスト化を図ったり。

可搬性を持たせつつ、安全にデータを保存できるHDD、誰もが必ず欲しがったことがあるはず。相応にコストをかければ、そんな製品も多数出てくるでしょう。しかし、台数が欲しい保存用HDD(オフラインの編集くらいは可能な速度を備えた)ですから、コストパフォーマンスを考えると、高価だとちょっと導入運用が難しい。

そんな中、BIOSさんからEclairPro Mobileという非常に魅力的な製品が出てきたので、早速触ってみました。

ちなみにBIOSさんは国内でストレージを自社開発している会社さん。HDDコントローラーからドライバーまで、全てが自社開発なので、トラブルが発生してもすぐに自社でプログラムを書き換えて対応して行けるわけですね。海外の出来上がった物を組み上げて行くのと違い、手元で全てをサポートできる強みが「絶大な安心ブランド」として、ドンドン浸透してきている訳です。

特徴

■大容量ラインアップ

メーカー保証有りの状態で、最大24TB(12TB×2)という大容量。結構びっくりなラインアップです。これだけの大容量をラインアップしてくれていると、台数を減らすことが出来ますね。RAID1で12TBという容量の安全を担保して運用できると考えると、隔世の感があります。

■USB3.1 Gen2とUSB3.0のデュアルポート

USB3.1 Gen2とUSB3.0の両方を装備しています。まだまだ完全普及とは言い難いUSB3.1 Gen2。レガシーになって行くであろうUSB3.0端子を残してくれていることが、接続時の選択肢が増えて、多様なPCに接続できるので助かります。

■可搬性・耐衝撃性を高めたエクステリアデザイン

HDDを2台搭載し、耐衝撃性を高めたエクステリアを持つ可搬型のRAIDドライブ。この外装にメチャクチャな安心感を感じるのは私だけではないでしょう。

机の上に置くときでも、ちょっと手を滑らせてHDDを「ばたん!」と机に打ち付けてしまったことのある方はけっこういらっしゃるはず。持ち手もしっかり付いていて可搬性を高めてくれています。このラバーの外装が、心理的ハードルを一気に下げてくれそうです。

このデザインには既視感を持つ方もいらっしゃるかな。実は、もともとBIOSさんにもこういった安全性を高めたストレージの要望が高かったようです。しかしながら「先行メーカーさんもいることだし、敢えてぶつからなくても」という事だったそうですが、先行メーカーさんが拡げた風呂敷をたたんでしまい、ニーズに対する供給の穴がポッカリと空いてしまったので、その難民救済のためにも、と商品化されたのが本製品とそのシリーズなのですね。

しかし、ここまで見てきただけでも分かるとおり、単なる後発商品ではなく、ユーザーリティに直結する気の利いた工夫が随所にされています。

■スタッカブル

EclairPRO Mobileは、2台のHDDを重ねて置くことができるようになっています。四隅の足をしっかり固定できるように天板部分の四隅に凹みが付けられていますので、ズレることなく安心して置いておくことができます。デスクを広く使いたいとき、不安定な状態で重ねるのではなく、しっかり固定して重ねられるのは、これまた心理的に楽になりますね。

■電源内蔵

EclairPRO Mobileは、本体に電源を内蔵しています。電源内蔵だとコンセントコード一本で済むので、取り回しが楽ですね。可搬型のHDDの多くはシングルドライブで軽い物が多いですが、それらは筐体は小さくしているものの、電源アダプターが別になっていることがほとんどです。結局、HDD筐体は小さめでも、電源アダプターが別になっていることで管理の煩わしさが発生します。

「電源アダプターを梱包忘れてしまって電源が入らない」
「ついつい電源アダプターが増えていき、どれがどのHDDのアダプターか分からない!」

なんて事も起こるときがあります。ケーブル忘れても三極ケーブルはどこにでもあります。こうした細かい配慮がありがたいですね。

安全で分かりやすいRAID切り替え

EclairPRO Mobileは、2台のHDDを搭載しています。ということは、「RAID0」または「RAID1」が設定できる、ということですね。大概のRAIDは、コンピューター上のデバイスアプリからRAID構成を変更しますが、EclairPro Mobileの場合は一味違います

  1. 背面にあるスイッチを希望のRAID構成に切り替え、ミュートボタンを押しながら電源を入れます
  2. ブザー音が鳴り始めたらボタンを放し、再度ボタンを3秒間押して放す
  3. ブザー音が鳴り止んだら切り替え完了

というわかりやすさ。

手順は簡単に覚えられますが、意識的に操作しないと実行されないように、3段階の操作が必要になっているので、不用意にデータロストすることはないように考えられています。

データ保全か、作業領域としての速度確保かを時々に応じて素早く選択できるのはいざというときに頼もしいですね。

速度

USB3.1 Type-Cを備え、2台のHDD、純正ドライバの安定性が提供するエクスペリエンスに期待が高鳴ります。ということで、サクッとクリスタルベンチマークで計ってみました。

■RAID0
■RAID1

どちらの設定でも、中々のスピードが出ています。RAID0でしたら、シングルSSDと互角のスピードが期待できます。ProRes422HQ UHDのビットレートが884Mbps。MB換算で110MB/sの転送レートです。

RAID1では、4K素材の2レイヤーくらいまでだったら何とかなりそうです。安全性を確保した上で、日常使いにも耐えうる性能が担保されているのが素晴らしい

梱包箱

EclairPRO Mobileは意外なところに特筆すべき点があります。それは可搬性を考えた梱包箱のデザインです。箱は、左右に大きく開くので、収納しやすい。内部は収納しやすいようにデザインされています。

そして、ストレスなく格納し、蓋を閉じればそのまま運べるようになっています。

この箱のおかげで別途ケース手配が要らないのです。些細なことのように思えるかも知れませんが、これは結構大きなことなのですよね。とはいえ、ハードケースが欲しい!という方には、「反響によっては販売も検討します」というオレンジ色の憎い奴もあります。

「欲しい!」と声を大にして騒ぎましょう!

総括

私は、制作さんがHDDを箱にも戻さずに紙袋にガサッと入れて持ってきたことを何度も体験しておりまして。ちょっとビックリですが、こういうことって案外あります。このEclairPRO Mobileが業界の鉄板になってくれることを期待しています。一度実機をみてみてください。安心しますよ。

[OnGoing Re:View]Vol.66 EclairPRO Mobile。その安全性への味わい深さ