これからの年末年始、小さい子どもを連れて、遠方の実家に帰省する人は多いのではないか。ただでさえ忙しい師走の時期なのに、何かと準備も大変だろう。「教えて!goo」にも「生後3カ月の赤ちゃんと帰省」と、小さな子どもと一緒に帰省予定のユーザーから、注意点や困ったこと、役立ったことなどのエピソードを聞かせて欲しいと投稿が寄せられていた。そこで今回は、子育ての専門家でありパーソナリティーコンサルタントの横山人美さんに、小さい子どもと帰省する際に発生しがちな事故に焦点を当てて話を伺い、それらを未然に防ぐ方法についても教えてもらった。


■小さい子どもと実家へ帰省した際、発生しがちな事故

自宅と異なる環境には、大人が想像し得ない危険が潜んでいるようだ。

「第一に挙げたいのは、空間の広さと高さの違いにより引き起こされる事故です。幼児の平均的な水平視野は90度程度、垂直(上下)視野は70度程度といわれ、大人と比べると非常に狭いです。そのため、自宅と異なる住まい(例えば、自宅はマンション、実家は一軒家など)や屋外において、視野に入らないような側溝や敷居、玄関の段差、物陰などにより、転倒や転落、飛び出しなどの事故が発生しやすいです。これからの季節は雪による事故が増えますので、ひさしの下などにも注意しましょう」(横山さん)

「自宅はマンション、実家は一軒家」の場合には、屋内の階段なども危険だそうだ。

「よちよち歩きが始まったばかりのお子さんは、特に要注意です。好奇心旺盛な2歳前後の子どもにとって、上り下りできる階段は遊園地のアトラクション並みに魅力的です。周りの大人や子どもたちが自由に上り下りする姿をうらやましく眺めていますので、まねをして転落する可能性があります」(横山さん)

日頃、大人しか生活していない実家の場合、意外な盲点がありそうだ。

「お風呂のバスタブの深さや床の材質(タイル貼り)などにより、溺れたり滑って転倒する事故が起きやすいです。また、はさみや包丁、のこぎりなどの刃物類や、タバコ、農薬などの保管場所は、子どもの手の届かないところにするなど、細心の注意を払いましょう」(横山さん)

そして、「最近は、都会も地方も関係なく犯罪が多発しています。『我が家に限って……』という過信を捨て、見知らぬ土地での誘拐などにも警戒が必要です」と横山さん。「田舎だから大丈夫だろう」という思い込みは禁物だ。

■小さい子どもの事故を未然に防ぐ方法

「帰省時に限ったことではありませんが……」と前置きしつつ、横山さんは、事故を防ぐ方法について教えてくれた。

「子どもたちを危険から守るための鉄則は、『絶対に目を離さないこと』、『ひとりにしないこと』です。帰省時だけでなく家族での旅行中に、親がネットやスマホに夢中になり、子どもを見ていないシーンをよく見かけます。道中の交通機関も含め、絶対にお子さまから目を離さないでいただきたいです」(横山さん)

帰省先に、事故防止対策をお願いしておくこともお勧めだそうだ。

「事故を引き起こさないために、ご実家へ具体的なお願いをしておくとよいでしょう。例えば、階段に柵を付けてもらう、バスマットを用意してもらう、危険なものは片付けてもらう……などでしょうか。到着してから、『◯◯が危ない』、『◯◯もダメ』などと、あれこれ言うと迎える側も気分がよくありませんので、事前に“お願い”しておくのがポイントです」(横山さん)

思わぬ危険が伴う帰省だが、日頃できないことを子どもに体験させてあげられるよい機会でもある。

「親子で共に危険を学ぶ機会に変え、安全確認をしながら散歩や探検に出かけてみるのもよいですね」(横山さん)

長期休暇では、気が緩む瞬間がきっとある。しかし家族の楽しい思い出になるはずの帰省を、悲しい思い出にしないため、十分に留意して行動したい。

●専門家プロフィール:横山 人美
Keep Smiling代表。パーソナリティーコンサルタント、講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演など多数。前向きな発達障害とのかかわり方を始め、子育てや人間関係の悩みが楽になる心理学を伝えている。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

小さい子どもと一緒に帰省する際に注意することを子育ての専門家に聞いてみた