降雪シーズン 凍結防止剤/融雪剤の効果と弊害
12月に入り、降雪地帯以外でも雪の便りが聞かれるようになってきた。
横浜では12月7日に初雪が観測され、これは平年より6日早く、昨シーズンより50日早い観測ということで、首都圏のユーザーも雪への備えを考える時期と言える。
そしてクルマを愛する人々から考えると、路面にまかれる凍結防止剤や融雪剤の影響に頭を悩ませる時期と言ってもいいだろう。
雪の降らない地域でも深夜や早朝は気温が0℃近くまで冷え込むこともあり、高速道路や橋、勾配のきつい上り坂部分などでまかれることも珍しくなく、道路に点在する白い粒に恐れおののく愛好家も少なくないのである。
なぜそこまで愛好家が凍結防止剤、融雪剤に特別な感情を抱くのかというと、その主成分が塩化物であるという点が関係している。
多くの人がご存知だとは思うが、塩分には金属を劣化させたり腐食させたりする力を持っている。
海沿いの建造物などが通常よりも早いスピードでサビついてくるのも、海から吹く風に海水に含まれる塩分が混じることが原因であり、「塩害」という言葉が存在するほどなのだ。
つまり、愛車を腐食から守りたいという想いが、凍結防止剤、融雪剤に対して敏感になっているというわけなのである。
そもそもどんな原理で凍結防止/融雪している?
では、塩化物を含む凍結防止剤や融雪剤はどのようにしてその効果を発揮しているのだろうか?
そもそも凍結防止剤と融雪剤は似ているようでその役割は異なるものとなっている。
凍結防止剤
凍結防止剤とはその名の通り、道路が凍ることを防ぐために散布されるものであり、その主成分は塩化ナトリウムとなっている。
塩化ナトリウムの凝固点(液体が凝固し固化する温度)はマイナス20℃程度となっており、塩化ナトリウムが溶け込んだ水溶液は0℃を下回っても凍結しなくなる。
そのため、降雪や凍結が起こる前に散布しておくことで、凍結する条件下となった場合でも凍結を防止するという意味で凍結防止剤と呼ばれているのだ。
融雪剤
融雪剤もその名の通り、雪を解かすために散布されるもの。
こちらの主成分は塩化カルシウムであり、凝固点はマイナス50℃と塩化ナトリウムよりも低く、かなり気温の低い環境でも雪を解かすことができるようになっている。
また、塩化カルシウムが水に溶けるときに溶解熱というものが発生するため、こちらも併せて融雪効果があるというものだ。
つまり、事前に散布するものが凍結防止剤で、雪の上に散布するものが融雪剤ということになる。首都圏のユーザーが目にするアスファルトの上にまかれているものは前者と言えるだろう。
なお最近では塩化物を使用しない代替品も登場しているが、効果が弱かったり、価格が高かったりという問題もあり、あまり使用されていないのが現状だ。
凍結防止剤や融雪剤の上を走ったらどう対処?
塩化物が鉄を腐食させるという話は前述した通りだが、もちろん触れた瞬間に腐食が始まるというわけではない。
そもそも自動車の大部分は塗装がなされており、塗膜が保護膜となってくれることで少々塩化物が付着したところで直ちに影響はない。
ただ、下回りの塗膜はボディ表面のように厚く塗られたものではないため、地面からタイヤがまき上げた小石や、雪、氷の塊などがヒットして塗装が剥がれてしまっている場所も出てきてしまう。
そういった場所に塩化物が長く付着したままとなると、いよいよ腐食が始まってしまう。
また、フェンダー内などの水が抜けにくい部分に塩化物が入り込んでしまった場合は、海沿いの建物がじわじわと腐食していくようにサビが浸食していく原因となってしまうのだ。
そうならないためにはこまめな洗車がベスト。
ボディの外板はもちろんだが、タイヤが跳ね上げて思わぬところまで塩化物が進入している可能性もあるので、下回りの洗浄を入念にしておきたい。
最近では洗車機でも下回り洗車モードが備わるものもあるが、できればコイン洗車場などにある高圧洗浄機で勢い良く洗い落としておきたいところ。
一部ディーラーなどでは下回りのスチーム洗浄などをサービスメニューとして用意しているところもあるので、うまく利用して欲しい。
いくら腐食の元となるとはいえ、凍結路面で事故をしてしまっては元も子もない。
大切な愛車を守るためにも凍結防止剤や融雪剤と付き合っていくことが大切だ。
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